花粉症、「完治しないこと」に患者の約8割が不満

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2017年05月12日 12:02  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

6割以上が患者歴10年以上


 5月に入り、スギ花粉に悩まされている方々もようやくスッキリしてきたのではないでしょうか。日本気象協会のサイトによると、北海道を除いて花粉の飛散量は少なくなっており、今年のスギ花粉シーズンは終了…と思いたいところです。

 花粉症に関しては、医療関係者や研究者、企業などがさまざまな研究や取り組みを行っていますが、実際にそれらの情報が患者さんに届き、理解されることも必要です。そこで、鳥居薬品株式会社では全国47都道府県のスギ花粉症患者さん9,300人(各都道府県の15〜65歳の男女各100人。沖縄のみ男性43人、女性57人)を対象に、花粉症に対する意識と情報伝達の実態を調査・分析しました。

 その結果、発症してから「10年以上」という患者さんは66.8%と、多くの人が長い年月にわたって花粉症に悩まされていることが判明。都道府県別では、患者歴10年以上の人が最も多いのは、静岡県の76.5%。2位は栃木県で73.5%、3位は群馬県、山梨県がいずれも73.0%という結果でした。また、重症度を1(軽度)から5(耐えられないほど辛い)までの5段階で自己評価してもらったところ、「4以上」と答えた人が44.0%を占め、トップ3は長野県、新潟県、秋田県と東日本エリアが独占しました。

まだまだ知られていない治療法も

 長期間にわたって重い症状に悩んでいる患者さんが多い一方、医療機関を毎年受診している人は3割程度と多くはありません。受診したことがない人も2割強います。症状に悩まされながらも、医療機関で治療を受けることに対して、必ずしも積極的ではないようです。患者さんの約8割が「治療しても完治しない」と不満に思っていることから、病院に行っても「変わらない」と捉えているのかもしれません。

 実際に、医療機関で受けている治療は、飲み薬や目薬といった「対症療法」が多数派。対症療法のほかに、根本的に治すことを目的とした「根治療法」もありますが、内容まで知っている患者さんは1割程度とかなり低め。また、根治のひとつにアレルギーの原因となる「アレルゲン」を少しずつ摂取して体質を変える「舌下免疫療法」がありますが、この治療法については、「知らない」人が30.5%を占め、「なんとなく聞いたことはある」の36.5%と合わせると、67.0%の患者さんが舌下免疫療法について十分に認知していないことが明らかになりました。

 舌下免疫療法は保険適応もされており、世界保健機関(WHO)もアレルギー症状を抑えたり軽減したりする薬物療法(対症療法)とは異なり、根治が期待できる治療法と位置づけています。調査を監修した日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授は「患者さん自身のライフスタイルに合わせた対策、治療を適切に選択し、QOL(生活の質)改善を図ることが重要です」としています。(菊地 香織)

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