【大人の言葉力講座】相手を怒らせずに不満や反論を伝える方法

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2017年05月02日 17:00  citrus

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仕事にせよプライベートにせよ、人生を胸を張って生きていくために「言うときは言う」という姿勢は、とても大事です。疑問に思うことや不愉快に感じることを黙って我慢するのは、美徳でも何でもありません。言えないことでストレスを溜めて、毎日をつらい気持ちで過ごしているとしたら、それは自分を大切にしていない怠惰な生き方だと言えます。

 

もちろん、いちいちケンカ腰になる必要はありません。不満や反論は、相手にきちんと伝わって、事態が改善されてこそ意味があります。やたらと声を荒げて「強い自分」を見せたがる人もいますが、間違いなく事態を悪化させるだけだし、本人の期待とは裏腹にむしろ「弱そうな人」に見えるだけでしょう。

 

 

■聞く耳を持たせてこそ伝える意味がある

 

ちょっと前に、東京都内の男性が新聞社に問い合わせの電話をしたら、担当者に「あなた、ちょっと頭おかしいんじゃないですか」と言われて訴訟を起こし、結局新聞社が慰謝料1万円の支払いを命じられたというニュースがありました。

 

読者に「頭おかしい」 日経新聞に賠償命令 東京地裁「侮辱的な発言は許されない」(「産経ニュース」2016年7月20日)

 

どういう問い合わせでどんなやり取りがあったのかはわかりませんが、たぶん口論になってお互いエキサイトしてしまったのでしょう。もちろん、どんなに腹が立っても、問い合わせてきた読者に対して「頭おかしい」と言うのはよくないとは思います。

 

それはさておき一般論として、新聞社にはそう言いたくなる電話もしばしばかかってくることは想像に難くありません。まっとうで有益な問い合わせや情報提供をしたとしても、言い方を間違えたら「またか」と受け取られて、相手は聞く耳を持たないでしょう。まして口論になって暴言を吐かれたら、激しく不愉快な思いをする羽目になります。

 

自分の主張をきちんと伝えて、それでいて無駄に事を荒立てない――。そのために駆使したいのが「大人の言葉力」です。怒らせずに伝えるコツを知ることによって伝える勇気が湧いてくるし、我慢を重ね過ぎていきなり爆発して取り返しのつかない事態を招くといった「悲劇」も防げるはず。「大人の言葉力」は、大人にとっての強力な武器であり頼もしい守護神と言えるでしょう。

 

 

■不満や反論をキッチリ伝える3つのステップ

 

たとえ相手にとっては耳が痛かったり面倒だったりすることでも、怒らせずに聞く耳を持たせるには、どうすればいいのか。3つのステップで考えてみましょう。

 

ステップ1 まずはクッション言葉を繰り出す

 

「恐れ入りますが」「せっかくですが」など、本題に入る前におもにおずおずとつける前置きを「クッション言葉」と言います。相手にとって嬉しくなかったり面倒臭かったりする話のときに使うケースがほとんどですが、クッション言葉を付けることで、相手は心の準備ができます。嬉しくない話を唐突に聞かせると、反射的に拒絶反応を起こしかねません。不満や反論を伝えたいときのクッション言葉として、このあたりを覚えておきましょう。

 

「お言葉を返すことになってしまったらすいません」

「身の程もわきまえず生意気を言うようですが」

「言ったほうがいいのかどうか迷っているんですけど」

「私が勝手に思っているだけかもしれないんですが」

「こんな夏のさなかに暑苦しい話で恐縮なんですけど」

 

ステップ2 相手の意図や立場への理解を示す

 

こっちから見たら理不尽な要求や言動でも、相手には相手の考えや意図があるし、立場上そう言わざるを得ないケースもあります。頭ごなしに反発したり否定したりするのではなく、とりあえずは相手の話を聞いてみることが大切。きっと納得できないでしょうけど、目的はケンカをすることでも相手をやり込めることでもありません。話を前に進めるために、次のような言葉で相手の意図や立場への理解を示しておきましょう。

 

「たしかに、そのやり方にも一理あることはよくわかります」

「なるほど、そういう意図でおっしゃったんですね」

「○○さんがつらい立場であることは、重々承知しております」

「いろいろ考えてくださっていてありがとうございます。ただ〜」

「私が○○さんでも、同じことを言うかもしれません。でも〜」

 

ステップ3 絶対に譲れない部分を明確にする

 

果敢に不満や反論を伝えたからといって、相手がこちらの要求をすべて受け入れることはまずないし、それを望むのはさすがに図々し過ぎます。何かを要求するときは、0か10かではなく、絶対に譲れない部分はどこなのか、絶対に受け入れてほしい要求は何なのかを決めておいて、それを明確に伝えることが大切。たとえば、こんな感じでしょうか。

 

「この行為やこの発言だけは、すぐにやめてほしい」

「百歩譲っても、この部分だけは納得できない」

「仕事のやり方に関して、この部分だけは改善してほしい」

「○日までに、この件についての返事が欲しい」

「とにかく、こっちがこう思っていることは知っておいてほしい」

 

 

■たとえムッとされても伝えた意味は大きい

 

とはいえ、どんな言い方をしても、相手にムッとされる可能性はあります。たとえそうでも、「大人の言葉力」を駆使して主張を伝えたことが無駄になるわけではありません。自分にできる範囲で全力を尽くせば、たとえ期待通りの反応じゃなくても「あとは相手の問題」と割り切ることができるでしょう。漠然と怖がっているほど困った事態にはなることはめったにないし、少なくとも言えなくてウジウジ悩んでいるよりは100倍マシです。

 

さて、ここからどう話を持っていこうか、まさに「大人の言葉力」が厳しく問われますが、思い切ってストレートにオススメすることにします。もっと「大人の言葉力」を鍛えたいあなたにお読みいただきたいのが、5月末に発売されて以来、「これは役に立つ!」という絶賛の声を集めている書籍『大人の言葉の選び方』(日本文芸社、918円)です。

 

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