映画『美女と野獣』の音楽が時を超えて伝えるもの エマ・ワトソンらが彩る作品の世界観

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2017年04月23日 10:03  リアルサウンド

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美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック<英語版[1CD]>

 映画『美女と野獣』が公開され、物語の世界観を彩る音楽が今、注目を集めている。


(参考:「朝の風景」と「美女と野獣」の映像はこちら


 1991年に公開されたディズニーアニメーションの『美女と野獣』では3曲がアカデミー賞にノミネート、セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンが歌った主題歌・テーマ曲「美女と野獣」がアカデミー賞作曲賞と主題歌賞に輝き、大きな話題を呼んだ。実写化された本作でも「美女と野獣」をはじめアニメーション版に登場した全楽曲が新たなキャストたちによって歌われており、全米で3月10日にリリースされたサウンドトラックは15カ国のiTunesで1位にランクインしている。本稿では、いよいよ日本でも4月21日に公開された『美女と野獣』の音楽の新たな魅力について紹介していきたい。


 映画が始まり、ベルが登場して街の様子が繰り広げられるシーンで展開されているのがアニメ版でもお馴染みの楽曲「朝の風景」。ベルを演じるエマ・ワトソンの透き通った第一声から始まり、<ボンジュール!>と元気に村の人の挨拶を交わしたあと、より弾けた曲調に合わせ街の人と歌の掛け合いが始まる。「朝の風景」を丘の上で歌うエマの声量ある美しい声は、聴く人の心を魅了する。その後の「愛の芽生え」や「時は永遠に」でも、エマはその時のベルの心情を繊細な歌声に強弱をつけて見事に表現している。


 本作には、アニメ版にはないオリジナル曲が新たに3曲追加されている。作曲を担当したのは、アニメ版『美女と野獣』をはじめ、『リトル・マーメイド』、『アラジン』でアカデミー賞ノミネート暦のあるアラン・メンケン。彼が新たに加えた曲のなかでも涙を誘うと話題になっているのが、野獣を演じるダン・スティーヴンスがソロで歌う「ひそかな夢」という楽曲。野獣がベルを想う故に、ベルを城から解放して父のところへ向かわせるという切ない思いを込めた同曲は、実写版オリジナルの感動のシーンを作り上げている。


 そして主題歌の「美女と野獣」は、同作では3バージョンの歌唱を楽しむことができる。物語の名シーンであるボールルームで同曲を歌唱するのは、ポット夫人を演じた女優エマ・トンプソン。クラシックの音楽に合わせて、2人の姿を見守るように優しく朗らかな声でじっくり歌い上げている。また、エンドロールでは、アリアナ・グランデと『ラ・ラ・ランド』にミュージシャン役で出演していたジョン・レジェンドが初デュエット。そしてもう一つが、物語の最大のクライマックスで、タンスの姿に変えられたオペラ歌手マダム・ド・ガルドローブ役のオードラ・マクドナルドをメインにエマ・トンプソンらがセッションで披露するバージョンだ。


 同曲では、アニメ版ではカットされた歌詞が歌われている。そこに込められたのは、ベルと野獣が次第に惹かれあっていく情景と、<いつの世も ずっと変わらず 確かなこと>という言葉だ。『美女と野獣』はフランスに古くから存在する同名の説話がモチーフとされており、その物語が100年以上も語り継がれ、作品に込められたメッセージがいつまでも色褪せないことを歌っている。また、実写版で新たに追加された「時は永遠に」も“時の流れ”を軸に歌った曲。劇中の様々な場面で歌唱されるほか、エンドロールではアニメ版の主題歌「美女と野獣」を歌唱したセリーヌ・ディオンが、20年以上の時を超えて再び歌唱を担当した。


 18世紀に誕生した物語をディズニーアニメーションとして甦らせた『美女と野獣』。その物語が、2017年に実写版として再びスクリーンに戻ってきた。新たなキャストや素晴らしい音楽によって彩られた本作も、末長く愛され続ける作品となることだろう。


(大和田茉椰)


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