有名受刑者は、塀の中では“芸能人”! 世間を騒がせた「あの女性犯罪者」の素顔

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2017年02月21日 16:04  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

中野瑠美さん

 覚せい剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■女子刑務所は殺人犯から万引き常習犯まで一緒

 女子刑務所と男子刑務所との違いはいろいろありますが、やはり女子受刑者の人数が男子の1割くらいしかいないことは最大の特徴でしょうか。やっぱり女子は悪いことしないんですよ……って私はしましたが(苦笑)。

 なので、男子は犯罪傾向とか刑期とかでいくつかに分類されるのですが、女子は初犯と累犯の分類くらいで、基本的に「殺人犯から万引き常習犯まで一緒」です。初犯の時は「もうムショに戻ってこないように」という配慮からか刑務官もけっこう厳しいのですが、再犯になると「また来たのか」「作業教えんでもできるヤツが来てラッキー!」という態度になります。

 私たち受刑者も最初はビクビクしていても、時間がたつと刑務官に対して「うちらあってのアンタらやろ」「ありがたく思え」となっていきます。そして、少ない人数の中ですから、世間を騒がせたあの事件のあの人たちとも一緒になることも多いわけです。

■特別扱いの「芸能人」

 施設によって違う隠語も多いのですが、私が“お勤め”した和歌山刑務所や栃木刑務所などは、有名な犯罪者は「芸能人」と呼ばれていました。たぶんどこも同じじゃないですかね。

栃木には昨年夏までタレントの小向美奈子さんがいらっしゃいましたが、こういうガチの芸能人だけではなくて、整形しながら逃亡を続けた福田和子さんや、夫を殺してバラバラにした三橋歌織さんも有名なのでムショでは芸能人ということになります。

 刑務所や拘置所は、とにかく「事なかれ主義」なので、トラブル発生に敏感です。自殺なんてもってのほかですが、まあたまにありますね。私も初犯の時はいじめられて死にたくなったことはありますし。やっぱりいじめのターゲットになるとキツいですね。みんなストレスがたまっているので、イライラしていて、弱い者をいじめたくもなるのでしょう。女だけの世界なので、態度が鼻につく女や目立つ女も標的になりますね。

 だから、施設側は特に芸能人には気を使うのです。有名な受刑者がいじめを受けたり、自殺されたりしたら、マスコミが黙っていないからです。偉い人たちはマスコミと法務省に弱いんですよ。普通はこのような芸能人さんたちと、ほかの受刑者とは接触させませんが、福田和子さんは、なぜか普通に工場に出てきていました。なかなかの「女親分」的な雰囲気を持っていましたよ(笑)。これは珍しいケースだと思います。

 だいたいの芸能人は、「昼夜独居」といって、ずっと独房で洗濯ばさみを組み立てたりデパートの紙袋に取っ手をつけたりしてます。ほとんど誰とも話さないので、失語症になることも多いそうです。あとは幻聴や幻覚、異常行動などの拘禁反応もありますね。福田さんは病気で獄死されましたが、たまに獄死もあります。酒もタバコも、もちろん薬物もNGで、早寝早起きの生活ですから、シャバにいるよりも健康で長生きできる人もいますが、医療体制にいろいろと問題があって持病が悪化する場合もあるのです。

■あのカルト教祖の妻は房内でもベジタリアン

 そんな中でも、世間を騒がせた受刑者と同房になることもあります。私の心に残っているのは、たとえばSちゃんですね。Sちゃんは夫に保険金をかけて殺し、バラバラにしてキッチンに置いていました。悪臭でご近所から苦情があって発覚したようです。そりゃあ臭いですよね。チン○は串刺しにされていたと報道されていました。

 そんなSちゃんですが、テレビドラマで解剖のシーンなんかがあると、よく「いやん、怖い」なんてよく言ってました。「アンタのほうがよっぽど怖いわ!」とみんな思っていましたが、誰もつっこまなかったと思います。でもSちゃんは房に紛れ込んで来たハエは我先にと容赦なく殺してましたね。しかも半笑いで……。

 それから、昨年、冤罪が証明されて釈放されたAさんは模範囚でした。共犯とされていた男性も模範囚だったそうですよ。無期懲役からの生還ですから、たいしたものですね。

 あとは、例のカルト教団“最大手”のアノ教祖の奥さんもいました。彼女は独居でしたが、いつも朝晩大きな声でお祈りをする声が所内に響いていました。なんかお経みたいなやつですね。ケンカとかで大声を出したらもちろん懲罰ですが、お祈りはいいみたいです。でも、私も真似して座禅を組んで跳び跳ねてたら、私だけは怒鳴られましたけどね(笑)。

 彼女は食べ物も変わっていて、ほとんど野菜しか食べないと調理の担当から聞きました。「特食」といって、このような人たちには宗教上の理由などに配慮した特別な食事メニューが作られていたそうです。

■「極妻」と「愛人」が同じ房になることも

 それから、これは芸能人の話ではないですが、たまにわざとなのか偶然なのか、「極妻」と、その旦那の「愛人」が同じ房になることもありました。こんな時は、私たち周囲のほうがあせるわけですが、たいていは極妻がしっかりしています。「ウチの旦那がえらい目に遭わせたな。迷惑かけて堪忍して」とかなんとか、さすが「姐」の貫禄があります。こんなふうに言われたら「姐さん、すんません……」てなりますよね。ハブとマングースみたいなバトルを見たい人たちは残念でしょうけど。

 アカの他人と24時間一緒ですから、タイヘンなことのほうが多いのですが、面白いこともたくさんありました。

 ちなみに『網走番外地』や『刑務所の中』など男子刑務所が舞台の映画やドラマはたくさんありますが、女子ものはほとんどないですね。あっても梶芽衣子の『女囚さそりシリーズ』くらい。またはポルノとか。以前、テレビで話題だった泉ピン子さんの「女囚」シリーズ『女子刑務所東三号棟』(TBS系)も、ピン子さんだけにピンときませんでした。

 私が監修したらめっちゃ面白くなると思いますけど、いかがでしょう? 映画やテレビの製作の皆さん、いつでも相談のりますよ(笑)。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」  

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