脳卒中リハビリ患者、高齢者が多数

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2016年12月21日 12:01  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

過半数が85歳以上の施設も約2割

 脳卒中(脳血管障害)は、死に至ることもある恐ろしい病気。たとえ命が助かったとしても、損傷を受けた部位によって、さまざまな障害が後遺症として残ることもあります。後遺症としてよく知られているのが「半身麻痺」で、右脳に障害が起きた場合は左半身の運動機能に影響が現れ、手足の自由がきかなくなるなどの症状がみられます。ほかにも、食べ物をうまく飲み込めない「嚥下障害」や正しい発音ができない「構音障害」など、体のあらゆる部分に症状が出ます。

 このような失われた機能を回復し、自立した日常生活を送るために行われるのが「リハビリテーション」です。診療科としてリハビリテーション科を設けている病院もあり、医師や看護師のほか、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語療法士(ST)など国家資格をもつ専門職スタッフが、患者さんの訓練をサポートしています。

 株式会社矢野経済研究所が、国内のリハビリテーション科がある病院85施設を対象に、脳卒中リハビリテーションの実態を調べたところ、約2割の施設で85歳以上の患者さんが過半数を占めていることがわかりました。一方で、49歳以下の患者さんが過半数を占める施設はなく、高齢者の割合がかなり高い現状が明らかになりました。


画像はリリースより

現場の人手不足も浮き彫りに

 脳卒中患者のリハビリにおける課題・問題点を挙げてもらうと、多い順に「今後のリハビリ関連点数の減少(40.2%)」、「退院後の患者の情報の把握(35.4%)」、「リハビリをする人手が不足している(30.5%)」などの回答が挙げられ、待遇面や現場の連携について不満を抱えている施設が多いようです。

 人手不足を補う手段として、エアロバイクや運動マシンなどを導入している施設もありますが、多くの施設では看護師や理学療法士、作業療法士らによる人的サービスが中心。そのため、十分なスタッフを確保できない施設では人手が足りず、効率の良い運営が求められています。また、新卒のリハビリスタッフを採用したとしても、多忙な医療現場では教育にかける時間も少なく、スタッフの育成も厳しいといえるでしょう。

 団塊世代が75歳以上となる2025年に向け、脳卒中患者の数は今後も増加が予想され、同時に脳卒中リハビリ患者の比率も高まっていくものとみられます。人手不足を補っていくために、同社では「今後の学校教育において、より専門的で実践的なリハビリテーションの内容を習得することが、医療・介護の現場で望まれていくだろ」としています。(菊地 香織)

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