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村田諒太、「ヘタレで気が弱い」と自己分析 今求める“世界一”への思い

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2017年05月19日 11:32  AERA dot.

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写真村田諒太(むらた・りょうた)/1986年、奈良市生まれ。プロボクサー。南京都高(現京都廣学館高)時代に高校5冠。2004年、東洋大に進学、全日本選手権で優勝。12年ロンドン五輪の男子ミドル級で金メダル。同年、紫綬褒章を受章。13年8月にプロデビューし、12戦全勝(9KO)
村田諒太(むらた・りょうた)/1986年、奈良市生まれ。プロボクサー。南京都高(現京都廣学館高)時代に高校5冠。2004年、東洋大に進学、全日本選手権で優勝。12年ロンドン五輪の男子ミドル級で金メダル。同年、紫綬褒章を受章。13年8月にプロデビューし、12戦全勝(9KO)
 2012年ロンドン五輪の金メダルから5年。世界ボクシング協会(WBA)ミドル級2位の村田諒太(31)=帝拳=が5月20日、初の世界戦に挑む。相手は暫定王者のアッサン・エンダム(33)=仏。勝てば日本人五輪メダリストとして史上初の快挙となる。その意気込みを本誌に語ってくれた。

*  *  *
──世界戦直前、コンディションはいかがですか。

 4月中旬ぐらいから、ボクシング自体の調子が良くなっている。メキシコと米国から呼んだボクサーとのスパーリングも試合前としては過去最高の100ラウンドを超え、いい状態で上がってきた。試合に勝ってベルトを巻き、スーパースターへの階段を上っていきたい。夢のラスベガスでメインイベントを張りたい。今度の試合は僕が世界的なビッグネームになるためのカギになると思う。

──金メダル獲得後、自分の実像とマスコミがつくり上げた虚像の狭間で違和感を覚えたそうですね。

 品もないヘタレで、あほで気の弱い人間という自分は今も変わらないです。でも、いろんなことを経験して弱かったメンタル含め成長してきている。人間的なところでも少しは大人になったと感じます。だからといって、世間のイメージと自分の中の自己評価の乖離(かいり)は依然ありますね。プロ転向後のデビュー戦で東洋太平洋チャンピオンに派手に勝って「村田はすごいぞ」ともて囃されましたが、僕の中でまだプロとして戦う準備ができてない段階での120点評価だった。それ以降は(世間の目は)そこから減点されていくしかないわけですよ。だから、悪い試合があったりすると、自分の中では成長しているのに、みんなの評価は減点方式で120点から減点されていくつらさは最初はありました。でも今は、いい具合に実力と評価がマッチしてきているのかなと感じます。いいタイミングでの世界戦になったと思います。

──世界戦決定時の記者会見(4月)で「辞めなくてよかった」と発言されましたが、その真意は。

 僕はボクシングが好きで好きで、これ以外の道で生きていくことは考えてなかった人生を歩んできた。金メダル取って満足してしまった時期も正直ありました。でも、五輪前年に目標設定表というのを勝手に作成して、「プロで世界を取る」と書いていたことに気づいたんです。オリンピックで終わっていたら、そこまでの知識しかないわけです。それで夢にかけてみようと思った。金メダリストとして、プロの世界で観客の前でどう戦うのか。心の持っていきかたとか、デビューして4年間、いろいろ学ぶことができて、狭い世界観で終わることがなくてよかったなと思ってます。

──アマとプロの違いは感じましたか。

 それは大きいですね。僕は以前、アマチュアはプロの上でも下でもないと思ってました。でも結局、人間は自分が存在している世界を何か価値があるものとしたいと思うわけです。金メダリストの僕は金の価値を最大限にアピールしたいこともあるでしょうし、プロになって、僕自身、世界の価値があるんだと思いたい。プロでいろんな人に支えてもらってます。一回走りだした道なんで、途中で降りますというわけにはいかないというのが実感です。

