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ママ・インスタグラマーに見る「ママ像」の一考察

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2017年02月23日 11:03  MAMApicks

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MAMApicks

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子育て中のお母さんは日々時間に追われているものだが、皆さんはどうやって移り行くファッションをキャッチアップしておられるだろうか。

私はかかりつけの耳鼻科に置いてある雑誌『STORY』や『VERY』(の前月号)を刮目したり、道行くおしゃれなお母さんたちを盗み見ているのだが、最も手軽なのがスマホアプリのInstagram、略してインスタである。


■ママ・インスタグラマーは女神のよう
さて、手始めにインスタ内を「#ママコーデ」で検索すると100万件超、「#ママファッション」で検索しても39万件以上がヒット(2017年2月23日現在)する。いわゆる本日のコーディネイトを公表しているママさんたちが多いのだが、中にはフォロワー数1万人とか、5万人を超えるツワモノがいて、彼女たちはママ・インスタグラマーと呼ばれていたりする。

ママ・インスタグラマーは、皆、お洒落さんである。自分で買った、もしくはアパレル企業から宣伝用にと提供された最先端の服を、最新の着こなしでコーディネートする。そして、これまたお洒落な壁、もしくはカフェを背景に、お洒落なアングルで、さりげなく顔は明かされないお洒落なポージングで、お洒落な誰かに撮影をしてもらい、フォロワーの私と同じ目線に立って、コーディネートの詳細を教えてくれるのである。

やさしい。ありがたい。無料だし。産後しばらくたって、シャバに出るために何を着たらいいかまったく分からなくなった私にとって、まさに女神のような存在であった。

しかし、一般人が神を模しても、圧倒的に何かが足りない。いや、私には何かが確実に多いのだった。比べてみると、彼女たちはママなのに生活臭がないのである。

足元はヒール靴、作りこまれた無造作ヘア、財布だけ入りそうなクラッチバッグ、はげてない多色塗りのネイル……。時折写真に現れる、リンクファッションがばっちり決まっていて清潔感あふれる「子ども」。

彼らは、そのインスタグラマーがママである証拠と同時に、「ママなのにお洒落」「ママなのに身ぎれい」「ママなのに美人」をより盛り上げる、演出アイテムのようにも感じられる。

そう、同じ年齢、同じ服、同じ外見の女性がふたりいたとしたら、「きれいなお洒落さん(子なし)」より、「きれいなお洒落さん(子あり)」の方が、何かとキャッチーな風潮だ。今でも子持ちの女性をとりあえず褒める言い方として、「お子さんがいるとは思えない(美貌・体形・若さ)ですね〜」などがある。

私も独身のとき、うっかりその文脈を使って褒めたつもりになっていたのだが、実際子どもを生んでみると、「ママなのに身ぎれい」とか、「お子さんがいるとは思えない〇〇」という言い方・考え方に、「ちょっと待てよ」と言いたくなった。

■「ママなのに、身ぎれい」の罠
「〇〇なのに△△」という文脈には、「〇〇という本来のイメージを裏切って△△」という意味がある。つまり、「ママなのに身ぎれい」の前提にあるのは、ママとは本来身なりが整ってないものよねえ、という認識であろう。

自分のことより子どもや家族のことが先、自分にかけるお金も時間も足りてないので、流行なんて追っていられない、髪を振り乱して、目の前にある家事・育児タスクをママチャリこいで超えて行けっ!という姿だろうか。ああ、私のことですね、一件落着……って違う違う、言いたいのはそれではない。

ひとくちにママといっても色々な人がいる。本来、家庭の数だけママの姿があるはずだ。専業主婦もいれば、夫より稼いでいる人もいるだろうし、そんな人は美容代も潤沢だろう。また、アパレル関係の職についていたら、ママ歴よりオシャレ歴の方が長いかもしれないし、身ぎれいにするのは仕事のうちである。

そんなことに気づいてから、保育園が一緒のママたちを見ていると、半数は先のとがったヒール靴を履いていて、大半のママのおぐしはキレイに整っている。いわゆるキラキラ輝いて見えて、ふだん眼鏡と帽子とマスクで武装している私としては、身が縮む思いである。

■実際に言われてみると……
しかし、実はこんな私にも事件が起こった。
先日、5年ぶりの酒の席が楽しすぎて、ママ友と異様なまでに盛り上がっていたときである。その店がほぼ立ち飲みで、お客の動きが流動的なことも手伝って、3歳年下の2人組男性がこちらにやってきた。こんなシチュエーションは人生で限られているので、つい「私ら母さんも時にはハメを外すんですよ、ほほほ」とエクスキューズを出すと、その1人がこう言った。

「子どもがいるのに、どうしてそんなビボーなの?」と。

ビボー……びぼー?もしや、美貌のことか!?
この時、日本酒をガブ飲みしていたので、聞き間違えた恐れが強い。そして、私じゃなくてママ友だけに言ったのかもしれない(ありえる)。しかしまあ、私も現実に言われたってことで甘やかして続けると、最初の5秒は驚きもあり、高笑いが止まらなかった。

しかし待てよ。「ママなのに」ってことは、やっぱりあなた方も、ママはキレイじゃないのが宿命と思ってるってことですかね? やはりそれが世間の常識でしょうか。そう気づいたら、もはや死滅したと思われた、私の心の中の17歳が「なんか悔しい〜」とくだを巻いていたのだった。


話をもとに戻す。私の近所を見渡す限り、「見た目がいかにも疲れ切っている母親」はあまりいないが、いまだにそれが世間のイメージのように思う。それがはびこっているうちは、ママにとって「自分より家族優先でいなければいけない」という強迫観念になるだろうし、これから子を持とうとしている人にとっては、夢も希望もないネガティブキャンペーンになってしまわないだろうか。そんなの、誰もうれしくないじゃない。

女性にとって、子を持つことはおそらく人生を揺るがす大きな存在である。
しかし私たちは、子どもがいようがいまいが、その女性本人をまっすぐ見る時期に来ているんじゃないだろうか。「子どもを生んだ人」という一点で、その女性を安易にカテゴライズするのはどうなのか。

……「そんなに簡単なものではないよな〜」と、腰の湿布をはがしながら考えた。そういえば、インスタグラムから匂いはしないから、女神のなかにも湿布を貼って、痛みに耐えている人もいるかもしれない。やっぱり人間だもの。しかし、そうはいっても「ママ・インスタグラマーって、なぜ太ももに肉がつかないんだろう、超人だよな〜」と、新しい湿布を貼りながら思うのだった。

斎藤貴美子
コピーライター。得意分野は美容・ファッション。日本酒にハマり、Instagramの#SAKEISAWSOMEkimikoで日本酒の新しい切り口とコピーを思案中(日本語&つたない英語)。これからの家族旅行は酒蔵見学。二児の母。

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