<YOKO FUCHIGAMIインタビュー>世界一のおしゃれは「ヤドカリ」 見習わなければダメ!

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2017年03月14日 22:03  Techinsight Japan

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「まずヤドカリを見習ってほしい」というYOKO FUCHIGAMI氏
世界的なトータル・ファッション・アドバイザー、YOKO FUCHIGAMI氏が14日、都内で開催された商品PRイベントに出席した。ファッションに関する哲学を惜しみなく披露し、場内をFUCHIGAMIワールド一色に染め上げた彼女が、分刻みのスケジュールの中、テックインサイトのインタビューに応じた。パリコレ&バリコレのため、パリとバリを常に行き来する日々を送り、日本での滞在時間が極めて短いというFUCHIGAMI氏の話を聞けるレアなチャンスであった。

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YOKO FUCHIGAMI氏が登場したのは、『Panasonic 衣類スチーマー新製品発表イベント』。一番のおしゃれは「裸」であり、「とにかく自然体」が大切だと主張するFUCHIGAMI氏は、衣類のシワについても「シワはものすごく素敵なもんですよ。一番の生活感を出すデザインですから」と“シワこそファッション”という持論を展開した。


ステージには、FUCHIGAMI氏の「シワをコーディネートに取り入れた提案」にのっとり、しわくちゃの服を着た男性モデルが登場した。タンスの一番奥に何年も眠っていたシャツや、親戚の座布団の下に敷かれていた帽子の無数のシワが、FUCHIGAMI流おしゃれのアクセントになっている。


しかし、このシワを衣類スチーマーが一撫でできれいにしてしまうと、最初は「シワを消すことが正しいのか理解できません」と激しく拒否反応を見せた彼女も「この服本来の姿がやっと見えてきた気がします。TPOに応じてこれもアリかな」と手のひらを返すように主張を覆した。


イベント後にインタビューに応じてくれたFUCHIGAMI氏からは、圧倒的なオーラが放たれていた。「若い頃にはイヴ・サン=ローランとかセリーヌとかと表参道を飲み歩いたものです。昔はパリのアパートのひとつ屋根の下で修業した時代もありました」と言うだけあり、下積み時代を経て一流になった人の貫禄や気高さが感じられた。

―YOKO先生「裸こそ最大のファッション」ということですが。
YOKO FUCHIGAMI氏(以下YOKO氏):(裸こそファッションを)実践するのはものすごく難しいです。それが出来たら、日本のファッションのレベルがもっと上がるんじゃないかなと思います。

■目指すのは赤ちゃんから力士まで着られる“伸びる服”
―今後、FUCHIGAMIブランドで使いたいモデルはいらっしゃいますか。
YOKO氏:私の服を着るからには、「スタイルの良い人間」と言いたいところですが、そういう人たちが着る服というのは計算し尽された服なんですよ。私は容姿についてはまったく問いません。人間であるという段階で、裸つまり皮膚という服をまとっているわけです。それはもう人それぞれ様々なデザインですよね。その点で、スタイルがいい人間のファッションは一辺倒な気がします。そういう服を普通の人が着るとどうしても無理感が出てしまう。

なので全人類が着られる服、「JINRUI(じんるい)」というセカンドブランドを立ち上げているんですが、これは男女関係なくユニセックスの次元でもなく、人類であれば、子供でも大人でも着られる伸びる服です。ですので、力士さんが着ることもできるし、生後2週間の赤ちゃんが着ることもできます。大事なのは伸縮性、つまり「振り幅」ですね。

―YOKO先生ほどファッションに造詣が深いと、「住」にもこだわりがあるのではないかと思うのですが。
YOKO氏:そうですね。衣食住というのは、隣り合わせじゃないとダメです。たとえば秋なら梨やきのこが美味しい、夏にはスイカというように、必ずファッションと食べ物の旬は共通して、グラフで重なる部分があります。具体的には夏は必ずTシャツをスイカで染めたり、栗を使ったボタンを作ったり、梨のように瑞々しい服を作ったり、必ず旬の食べ物とは連携させるようにしています。それを無視すると違うものが生まれます。

