12球団でただ一人の「40代4番打者」 広島・新井貴浩はなぜ活躍できるのか?

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2017年04月12日 17:03  新刊JP

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『撓まず 屈せず 挫折を力に変える方程式』(扶桑社刊)
2017年4月11日の広島カープ対読売ジャイアンツ戦で、カープの4番に座ったのは22歳の鈴木誠也だった。そして、5打数3安打2打点とその役割を果たし、勝利に貢献した。

しかし、今季のスタートダッシュを支えているカープの4番打者はまぎれもなく新井貴浩だろう。「競争」と言われていた4番争いは、その候補の一人だった松山竜平は結果を出せず、新井貴浩が座ることになった。

昨年のMVPであり、「つなぐ4番」の体現者だった新井も、今年1月で40歳になった。各球団の開幕4番を調べてみたところ、ベテラン選手も多いのだが、新井はその中でも最高齢だ。

広島:新井貴浩 40歳
阪神:福留孝介 39歳
巨人:阿部慎之助 38歳
ソフトバンク:内川聖一 34歳
西武:中村剛也 33歳
ヤクルト:バレンティン 32歳
楽天:アマダー 30歳
オリックス:ロメロ 28歳
ロッテ:パラデス 28歳
中日:ビシエド 28歳
日本ハム:中田翔 27歳
DeNA:筒香嘉智 25歳
(年齢は2017年シーズン開幕時)

40歳にしてなおバリバリに働く新井の姿は、若者たちに好影響を及ぼし、同世代にも勇気を与え、上の世代からは称えられる。泥だらけになって野球をする姿は、まさに永遠の野球小僧で、ファンの胸を熱くする。

■やらされた猛練習。それでも得るものはある

新井が今シーズンに入る前に執筆した『撓まず 屈せず 挫折を力に変える方程式』(扶桑社刊)では、40歳になった今でも活躍できる下地について、彼自身が振り返っている。それはカープ伝統の猛練習だ。

新井がカープに入団したときの監督、達川晃豊氏とヘッドコーチの大下剛史氏だった。特に大下氏は「鬼軍曹」と言われ、なおかつ新井にとって駒澤大学の大先輩でもある。

「特に目をかけてもらっていた」という新井はキャンプで徹底的にしごかれる。早出の練習からはじまり、夕方までは通常にチーム練習。ランチタイムには特打。午後7時頃にホテルに戻り夕食を食べた後、午後8時から夜間練習。

同じ年に入団した東出輝裕(現打撃コーチ)とともに、新井はある種の「特別強化選手」に指定されていた。グラウンドに残った2人は「なんでオレたちばかり」と話していたこともあるそうだ。

しかし、こうした猛練習が下敷きとなって、新井は入団初年度からパワーヒッターとして活躍する。レギュラーとして活躍するようになっても練習は厳しかった。

本の中で「本当に辛くて毎日が嫌だった」と正直に語っているから、相当なものだったのだろう。しかし、あの「やらされていた練習」が、新井の身を助けたのだ。

「やらされた」ことからも得るものはある――。

自分の将来をしっかり考え、目標を立て、そのための努力をこなしていくことができる人間ならば、「やらされた練習」は必要ないのかもしれない。しかし、ほとんどの人が新井と同じように「計画的に物事を進めることができない」のではないか。

『撓まず 屈せず』では、どんな逆境であっても立ち向かう一人の男の姿が語られている。ただ、がむしゃらに。こんな気質の男だからこそ愛されるのだろう。

■新井が最も期待をかける選手は…

その新井が折に触れて気にかけていると公言する選手がいる。堂林翔太だ。長打が魅力だった彼も1軍で一度ブレイクしたかと思えばその後スランプに陥り、今は代打や守備固め、代走など便利屋になっている感がある。

新井もまた4番をつかんだ最初の年にスランプに陥り、レギュラーをはく奪された経験がある。だからこそ堂林に奮起してほしい気持ちがあるのだろう。

「今の僕がバリバリの4番として試合に出ていたらダメだろう」という気持ちもあると正直に告白する新井は、「堂林、来い」と思っていると語る。

カープが好調とはいえ、まだシーズンは始まったばかり。これから先、何が起こるか分からない。だが、新井が中堅の支えとなり、若手を引っ張っている今の状況ならば、日本一も夢ではない。そう思えてくるから不思議だ。



(新刊JP編集部/金井元貴)

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  • 今晩試合中の予言記事か? それにしてもカープ強いな。
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