YUKIはまだまだ挑戦の真っ最中にあるーー最新作『まばたき』に漲った歌声の強さ

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2017年03月23日 18:03  リアルサウンド

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YUKI『まばたき』通常盤

【参考:2017年3月13日〜2017年3月19日週間 CDアルバムランキング(2017年3月27日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2017-03-27/)


 大森靖子の傑作『kitixxxgaia』(読み・キチガイア。タイトルからして攻めてる!)が、初めて初登場で10位圏内にランクイン。また、甘くポップでカラフルなサウンドが人気のポップ/ロックバンドKEYTALKは初登場で2位という好記録を叩き出しました。前作の『HOT』こそ初登場4位を記録したものの、それ以前の作品がトップ10入りすることはなかったKEYTALK。今回の2位はまさに「キテる!」証であり、9月に横浜アリーナでのワンマン公演が決まったのも必然だったのだろうなと思えてきます。脂の乗るグループがぐいぐい頂点を攻めていく様子は、いつ見ても小気味がいいものです。


(関連:YUKIはなぜ多くの人々から愛され続ける? “ポジティブさ”と“ユーモア”からアーティスト性を紐解く


 初週で14,821枚を売り上げたKEYTALKの前に立ちはだかるのは、YUKIのニューアルバム『まばたき』でした。売り上げは30,280枚と、およそ倍。さすが女王の貫禄です。もともと前向きでパワフルな歌を得意とする彼女が、今回ばかりは「YUKI史上最強 超ド級無敵ポップアルバム」だと胸を張るのですから、『まばたき』の内容が悪いわけがない。いま改めて歌に向かう衝動や自身の青春を閉じ込めたような曲も多く、YUKIワールドは健在どころか、さらにパワフルになっているのです。1位は当然でしょう。


 当然でしょう、と書きましたが、YUKIのアルバムが1位を獲得するのは、実は2005年の3rdアルバム『JOY』が最初でした。デビューシングルの『the end of shite』は初登場6位、1stアルバム『PRISMIC』は最高で3位と、実は最初からトップで当然という立場ではなかったわけです。ちなみに『the end of shite』は収録曲すべてが日暮愛葉(Seagull Screaming Kiss Her Kiss Her)の作詞作曲プロデュース。強烈なオルタナティブ・ロックと、スカートの中に自ら手を入れるという衝撃的なジャケットによってソロデビューを果たしたYUKIは、要するに、それまでのキュートなバンドイメージから思い切り離れ、それまで縁がないと思われていたオルタナをがっちり体現してみせるところから新たなキャリアを築き上げていったわけです。


 もちろん今のYUKIに「オルタナ云々」という解説は不要。いつも心のままに歌っているようでありながら、同じスタイルにしがみつくことなく、時代ごとにフォークやエレクトロニカ、ヒップホップなどに接近しては音楽的な進化を重ねていきました。一般的には「永遠にガーリー」なポップシンガーですが、高音域へ駆け上げるときの迫力はハンパじゃないし、ファンタジックでありながらスタイリッシュという衣装なども、下手に真似すれば大怪我をするレベルです。もうおわかりですよね。ただ童顔で歌がうまい、というだけでは、YUKIのポジションは決して手に入らないと。


 『まばたき』で漲っている歌声の強さを聴けば、この人はまだまだ挑戦の真っ最中なのだ、ということがよくわかります。ポップスの女王というよりは、いまだポップスの挑戦者。それがYUKIの若さであり、魅力なのだと思います。(石井恵梨子)


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  • ソロになってからも音源買ってたしLIVEも行ってたけど、悲しくなる位歌下手になったし、本人は『上手に歌うのではなく心を込めて』とか言うからホント嫌になった。
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