日本プロ野球は2017年のレギュラーシーズンが始まりました。注目したいのは、横浜DeNAベイスターズのアレックス・ラミレス監督です。就任1年目の昨年は3位と健闘。2年目の今季はどこまで食らいついていけるか、ですが、私は期待しています。なぜなら、今までの日本のプロ野球界にはなかった監督像の持ち主だからです。
■ウチはジャイアンツとは違うからね!
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ラミレス監督は選手たちを決して怒らないし、叱りません。試合後のミーティング、たとえ勝っても大敗しても、必ず言う言葉は、「Tomorrow is another day(明日は明日の風が吹く、今日は辛くても明日はいい日になるさ)」です。また、試合当日のミーティングでは、「Today is a new day」、意訳をすれば、“昨日までのことはもう過ぎたこと、今日は新たな気持ちで精一杯頑張ろう”と言います。どちらも気持ちを切り替えるのには最適な言葉でしょう。
長いシーズン、負けてもいちいち落ち込まない、勝ったとしても決して奢らない姿勢は何より大事であり、ラミレス監督は日米での長いキャリアからそのことを一番選手に伝えたいのだと思います。
また、こうも言っています。「ウチはジャイアンツ(巨人)とは違うからね」。巨人に比べたらDeNAというチームは若手中心で経験も少ない。強い感情でコントロールすると、萎縮してしまって本来の力を発揮できないことを知っています。選手を育てる方法としては、ベストなやり方をしているといえるのではないでしょうか。
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■反省は必要だが、後悔は必要ない
米国のMLB(メジャーリーグ)を始め、NBA(バスケットボール)、NFL(アメリカンフットボール)、NHL(アイスホッケー)では、試合後、ミス(失敗)した選手に必ずビデオを見せます。そして、「なぜミスをしたか」を確認し、反省させます。しかし、そのミスをしたプレーのビデオは1回しか見せません。ミスをしたプレーのビデオを何度も見せると、脳に刷り込まれて、また同じミスをしてしまうからです。したがって、その後はその選手のいいパフォーマンスのビデオを見せます。
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反省は必要です。しかし、後悔は全く必要ないのです。
ラミレス監督も同じ考えでしょう。負けやミスをいかに明日に引きずらないか。いかにうまく切り替えられるか。そのことを一番に考えている監督だからこそ、DeNAに可能性を見出せます。