親と教師、連携ためらう ADHDの子を持つ母親と小学校教師対象に調査

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2017年02月20日 18:02  QLife(キューライフ)

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6割の母親「症状の原因がはっきりしてほっとした」と回答


愛育クリニック愛育相談所所長 齊藤万比古先生

 乳幼児期から成人期までの広い年齢層でみられる発達障害のひとつ、注意欠陥・多動症(ADHD)。主な症状としては、集中力が続かず気が散りやすい「不注意」、じっとしているのが苦手で落ち着きがない「多動性」、思いついた行動について考える前に実行してしまう「衝動性」の3つが挙げられ、年代によって現れ方に特徴があるといわれています。海外の学術論文では、18歳以下のADHD有病率は約5%と報告されています。また、ADHDの子どもの支援は、個々の育った環境、親子関係のみならず、学校をはじめとする家庭外環境を含めた全体像を考慮しながら実施することが重要とされています。

 このような背景のもと、塩野義製薬株式会社とシャイアー・ジャパン株式会社では、ADHDの子どもを持つ母親と小学校教師を対象とした調査を実施。その結果の記者発表会が2月14日に都内で開かれ、監修した愛育クリニック愛育相談所所長の齊藤万比古先生が講演を行いました。

 ADHDと確定診断を受けた小学生を持つ母親283人が回答した調査結果によると、医療機関を受診した後、子どもがADHDと診断されることで、4割が「子どもの将来が心配で落ち込んだ」と答えました。一方で、6割は「症状の原因がはっきりしてほっとした」と回答。半数以上が医療機関受診前に、保健・福祉の相談機関に相談していることがわかりました。また、母親のほとんどは、子どもの小学校入学前までにADHDの情報について知ることが望ましいと捉えていました。

「医療より前に親や学校や地域ができることがある」(齊藤先生)

 ADHDを知っており、小学校に教師として1年以上従事している103人に対する調査結果では、9割以上がADHDが疑われる子どもを担当した経験がありました。そのうち7割以上が学校内での連携した対応を実施していましたが、地域の保健・福祉・医療機関などの外部との連携はあまり行われていませんでした。ADHDが疑われる子どもへの指導や対応に「自信がある」と答えた小学校教師は4割でした。

 また、直近に受け持ったADHDが疑われる子どもについて、7割の小学校教師がその保護者に保健・福祉・医療機関への相談・受診を勧めており、そのうちの8割が実際に相談または受診、ないしその両方を行っていたことがわかりました。一方で、相談・受診を勧めなかった理由として最も多かったのは「保護者の理解が得られないと思ったから」であり、教師と保護者とのコミュニケーションの難しさがうかがえる結果でした。

 これを踏まえ、齊藤先生は、「親も教師も実際にADHDの子どもを持ったり担任になったりする前にADHDの正確な知識を持っていることが望ましいと考えています。教師は親との連携が重要であると考えていますが、わが子のADHDの可能性を親が冷静に受け止めてくれないのではとの懸念から、連携をためらうことがまだ多いことがわかりました」と総括。「子どものADHDには、弱みと強み、双方の側面があります。医療が関わらなきゃいけないのは、弱みが悪循環に陥ってしまったケースか重症例、もしくはその両方など。子どもの状況に応じた支援をしていくことが重要で、それは医療だけの仕事ではありません。医療よりずっと前に、親や学校や地域ができることがあります」と呼びかけました。(QLife編集部)

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