【小物王のつぶやき】書き終わったら全部消す!? 「一生使えるノート」の使い道って…

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2017年06月07日 22:00  citrus

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出典:「『The Everlast Notebook』公式サイト」より

■ノートに書く目的って「保存」じゃないの?

 

Kickstarterで話題の「The Everlast Notebook」。書いたページを水拭きすれば、キレイに消えて、また使えるのだという。一生使えるノート。しかし、これ、何に使うのか、実はよく分からない。ノートに書くというのは、それなりに保存しておきたいからではないのだろうか。私のようなライターの場合、確かに、ノートは原稿を書くための材料を書くものであって、原稿が出来上がれば、見直す必要はほぼ無い。しかし、取材時に書いた内容は、別の仕事の時にも引用するかも知れない。どうでもいい落書きでさえ、何かの拍子にアイディアの元になることがある。メモなら捨てられても、ノートは保存するか、きちんとスキャンしてファイルにしておきたい。

 

「The Everlast Notebook」にも、スマホで撮影して保存する機能は用意されているけれど、あれは面倒くさい上に、明るさを均一にしてキレイに撮影するのは難しい。しかも、スマホでは膨大な量を管理するのが難しいから、さらにPCに移し替えてとか考えると、さっさとノートを切って1枚ずつにしてドキュメントスキャナにかけた方が早くてキレイだ。最近のノートにはミシン目が付いていて切り取りやすくなっているものも多いし。それに、過去を振り返るのに、ノートをパラパラ見直すのは、結構アイディアを引っ張り出すのに役に立つのだ。数年後には廃棄するかもしれなくても、1冊書き終わったら消す、なんて速いペースで消せるものではないだろう。まともに使うと、ノートなんて凄い早さで消費するものなのだし。

 


■レンチンで「全部消える」ノートなんてのも…

 

そう言えば、書き終わったら電子レンジにいれれば全部消えるノートなんてのもあった。ノートの上に水を入れたマグカップを載せてレンジにかけることで、レンジの庫内を水蒸気で満たして、その熱でフリクションボールで書いた線を消すという仕掛けだ。これもアメリカ製だったな。アメリカでは、書いたノートは保存しないのだろうか。ヨーロッパのノート、例えばモレスキンのようなハードカバーのノートは、保存することが前提で作られているのだけど、それはまた種類が違うということだろうか。

 

もちろん、ノートと一口で言っても、使い方もノート自体も様々だ。特に最近、ノートは本当に選択肢が増えた。それこそ、文具王考案の、書いたり貼ったりした情報に素早くアクセスできるように作られている「スーパーアクセスノート」のような製品は、書き残すことが目的になっている。「The Everlast Notebook」とは正反対の考えで作られているわけだ。私がインタビューなどで愛用しているLivescribeの「wifiスマートペン」は、ノートに印刷された座標と音声がシンクロしていて、文字をペン先でタッチすると、それを書いた時に話されていた音声が再生されるというもの。これも、消して使う意味はない。画面を四分割して、アイディアを出しやすくしているノートもあれば、紙にこだわって、万年筆で書くと最高の書き味になるノートもある。私がプロデュースした取材に便利なノートカバー「Note Me!」のような、ノートに機能を追加するためのツールもある。

 


■「消せる」ノートも、実はいろいろ

 

消せるというなら、ホワイトボードをノート化したCANSEYの「NuBoard」がある。書いた端からどんどん消せて、サイズも色々あって、細い文字のペンまで付いてて、消しては書きの用途なら、こっちの方が便利な気がする。単に、フリクションボールやユニボールアールイーを使うという手もあるし、鉛筆で書いたり、タブレットに書いたりでもいい。フリクションボールしか使えなくて、書いたノートそのものは保管しなくて良いと云うなら、ソニーのデジタルペーパー「DPT-RP1」の方が、よほど使いやすいし、永遠に使えるノートという言葉も似合う。逆に、誤って洗濯しても大丈夫という、ハイモジモジの「タグドメモパッド」なんて製品だってあるのだ。

 

「The Everlast Notebook」を見て、これなら1冊を何回も使えて便利、と本当に思える人は、多分、ノートがさほど必要ではないのかもしれない。メモなら、こういうのもアリだと思うけど、ノートはあんまり水で拭きたくないないな、と、私は思う。結構、古いノートを見返すのは面白いし。

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