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「俺を見ないでくれ!」変形した顔、当事者が語った差別・恋愛・就職…「恋愛なんて無理だって思っていた」

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2017年03月21日 07:02  ウィズニュース

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写真「見た目問題」と向き合う中島勅人さん
「見た目問題」と向き合う中島勅人さん

 顔の変形、あざ、傷、まひ…。病気や事故によって、人とは違う外見の人々がいます。そんな彼ら・彼女らが学校でいじめられたり、恋愛や就職に苦労したりすることを、「見た目問題」といいます。当事者である中島勅人(のりと)さん(42)に、これまでの人生や、本音を尋ねました。(朝日新聞記者・岩井建樹)

【画像】インタビュー集『顔ニモマケズ』の当事者たち 「見た目問題」生きやすい社会とは…

3歳で手術 命も危なかった
――中島さんの症状は
 生まれつきリンパ管に、良性の腫瘍(しゅよう)があり、左の顔と舌が大きく膨れあがっています。原因は不明と言われています。

――治りますか
 手術で腫瘍を切除し、普通の顔に近づけるしかありません。ただ、リンパ菅は、血管や神経が複雑に絡み合っているため、簡単な手術ではありません。

 私は、これまでに計5回の手術を受けています。3歳の時には、大きすぎる舌を切る手術も受けましたが、術後に舌が腫れ上がり、呼吸困難で、命も危ない状況に陥ったと聞いています。

手術の影響で神経障害
――見た目以外に症状は
 日常生活に支障をきたすことはありません。ただし、私よりも症状が重い患者の中には、食べ物を口から摂取できない人もいます。

 私の場合は、手術を受けた影響で、顔の左側に、神経障害が残りました。左目は、まばたきがスムーズにできません。左のほほの感覚がほぼなく、たたいても痛みを感じません。

 かみ合わせがよくないので、スイカを食べると、ぐちゃぐちゃになってしまいますし、種を口の外に吐き出すことができません。

「何、あの顔」注がれる視線
――この症状で、つらい思いをしたことは
 視線です。街に出ると、好奇の目で見られます。すれ違いざまに、「何、あの顔?」と言われたり、「うわっ!」と驚かれたり。指をさされたり、ニヤニヤされたりしたこともあります。

 ほほを膨らませてマネをされたり、たたかれたりしたこともありました。小さな子どもには、怖がられることもあります。

 特に高校生のころは、見知らぬ人から注がれる視線に、心がかき乱され、いつもイライラしていました。顔を見てくる人がいれば、にらみ返していました。家に帰ると涙が止まらず、壁を蹴りました。今も視線は気にはなりますが、放っておきます。

 スマホ時代になり、みんな下ばかりを見ているため、私への視線は減ったと思います。私にとっては、いい時代だなと感じています。

「恋愛なんて無理だって思っていた」
――学校でいじめられることはありませんでしたか
 幸いにも、私が学校でひどいいじめを受けることはありませんでした。ただ、いじめに苦しんだ「見た目問題」を抱える知人もいます。

 生まれつき顔にあざのある男性は、小学校1年の音楽の時間、「真っ赤なほっぺたの君と僕」という歌詞の部分を、20回くらい繰り返し歌わされ、女性の先生がニヤついた表情で彼を見ていたそうです。今でもトラウマに残っているといいます。

――恋愛はどうでしたか
 中学、高校のときは、コンプレックスの塊で、恋愛なんて、この顔の僕には無理だって思っていました。

 20代前半のとき、女性とお付き合いしました。「世の中には顔を気にしない人もいるんだな」って、新しい発見でした。顔については、お互い触れることはありませんでした。今なら私のほうから説明しますが、当時は怖くて、顔について話を切り出すことはできませんでした。

もし父親になったら…
――結婚はどうでしょうか
 いずれは結婚したいなと思っています。顔を気にしない女性もいると思っています。ただ、結婚の具体的なイメージは描けず、行動に移すこともできていません。

 もし父親になったら、我が子の友だちと接するのが怖いです。子どもって素直じゃないですか。「おまえのお父さんの顔は…」って我が子が友だちに言われるかもしれない。公園デビューも、授業参観も、堂々と参加できるのだろうかと、考えてしまいます。

「コンプレックスは棺おけまで」
――今は、顔の症状を受け入れていますか
 受け入れることはできていません。顔のコンプレックスは棺おけまでもっていくのだろうと思います。今も鏡で顔をまじまじと見ることはありません。朝、寝癖を直すときも髪の毛しか見ませんし。