■東京に住むならカラスを取り入れて。「おしゃれの生態系」を崩してはいけない
YOKO氏:「住」も同じです。だから、今、自分の住んでいる場所に合わせて、ファッションを(選択)する。私は今、東京に住んでいる。東京にはいっぱいカラスがいます。そのカラスのしっぽを使ったイヤリング、東京の国道の中央分離帯の生地を使った服、これらを必ずリンクさせています。これをバラバラにすると「おしゃれの生態系」が崩れます。

■「衣」と「住」を兼ね備えた最強のおしゃれ「ヤドカリ」を見習って!
―おしゃれの生態系ですか。
YOKO氏:はい。必ずリンクしています。だから世界で一番おしゃれなのは「ヤドカリ」です。ヤドカリは、「住」と「衣」を完全に一体化させています。家をファッションのアイテムとしているわけですね。ヤドカリの中から出てきた部分は、ちょっと滑稽な姿というかドレスアップされていません。でも世界でヤドカリのちっちゃい中身だけの部分はあまり知られていません。ヤドカリの作戦の勝ちですね。全世界にあのファッションが知れ渡っているわけですから、それはやはり見習わなければダメですね。

■紙で作られるファッション雑誌に警鐘。「ガーゼで作るべき」
―今後、FUCHIGAMIブランドを取り上げるとしたら、どんな雑誌を狙いますか?
YOKO氏:ファッションなんていうのは、言えば言うほどあざとくなります。だって生活そのものなんだから。だから私は多く言わない雑誌を作りたい。まったく関係ない旅行雑誌みたいのを作りたいです。「安心するお宿」とか。まったくファッションはいじりません。疲れるからです。ファッションのことを考えると疲れます。それぐらい神経張っているということです。もし本を出すんだったら、とことん時間も欲しいし、そうすると生地からこだわりたいし、本って紙じゃないですか。やはり紙というところだけは妥協していると思いますね。どんなおしゃれなファッション雑誌でも結局、紙ですから。その生地をガーゼに替えたり、ファッション的な布にしてもいいですから。とにかく紙にしているのは違うと思いますね。

―するとYOKO先生は、雑誌の素材から替えた方がいいと。
YOKO:ファッション雑誌と言いつつ、一番ファッション雑誌がおしゃれを意識していません。生地で作ってください。

■人間ではなくしゃべる生地が取材する未来にファッションの繁栄がある。
―私たちはウェブのメディアですが、いつかパソコンも「ガーゼで」とお考えでしょうか。
YOKO:そこまでできたら本当に日本も変わると思います。そしてあなた方、記者さんも全員、そういった生地で来て欲しい。人間でなく、しゃべる生地。そのようなことを私は祈って、日本のファッション、世界のファッションの繁栄を願っています。

ここまで読んでいただき当然お分かりとは思うが、今回YOKO FUCHIGAMI氏としてインタビューに応じてくれたのはロバートの秋山竜次である。YOKO FUCHIGAMI氏は秋山が発信し続ける「クリエイターズファイル」に登場する「クリエイターズ」の一人だ。現在秋山が演じ続ける「クリエイターズ」は26人に上る。今日のインタビューも芸人・秋山竜次ではなくあくまでもYOKO FUCHIGAMI氏として受けるという秋山の徹底したこだわりだ。

実際、インタビューの間、記者の目の前にいたのはYOKO FUCHIGAMI氏であり、そこに秋山竜次を想起させる気配は皆無であった。よって「世界一のおしゃれはヤドカリ」発言に記者が目に涙をためて笑いをこらえても、YOKO FUCHIGAMI氏の表情に変化は一切見られなかった。奇才という言葉が頭を一瞬横切ったが秋山竜次はあくまでもお笑い芸人なのだ。しかし、ここまで徹底して別人になりきった芸人が過去いただろうか。なにより、秋山はこのインタビューにYOKO FUCHIGAMI氏として、記者のすべての質問にアドリブで即座に応えているのだ。芸人・秋山竜次が求める底なしの笑いへのどん欲さとそのオーラに圧倒された今日のインタビューであった。



(TechinsightJapan編集部 関原りあん)

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  • トータルウェディングとか、たしかサバイバルのサバイバーとか、七変化のこの人の雑誌が欲しいー。DOCOMOや都か区か、急がしいですね。
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