道重さゆみは、この世に“カワイイ”を届けに帰ってきたーー『SAYUMINGLANDOLL〜再生〜』

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2017年03月28日 18:03  リアルサウンド

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(C)松村早希子

■足りないものは、さゆみんでした。


 2014年11月に道重さゆみさん(さゆみん)が芸能界を去ってから、地球上の「カワイイ」が減ってしまいました。こねこ、うさぎ、チューリップ、リボン、マカロン、カップケーキ……この世にカワイイものは沢山あれど、最上級の圧倒的にカワイイ存在がどうしても足りない2年間でした。


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 2017年3月、さゆみんは、この世に「カワイイ」を届けに帰ってきてくれました。「復活」でも「復帰」でもなく「再生」、失われかけたものが蘇る、その言葉を掲げて。


 丸の内COTTON CLUBで行なわれた『SAYUMINGLANDOLL〜再生 〜』は、少女漫画界の新人賞である銀のティアラ賞を冠したSF漫画『フロムエウロパ』(有田直央/2008年)を原案とした物語を軸に、台詞はほとんどなく、歌とダンスと無声劇で繰り広げられるショーです。


 宇宙の片隅の滅びゆく星に、地球上の少女サユミンの強い想いが純化して残っている…SFの世界と現実のさゆみんがリンクした描写で、オープニングからもう既に涙なしには見れません。


 そして、いよいよステージに登場したさゆみんは、本当に宇宙のどこかの星で、別の時間軸で生きていたのではないかと思うほど。2年の間冷凍保存されていた、美しさと可愛さでした。


 物語のテーマである「再生」は、3月19日から4月16日までの18日間(※大阪公演も追加発表)連日繰り返されるステージにも重なります。


 同じ脚本であっても全く同じ内容は存在しないように、主人公トートの命も、アイドルとしてのさゆみんも、毎公演ごとにアップデートされていくでしょう。


 再生したさゆみんは、昔テレビで見た、お人形さんのように可愛いけれど、歌声もダンスも不安定だった儚げな少女と同一人物とは思えないほどに、歌・ダンス・表情全ての表現力がプロフェッショナルとして磨かれて、神様に選ばれ「人前に立って表現する」という使命を与えられた存在なのだと改めて確信しました。ヘッドセットマイクを装着して踊る姿は、長い手足が存分に活かされ、過去の曲の振り付けでも新しい魅力を発見できました。


 MCでは、これもまた復帰前と変わらない頭の回転の早さと、可愛さにちょっぴりの毒が加わったトークで会場を沸かせ、日替りのお楽しみコーナーまで用意されています。1つのステージで、作り込まれた世界観の中、歌とダンスで完璧な可愛さを表現するさゆみんと、流麗なトークで観客との距離を縮めるサービス精神旺盛なさゆみんの両方に出会えます。


 客席で観ている間中ずっと「この時間よ、終わらないで……!」と胸が痛くなるほど願い、終演後はしばらく現実に戻って来れなくなってしまう程の余韻に浸った、夢の国「サユミンランド」に招待してもらえた時間でした。 (松村早希子)


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