前立腺がん患者、骨転移リスクの認識低く

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2016年12月22日 12:01  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

3割強が「背中の痛みを我慢」と回答

 男性生殖器にできる「前立腺がん」。男性特有のがんで、国立がん研究センターによると、2012年に新たに前立腺がんと診断された患者数は約7万3,000例で、胃がん、肺がんに次いで第3位という多さです。2016年の予測罹患数は約9万2,600例とされており、今後も増加が予測されるがんのひとつです。

 前立腺がんは、早期発見・治療で完治も見込めますが、「去勢抵抗性前立腺がん」と呼ばれる状態まで進行すると、患者さんの約90%が骨転移し、疲労や衰弱などの症状があらわれて日常生活に支障を来します。しかし、バイエル薬品株式会社が患者さんに行った調査では、48%が骨転移を治療するメリットを理解していないという結果となり、骨転移リスクについての認識の低さが明らかになりました。

 調査は、前立腺がんの治療をしている50〜80代の男性300人が回答。骨転移の治療で得られる影響を尋ねたところ、「わからない」と答えた人が48%と最多で、「痛みが和らぐ」、「寿命が延びる」と答えた人はいずれも3割に届きませんでした。さらに、「日常動作の自由が保てる」と答えた人は2割にも満たず、骨転移によって生活の質(QOL)が下がることを懸念している人は少ないことがわかりました。


画像はリリースより

痛みより、PSA検査の結果を重視

 「2週間前から背中に痛みが現れて強くなってきた」という状況を仮定した質問では、受診の際に医師に痛みを相談すると答えた人が65%だったのに対して、相談しないと答えた人は35%。相談しない理由として、半数以上が「前立腺がんとは関係のない症状」、「PSAの検査値を確認しており気にしなくてよい」と回答しています。PSAは前立腺がんの腫瘍マーカーですが、実際の痛みよりも検査結果を重視する人もいるようです。

 しかし、「相談しない」と答えた人でも、「前立腺がんと関係がある症状であればいう」と答えた人は半数以上の61%と、背中の痛みががんによるものだとわかることで、治療につなげたいと考える人が多いこともわかります。また、「新たな治療を受け、寿命が延びるならいう」、「治療を受け、これからのQOLが向上するならいう」と答えた人もおり、痛みの解決策があるならば相談したいという傾向もうかがえます。

 調査結果を受け、北里大学医学部泌尿器科の佐藤威文准教授は「PSA検査だけではなく、ALP(アルカリホスファターゼ)の数値や骨シンチグラフィーなどを用いて骨転移を適切に発見し、治療をすることがQOLを維持・向上する上で非常に重要です。痛みなど、ささいな症状でも医師に相談することが大切です」と強調しています。(菊地 香織)

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