高校生の約1割が月経前症候群の可能性。女性ホルモンと健康の関係は

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2017年03月06日 18:02  QLife(キューライフ)

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180万人の患者がいる月経前症候群、月経前気分不快障害


近畿大学東洋医学研究所所長、女性医学部門教授  武田卓先生

 3月1〜8日の「女性の健康週間」にあわせ、大塚製薬株式会社は3月1日、女性の健康をテーマにプレスセミナーを開催。産婦人科医で漢方にも詳しい近畿大学東洋医学研究所所長で女性医学部門教授の武田卓先生が、「女性ホルモンと女性の健康・診療の実際」と題して講演しました。

 女性の身体は女性ホルモンの影響を受けることで、一生のなかで起こる長期的な変化である「更年期障害」と、月経周期に伴って起こる短期的な変化である「月経前症候群(PMS)」の、ふたつの変化が起こり、さまざまな症状をもたらします。

 更年期障害は、42〜56歳頃に起こる変化。卵巣機能が低下することで、女性ホルモンのエストロゲンが分布されなくなり、月経周期の乱れや不正出血といった月経異常のほかに、のぼせやドキドキするなどの自律神経失調症状、不眠やイライラ、頭が重い、うつっぽい、物忘れといった精神神経症状があらわれます。症状がそれほど重くなければ、規則正しい生活やバランスのとれた食事、適度な運動などで対処します。代替医療や機能性食品を活用することもあるそうです。症状が重い場合にはホルモン補充療法や漢方薬、抗不安薬などの薬物療法を行います。特に更年期障害といって連想されるのは、「のぼせ」や「ほてり」ですが、これらの症状が続くのは、通常、閉経後の2〜5年間程度。長くても10年経てばほとんど症状が出なくなるそうで、「ずっと続くのものではないので、自分の状態にあった対処法でうまく乗り切ってほしい」(武田先生)

 PMSは、月経の1〜2週間前より始まる不快な症状の総称で、月経開始後数日で症状がなくなります。むくみや腹部のはり、乳房の痛みなどの身体症状と、抑うつやイライラ感、眠気、だるさ、過食・拒食といった精神症状がありますが、その症状は150種類以上ともいわれ、さまざまな症状があらわれます。精神症状が中心で、社会・学校・家庭での生活上大きな障害がある場合には、月経前気分不快障害(PMDD)に該当します。武田先生の研究によると、成人女性の5.3%に中等度〜重症のPMS症状が、1.2%にはPMDD症状がみられたそうで、全国で180万人のPMSやPMDD患者がいると推算されます。さらに、高校生の場合はこの割合が増え、PMSは11.8%、PMDDは2.6%にみられたそうです。

不快な症状の理由がわかるだけで、症状がよくなることも

 米国ではPMSにより、女性ひとりあたり年間4,000ドル(約50万円)もの経済損失が出ているとの試算もあるという武田先生。PMS症状で日常生活に支障が出ている場合には、治療も考慮します。治療では、症状の記録や規則正しい生活などを指導するカウンセリング・生活指導が行われ、「かなりの部分が、カウンセリングと生活指導で改善します。不快な症状がなんであるかを理解するだけでも、症状が楽になることもあります」(武田先生)。重症例には精神安定剤や利尿剤、鎮痛剤、漢方などの薬物治療が行われることも。さらに症状が重ければ、抗うつ薬や低用量ピルが処方されます。

 PMSやPMDDに関する正しい情報を知ることで、症状の悪化を防ぎ、対策への道が開けるという武田先生。更年期障害もPMSも、女性にとっては身近な問題です。女性ホルモンについての正しい知識をもつことで、不快な症状にうまく対処していきたいものですね。(QLife編集部)

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