2017年の年頭に行った初詣で誓ったことの一つに
「せっかくFacebookサンのお仕事をさせていただいているんだから、今年は自身のSNSを充実させよう!」
ってえのがある。だから、去年までは自分の書いたコラムや記事を機械的にシェアしているだけだった私のFacebookが、今年からはけっこう“ゴメスの豆情報”で賑わっていたりする。そして、その一環として同時にインスタグラムも、citrusの若手スタッフに手取り足取り教えてもらいながら始めてみた。
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ところが、このインスタってヤツに一体なにをアップすればよいのかが、いまだよくわからない。飲み会やら草野球やらでワイワイやってる光景の写メや動画? でも、そんなの見たいか? 少なくとも私は他人のそういう“報告”を見たくも知りたくもないので、とりあえずは「街で見つけたちょっとヘンなモノ」とかをアップするようにしている。
で、一週間ほど前に総武線のドアガラスに貼ってあった、とある小さな車内広告が妙に面白かったので嬉々として“ネタ”にしたんだけれど、どうやらコレ、すでに私と同じリアクションを起こした“先駆者”が大勢いるらしく、最近ネット上でも相当に話題を呼んでいるんだとか……。
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その「とある小さな車内広告」のクライアントは小林製薬で、商品は鼻うがい製品『ハナノア』。
鼻の穴からダイレクトに洗浄液を注入するうがい法によって、花粉症などにも効果がみられるのだという。「一人でも多くのつらい花粉症で悩む御仁に『ハナノア』を知ってもらいたい、お届けしたい!」という小林製薬サンの気概がひしひしと伝わってくる。しかし、このビジュアル、さすがにインパクト強すぎだろw!
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左の鼻の穴から水道水のごとく流れ出る鼻水のような水──しかも、鼻うがいのシーンを演じているのがよりによって正統派の美人ちゃん! さらに、おすまし顔で淡々と……まことにもってシュールな絵ヅラである。
ちなみに、ネット版の『プレジデント』によると、今回この『ハナノア』の広告に起用された女性の正体は、バレエ・ダンスの総合プロダクションである『バウンドプロモーション』に所属するモデル兼女優の白木あゆみさん。プレジデントの取材に対し、
「ハナノアシャワーの使いやすさをしっかりと表現できる広告にしたかったので、ビジュアル面について、とくに抵抗はありませんでした」
とコメントしている。
プロ意識に溢れた素晴らしい回答である。仮に、上島竜兵や出川哲朗あたりの(一流)リアクション芸人なんかを起用していたら、それはそれでそれなりに面白かったのかもしれないが、いかにも面白いヒトが面白いことをやるより、いかにも面白から縁遠そうなヒト(=正統派美人)が面白いことをやるほうが、そのディテールは際立ち、よりいっそうの面白度が生じてくる。
正直、ギャラの面でも上島・出川クラスを起用した場合に比べ、何十分の一にも抑えることができたのではなかろうか? 節約もできて広告効果も上々でクライアントは一石二鳥、タレントサイドも思いのほかに知名度・好感度が上がってウハウハ……これぞ、まさにWin-Winの関係!
ネットによって拡散されたということは、ある意味「炎上商法」とも言えなくはないが、こういう「誰も不幸にならない」民度の高い“炎上”を最大限に活用するPR術から学ぶべき点は、マスメディア業界にとどまらず、SNSを利用するすべての人間にとって……かならずあるはずだ。