──2008年に北京五輪代表を逃したときを含め、過去4回も引退宣言しています。

 当時はどっかで、世界の一流どころには勝てないと思ってたんで、あきらめて本気になってなかった。世界の一流選手にボコボコにされて、自分の存在意義を打ち壊された。練習終わったら、毎日気晴らしに遊びに出掛けて、安易に酒飲んで周りに迷惑をかけたこともありました。

──ロンドン五輪前は新約聖書を読んでリングに上がったそうですが、最近、感化されるようなことに出会いましたか。

 ニーバー(米国の神学者)の祈りがあるじゃないですか。「神よ、変えることのできるものを変える勇気と、変えられないものを受け入れること、それを分別する知恵を与えたまえ」という有名な言葉。フランクル(オーストリアの心理学者)は「人生に意味を求めるのではなくて、人生のほうからの問いに対し自分が答えるんだ」と説いてます。アドラー(オーストリアの精神科医)の思想をまとめベストセラーになった『嫌われる勇気』も同様の趣旨を盛り込んでいると解釈してます。結局、ニーバーらは今の自分に何ができるか考えなさいと説いている。仏教的な考えとも言えます。今、自分が何ができるかが大事なんだと思うようになりました。

──ボクサーらしからぬ哲学的な分析ですね。

 変わっている性格だと思いますよ。趣味は読書ですから。父親の影響が大きいです。ニーチェとか哲学書を読んでいた父の記憶がありますから。

──両親が公務員でハングリーではないと公言していますが、どこにモチベーションを持っているのですか。

 アドラーの兄弟分析が面白いんです。僕は三男なんですが、初めから2人がいて、自分が親の愛を一身に受けられないことがわかっていた。アドラーは協調性と表現しますが、三男故に親の愛を受けたい、自分のものにしたいという意識が根底にある。その辺りが、形を変えて、ファイティングスピリットになっているのかと思います。ボクシングする人間なんて、特別でありたいと願う奴ばかりです。その思いがボクサーとしての矜持につながっているのではないかと思います。

──今度の世界戦は暫定的なもので、ミドル級の真の王者はゴロフキン(カザフスタンのミドル級3団体統一チャンピオン)という外野の揶揄も聞こえますが。

 ゴロフキンの存在は嫌でも意識しますね。やっぱり、これだけいろんな人にサポートしてもらって、大きな興行になった恩恵を返すのは、今度の試合に勝って、いずれ彼と戦うしかないと思う。普通にランキング何位かの選手と防衛戦を何度やっても、尊敬する山中慎介先輩(WBCバンタム級王者)が12回も防衛してますし。それは自分の生きる道ではない。世界的なビッグネームと大きなファイトをするのが自分の使命だと感じてます。

──リング上で燃え尽きたいという気概はありますか。

 ボクシングはいつゴールになってもおかしくない。負けてしまえば終わり、引退ですよ。初めて試合を生で観戦した辰吉丈一郎さん(元WBCバンタム級王者)がリング上で失神してKO負けする姿を見て、「この人はリングで死ぬんだろう。ボクサーとして理想だ」と思いました。ゴールはいつかみんなに来るわけですけど、エンダム戦は勝てばゴールまでの過程になる。負けてしまえばエンディングになりかねない。

──ずばり勝算は。

 僕はガードを固めて、最大の武器である右のストレートでプレッシャーをかけ殴りにいくだけです。エンダムは経験豊富で足が止まらないタフさがある。僕の力を完全に捌き切られれば、相手のほうが強い。ただ、興行的に背負うものは当然あります。負けられないという気持ちはものすごく強い。だからこそ、自分自身をコントロールしないといけないんです。ベストを尽くして、必ず勝ち、強さを証明したい。(聞き手 本誌・村上新太郎)

※週刊朝日  2017年5月26日号

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  • ファイトスタイルと順風満帆そうな人生と好青年っぽい言動が好きじゃない。打ち合わないからつまらないし格闘家はクレイジーな方が面白い。どうせ日本でやってるし塩試合の判定勝ちだろ。
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  • 自分もアスリートだから分かるけど、アスリートが哲学的な思索に行き着くのは必然だと思ってる。村田選手は、生き方も試合運びもクレバーなので尊敬している。好きやわー�ϡ���
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