医師が語る! 「夏肩こり」の3つの原因と対処法

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2017年06月13日 10:00  citrus

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痛みで苦しまない人生を医学で導く痛み改善ドクター、富永喜代です。

 

肩こりは、寒くて肩をすくめる冬にひどくなる、とお思いではありませんか? 確かに動脈硬化や筋肉のむくみが原因で、血管が細くなってしまって起こる肩こりは冬に多いのですが、“神経”が原因で起こる肩こりは、夏場に多いのです。

 

今回は、冬のように肩に力が入ってないのに起こる「夏肩こり」についてお話しします。

 

夏場の肩こりには、大きく3つの原因が考えられます。

 

(1)首の冷え

(2)隠れ片頭痛

(3)自律神経型ストレス肩こり

 

です。まずは、(1)首の冷えから説明します。

 

夏になると、首の大きく開いたTシャツなどを着る機会が増えます。外は暑いのですが、お部屋に入るとクーラーが効いて涼しい場合がありますよね。職場によっては、クーラーの吹き出し口の下にデスクがあったりして、“冷風直撃環境”なんてこともあります。

 

冷たい風がむき出しの首に当たったらどうでしょう。夏が夏でなくなることがわかりますよね。耳の後ろ、首の付け根の皮膚表面には、脳とつながる三叉神経脊髄路核からの神経の枝が伸びており、冷たい風があたると、肩こりだけでなく、頭痛や耳鳴り、めまいの原因となることもあります。

 

首の冷えが原因で起こる肩こりの対策は、冬場に準じた方法となります。具体的には、襟ぐりの大きな服を控える、スカーフを首に巻く、職場の机を移動させる、カーディガンを羽織る、クーラーの温度を下げすぎない、などが挙げられます。 

 

次に、(2)隠れ片頭痛が原因で起こる肩こりについてお話ししましょう。

 

片頭痛があると、三叉神経が興奮して、後頭部、首の付け根、首の後ろの筋肉が収縮して強い肩こりを感じます。

 

本当は、肩こりから頭痛が起こるのではありません。片頭痛の神経が頭痛より先に肩をこらせるため、肩こりから頭痛、という表現になっています。

 

片頭痛の人は、寒暖差や目や鼻への強い刺激に神経が反応して頭痛を起こします。ですから、夏場の強い日差し、蒸し暑さ、汗などの刺激で、頭痛の前触れとして肩こりを起こします。

 

対策としては、首や後頭部、こめかみを保冷材などで冷やし、涼しいところでゆっくり休むということが肩こり解消につながります。

 

 

最後に、(3)自律神経型ストレス肩こりについてです。

 

自律神経の中でも肩こりを引き起こすのは、交感神経の興奮が要因です。交感神経が興奮すると、全身の筋肉を硬く緊張させ、慢性疲労、なんだかすっきりしないだるさ、免疫力低下など、肩こり以外にも夏バテの要因となります。

 

すなわち夏肩こりの場合、自律神経の不調を知らせる合図の可能性があります! 夏場に自律神経のバランスを崩し、交感神経を優位にさせるきっかけは、なんといっても夏休みでしょう。

 

働いていらっしゃる方にとっては夏休みをとるために、その前後に超ハードなスケジュールで仕事をするなど、楽しい夏休みと引き換えに体に無理を強いることもしばしばです。せっかく楽しみにしていた夏休み旅行に行ってもグダグダに疲れてしまい、帰ってきたら体調を崩した、なんて話もよく聞きます。

 

夏休み明けの体調不良って、職場の人間関係にも悪影響を与えるので極力避けたいもの。休み明け失敗しちゃった、なんてことにならないように、自律神経の注意信号である夏肩こりに注意を払っておきましょう。

 

また、子供を抱える親御さんにとっても、夏休みは自律神経のバランスを崩しやすい季節です。普段作らないお昼の準備や塾の送り迎え、部活で出る大量の洗濯物、小さいお子さんがいる場合などはお出かけ準備と、普段以上の忙しさが待っています。

 

子供さんも学校が休みで規律が崩れて夜更かしが定番になってしまったり、スマートフォンの見すぎで脳が興奮して自律神経が崩れたりします。

 

自律神経ストレス肩こりの場合、生活のリズムを整え、規則正しい生活をすることが大切です。軽いストレッチや趣味を楽しみながら、自分のペースを守りましょう。 

 

このように、現代社会は全世代で夏の肩こりが増える要素が増えており、肩こりといえば冬のもの、という概念が通じなくなっています。 今年の夏は夏肩こりを早めに対処して、夏バテ予防や体調管理に取り組みましょう。

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