そりゃ、歌だってうまいに越したことはないし、踊りだって踊れるにこしたことはないでしょう。歌に自信が全くない私自身、強くそう思います。誰もが、もしもピアノが弾けたらどんなだったろうとか、ドラムとか叩けたらかなりいけるんじゃないかって、一瞬でも思春期なんかに思ったことあるはずです。でなきゃギタースクールとか全国に昭和の時代から続いている説明がつきません。
もちろん動物たちの世界じゃ、求婚するのに歌とか踊りとか羽みたいなのの拡げ具合とかが問われます。トリなんかその最たるもので、そのDNAだけ残っていったからあんなに朝っぱらから啼くのでしょう。ゆえにヒトもそれらが上手なら、本来モテるはずなんですけど果たしてどうでしょうか？
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■時代は1980年代の六本木へ──
カラオケなるモノがまだボックスになっていなかったあの頃は、知らないヒトがたくさん見ているステージで歌わざるを得なく、たしか、ゆかいなポニー？なんていう六本木のお店もシラフや音痴ではまったく歯が立たない世界で、ちっとも愉快じゃありませんでした。たいていそんな呑み会には決まってうまい奴がいて、気持ちよさソーに歌いきっていました。歌えないとそりゃお酒の力を借りるしかないですから、ある時は、オシャレなミッション系の大学生のはずなのに、すっかり酩酊してステージでキャッツアイの間奏中にリバースなんて惨事も起こしたりもします。それでも中には奇特な方が気の毒がって介抱でもしてくれれば出会いの場としては成り立っていました。
それが今じゃあ、ボックスのしかもお一人様向けとか完全自己陶酔型まであるわけですから、自信がなければ別にお酒の力を借りなくても大丈夫な時代です。となるとその分、出会いもなくなり、結果、繁殖が弱まりつつあります。カラオケアプリなんてのもあるみたいで、こっちはバーチャルな出会いもできるらしいんですが、どんなもんでしょうね。
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■ 「歌えても実はそんなにモテない論」で溜飲を下げてみる
トリたちの世界では、相変わらずピーチク歌いながらメスを追いかけまくるのでしょうが、環境適応行動の早い私たちヒトは、歌えないけど歌いたい時はひとりで勝手に歌えるようになってしまった分、結果アローンかもしれません。
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一方、歌えるヒトにとっても、歌えるヒトばかりが集まって女の子のいる場で歌うわけですから、歌えないヒトがお一人ボックスに行ってしまう分、歌えるヒトのうまさが相対的に際立たず、よってたいしてモテないと言う結論はいかがでしょうか。歌えない側からすれば、してやったりなわけです。歌える人たちだけでたいして差別化もされず楽しんで下さい、私らはお一人様ボックスで絶叫してきますと、若干やっかみを隠しきれずにほくそ笑みます。
総じて、なんでも何かに秀でていたりすると、それを披露する場とシチュエーションが必要となりますが、相対的ではなく絶対的に秀でていることを確認しないと、逆に自信をなくして繁殖そのものに疑問を感じ出したりしますから、しっかり環境は整えましょう。それにしても歌がうまけりゃ楽しいでしょうね。羨ましい限りです。
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