弁護士より忠告!「ZOZOTOWNツケ払い」に未成年がハマる危険、親はどう対処すればいい?

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2017年04月25日 20:00  citrus

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若者のあいだで人気を博している衣料品のインターネット通信販売サイト「ZOZOTOWN」で、「ツケ払い」のサービスが2016年の11月から始まりました。最近では、TVコマーシャルも流れていますので、ご存知の方も多いかも知れません。

このサービスは、料金の支払いが注文日から2ヶ月間猶予されるというもので、「今はお金もクレジットカードもないが、すぐに服が欲しい」という人には便利なサービスでしょう。しかし、年齢制限がないという点や料金を滞納してしまう利用者の多さを憂慮して、未成年者等が風俗産業で働くきっかけになるではないかと報道されるなど、問題視する声も聞こえてきます。

もし「ZOZOTOWNツケ払い」の料金を支払えないと、どうなってしまうのでしょうか? また、このようなサービスは法的に問題がないのでしょうか? 消費者問題に詳しいベリーベスト法律事務所の弁護士が説明します。


■「ツケ払い」の料金を支払えないとどうなるのか

「ZOZOTOWNツケ払い」は、GMOペイメントサービスという会社の「GMO後払い」というサービスによって運営されています。「ZOZOTOWNツケ払い」を利用すると、代金を請求する権利が、「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイから、GMOペイメントサービスに譲渡されます。ですので、期日までに支払わなかった場合は、スタートトゥデイからではなく、GMOペイメントサービスから請求を受けることになります。

また、期日を過ぎると代金だけではなく遅延損害金も請求されることがあります。遅延損害金は、法律で上限金利が年14.6%に制限されており(消費者契約法9条2号)、約款などではしばしば上限いっぱいに設定されています。ZOZOTOWNで54,000円(ツケ払い利用の上限金額)の買い物をした場合、ツケ払いの手数料324円と合わせて54,324円が元本になります。遅延損害金の年利が14.6%とすると、1日あたり約21円の遅延損害金がかかることになります。

54,000円の買い物をして1ヶ月滞納しても、遅延損害金は600円強に過ぎませんが、延滞するデメリットは遅延損害金だけではありません。主なデメリットはこのほかに2つあります。いわゆる「ブラックリスト」に載る可能性があるということと、さらに債権回収の専門業者に債権が譲渡されてしまう可能性があるということです。

「ブラックリスト」に名前が載ると、金融機関の信用情報に登録されることになります。信用情報とは、クレジットやローンなどの信用取引に関する返済状況等の情報のことです。信用情報に登録されると、ローンやクレジットカードの審査に通りにくくなります。延滞するとすぐに登録されるわけではなく、3ヶ月以上延滞した場合や、短期間でも繰り返し延滞した場合に登録されてしまいます。

そして事態が悪化し、債権回収の専門業者に債権が渡った場合、取り立てが厳しくなったり、訴訟を起こされたりすることがあります。面倒な対応を強いられる前に返済するに越したことはありません。なんといっても「債権回収の専門業者」という言葉の響きが恐ろしい……。なるべく、お世話にはなりたくないものです。


■「ツケ払い」はシステムとして問題がないのか

今回、報道で問題となったのはサービスの年齢制限がないという点でした。未成年者がこのサービスを利用して、お金に困ってしまい風俗産業と接点が出来てしまうような可能性があるのならば、システムとして危ういものがあると思います。

「ZOZOTOWNツケ払い」では、未成年者は保護者の同意を得て利用するように注意書きが記載されていましたが、これに気付かず保護者の同意なく利用してしまった未成年者も多くいたようです。実は、保護者の同意なく未成年者が結んだ契約は、保護者が取り消すことができます。

ただし、利用するのが小遣いやアルバイト収入の範囲の金額であれば、保護者が契約を取り消すことはできません。「ZOZOTOWNツケ払い」の上限金額は54,000円までと決められています。

人によっては、保護者からの小遣いやアルバイトの収入を超えることが予想されます。そのような場合は、保護者は契約を取り消すことができます。取り消すことができる期間は、保護者が子どもとZOZOTOWNとの売買を知ってから5年間です。契約を取り消すと、買った衣料品は返さなくてはなりませんが、着用していても問題ありません。

もし転売してしまって品物がない場合は、転売で得た利益(例えば5,000円)が購入額(例えば8,000円)より小さいときには、転売で得た利益と購入額との差額(上の例でいうと3,000円分)をZOZOTOWN側に請求することができます。購入した品物によって金銭的な利益を得ていない状況で、正当な理由のうえで品物が手元にない場合は、品物を返さなくても代金の返還を請求できることもあります。もっとも、始めから契約を取り消す意図があり、それを隠して商品を購入した場合は、取り消しが認められないどころか、詐欺罪で処罰されるおそれがあります。

なお、報道後にスタートトゥデイは未成年者に対して保護者の同意を得たことを確認するチェックボックスにチェックを入れなければツケ払いを利用できないように仕様を変更しました。未成年者が保護者の同意を得たかのように相手方を積極的に騙した場合は、保護者が取り消すことはできません。仕様変更後に購入した契約の取消しは認められにくくなるでしょう。しかし、自分の子どもがチェックボックスにチェックを入れる瞬間に、親が確実に立ち会うことが可能なのでしょうか? やはり、未成年の子どもを持つ親たちにとって「ツケ払い」というシステムには一定のリスクが伴います。

このように、斬新なサービスは消費者にとって利便性が大きい反面、そのサービスの抱える問題点が、世論──特にネット上の議論によってクローズアップされる時代となりました。

他方、現代ほど日々膨大な量の情報が更新される時代はなく、企業のサービス改善対応のスピードも日々向上しています。そのため、消費者が最新の正しい情報についていけない、という事態も見受けられます。私たち弁護士も、常に新しい情報をフォローし、かつ適切な情報をお客様に届けなければなりません。より多くの方に専門家としての知見が届くことを願います。

監修:リーガルモール by 弁護士法人ベリーベスト法律事務所
 

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