 顔については、「あきらめている」という表現がしっくりきます。「あきらめることは悪いこと」という風潮があると思いますが、あきらめることで楽になれることもあると私は考えています。

 私は自分の顔は、「のっぺらぼう」なんだと思い込むようにしています。私の顔には、目も鼻も口も何もないんです。顔がなければ、顔で悩む必要もありませんから。

 顔をあきらめている代わりに、服装には気を遣っています。服装で、体全体を着飾ることで、顔だけに人々の意識が向かわないようにしています。

「普通の顔」願い大手術
――顔の手術は、また受けますか
 今は、考えていません。大学1年生の時、「普通の顔に戻すんだ」と希望をもって、7時間にも及ぶ大手術を受けました。でも、思い描いた「普通の顔」を手に入れることはできず、うちひしがれ、絶望しました。術後は熱が下がらず、院内感染にもかかり、1年以上入院することになり、大学も退学しました。

 それ以降、私は手術を受けていません。「見た目問題」の当事者の中には、あきらめきれず、毎年のように手術を受ける人もいます。毎年のように入院することになるので、定職につくことが難しいようです。

介護福祉士として勤務
――就職活動は苦労しましたか
 大学退学後、介護福祉士の資格をとるため専門学校に通いました。

 専門学校の先生から、「顔について自分でフォローできるようになりなさい」とアドバイスを受けました。私なりに考え、「この顔のおかげで、患者さんに覚えてもらいやすくなります」「顔の話をしたら逆に心を開いてくれる患者さんもいると思います」と、前向きに回答するようにしました。

 今思うと、病院側はわざとそういう質問をして、私のことを試していたのかもしれませんね。

 今は介護福祉士として、病院に勤務しています。患者さんから顔のことを尋ねられる時には、症状について説明し、理解してもらっています。

心の支えはマラソン
――今、心の支えは何ですか
 マラソンです。2006年、テレビでホノルルマラソンの特集番組を見て、「私も出よう」とふと思い立ちました。それまで本格的な運動の経験もなかったのですが、思い切って、参加しました。しんどかったですが、42.195キロを6時間10分かけ、完走しました。走っている間は、走ること以外に考える余裕もなく、顔にも意識が及びませんでした。

 それ以降、マラソンにはまりました。週に3〜4度、走っています。ホノルルマラソンにも毎年挑戦しています。今では、42.195キロを3時間前半のタイムで走れるようになりました。走ることで、嫌なことや悩みがリセットされます。私のよりどころです。

「マイナスから始まる人間関係」
――中島さんと話した人は、優しくて誠実な方だな、という印象を受けると思います。人間関係で気を付けていることはありますか
 この顔ですので、相手の第一印象はよくないかもしれません。マイナスから始まる人間関係を、挽回(ばんかい)しないといけない、と考えています。

 だから、言葉遣いに気を遣いますし、相手を不快にするような発言は慎重に避けるようにしています。

――ほかの「見た目問題」の当事者と知り合い、自分の中で変化はありましたか
 5〜6年前、「見た目問題」を支援するNPO法人「マイフェイス・マイスタイル」のイベントに参加し、様々な症状を抱える当事者の方々と出会いました。

 同じような悩みを抱えている人々がいると知って、私は独りじゃないと勇気づけられました。

「世間に埋もれて生きていくのが望みです」
――最後に。社会に望むことは何ですか。
 じろじろ見ないでほしい、それに尽きます。「見た目より中身が大事」と一般的に言われますが、見た目で人を判断する人が多い現実は、私も受け入れています。

 ただ、私のように、見た目を重視する世の中の流れには乗っかれない、生きづらく感じている人がいることは知ってほしいです。

 当事者の声を届けることで、少しでも差別が減ればと思い、こうしてメディアの取材も受けていますが、本当は目立ちたくありません。写真を撮られることも好きではありません。

 顔が普通であれば、私は何の特技もない、どこにでもいる市民ランナーに過ぎませんし。没個性で、もっと地味に、視線も気にせず、世間に埋もれて生きていくのが望みです。

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このニュースに関するつぶやき

  • 神様や仏様が時に人間界に悪戯をして心を試す時がある様な気がします
    • イイネ!0
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  • 人と違うって辛いよ。前向きに生きるっていったって、影では泣く日だってある。『もっと大変で前向きな人いるのに何悩んでるの?』って言わないで
    • イイネ!124
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