男性に多いポックリ病、遺伝子異常で致死性不整脈の頻度が2倍

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2017年05月10日 12:02  QLife(キューライフ)

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突然死を招く危険もある疾患


画像はリリースより

 日本医科大学と国立循環器病研究センターによる合同研究グループは、心疾患「ポックリ病」の原因のひとつ、「ブルガダ症候群」について、特定の遺伝子に異常がある場合、約2倍の頻度で致死性不整脈が起きていたことを明らかにしました。

 ポックリ病は、夜間に心臓発作を起こし、突然死に至るケースもある病気で、働き盛りの男性に多くみられます。その原因のひとつが、ブルガダ症候群と呼ばれる疾患で、無症状のまま経過する場合もありますが、致死性不整脈を発症し、突然死の原因になることもあります。日本などアジアでは全人口の0.05〜0.2%の割合で発症し、男女比は9:1程度とされます。

 ブルガダ症候群を引き起こす原因のひとつに、「SCN5A遺伝子」の変異があります。SCN5Aは、心臓のナトリウム・イオンチャンネルの電気信号を調整する遺伝子です。これまで、日本人の同症候群において、SCN5A変異が致死性不整脈発症にどのような影響を与えているかは十分な検討がされておらず、合同研究グループでは2006年から長期追跡を続けてきました。

ICD植込みの有用な指標となることに期待

 研究では、国内14施設においてSCN5A変異の有無を調べた415例のブルガダ症候群発端者を対象に、SCN5A変異の有無によって致死性不整脈の発症に違いがみられるかを追跡調査。平均72か月間に、SCN5A群では13例(22%)、変異がみられない群では49例(14%)で致死性不整脈が起こりました。両者の生存曲線を比較すると、SCN5A群で有意に致死性不整脈が多く発症したこともわかりました。

 また、多変量解析で、SCN5A変異があることが致死性不整脈イベントの有意な予測因子であることも判明。特に、変異が起こった部位が、ナトリウムイオンの通り道にある症例では、致死性不整脈イベントがより多く、逆にSCN5A変異があっても、これ以外の部位に変異がある心室細動・心停止既往のない症例では、致死性不整脈イベントが少ないことがわかりました。

 ブルガダ症候群による突然死は、植込み型除細動器(ICD)で多くの場合回避できますが、これまでは植込みを検討するための明確な指標はありませんでした。SCN5A遺伝子の有無を調べることで、将来の致死性不整脈発症を予測することが可能になれば、ICDの植込みを検討する際の有用な指標となることが期待されます。(菊地 香織)

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