デング出血熱の新治療法の可能性を示す発見

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2017年04月10日 12:02  QLife(キューライフ)

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重症例では死にいたるケースも

 2014年夏に、約70年ぶりの国内感染が明らかとなった「デングウイルス」。発熱、頭痛などの症状があり、体中に発疹が広がる感染症です。当時は、感染場所とみられる東京都の代々木公園が一時閉鎖されるなど、大きなニュースとなりました。国立感染症研究所によると、デングウイルス感染症は、媒介する蚊が生息する熱帯・亜熱帯地域に多く、世界では年間約1億人がデング熱、約25万人が重症型の「デング出血熱」を発症すると推定されています。

 患者の大半は比較的症状の軽いデング熱で、症状も1週間程度で回復しますが、一部では、血漿漏出や鼻や消化管などからの出血を主症状とするデング出血熱となるケースもあります。血漿漏出が進行すると、体内を循環する血液量の不足からショック症状になる危険もあり、世界では約2.5万人が命を落としています。

 東北大学災害科学国際研究所の浩日勒助教らによる研究グループは以前、炎症細胞の組織への遊走・接着を促進する活性をもつ「オステオポンチン(OPN)」が、デングウイルス感染症の患者の血漿中で極めて高く、重症度と相関していることを発表。OPNが、デングウイルス感染症の重症度マーカーとなることを明らかにしています。

細胞性粘菌成分「brefelamide」で炎症を抑制できる可能性

 今回は、その発表を発展させた研究を実施。同大で樹立されたヒト単球由来の株化細胞「THP-1細胞」にデングウイルスを感染させると、OPNの遺伝子・タンパクレベルの発現が激増することを見出しました。

 また、そこに、OPNの産生を抑制することが知られている細胞性粘菌成分「brefelamide」を添加すると、OPNの産生が抑制されるだけでなく、デングウイルス感染症における炎症も抑制できる可能性があることが明らかになりました。さらに、brefelamideはウイルスの放出を抑制する作用があることも示唆され、今後の研究課題としています。

 今回の発見により、デング熱の重症化に関わっているOPNを治療ターゲットとした、新たな治療法の可能性が示されました。世界的にみて、日本はデングウイルス感染症の「好発地域」ではありませんが、2014年のようにいつまた国内感染が起こるかわかりません。蚊がいそうな場所へ行くときは肌を出さないようにするなど、予防意識を持つことも大切です。(菊地 香織)

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  • 危機感を煽ってるけど、インフルより危険性はずっと低いからな(経験談)
    • イイネ!1
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