Twitterのつぶやきを再編集して公開することができるCGMサイト『togetter』で、『インスタにアップされた後は捨てられる“かわいいアイス”に闇を感じる「ビックリマンチョコの再来」「特典が欲しくて捨てる時代からさらに進化してる」』というタイトルの“まとめ”があった。その下には「そもそもインスタ映えっていう言葉が出てきた当初から違和感を覚えていたんですよ」と、サブキャッチっぽい文章が添えてあり、
「カワイイ!と思うようなお菓子はInstagramにアップしてみんなと共有するのが楽しい!と思う女子は少なくありません。
ですが、その裏で撮影された後に捨てられたであろうソフトクリームが大量に発見され物議を醸しています」
との問題提起が冒頭で成されている。そのきっかけとなったのは、以下のツイートである。
友達と大須のかわいいアイス食べたんだけどみんなインスタ写真撮る目的だからかほとんど捨てられててインスタの闇を感じた
「かわいいアイス」の画像を見てみると……あまりにキレイなうんこフォルムに盛られたソフトクリームの横に、丸ごとのチョコクッキーや、まるでマルキューで働くギャルのネイルのようにデコデコなハート型クッキーが刺されていて、コーン部分にも執拗に丁寧な“仕事”、装飾が施されている。そして、そのコーンの大量が、ゴミ箱代わりのポリバケツに“食べ残し”として捨てられていた……。
たしかに、「食材」と捉えるにはあまりに毒々しい配色と(なかなかの)ボリューム感は、見るからに食欲が失せてしまうビジュアルである。ダイエットの面でも少なからずの弊害はあるだろう。しかし、この「撮ってポイ捨て行為」に対するリアクションは否定的な論調が大半を占め、
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「買ったからには最後まで食してほしい…」
「『インスタ映え』という言葉が招いた事象? 最近のメディアではさかんにそんな言葉が使われているような気もします」
「食べないのによく写真撮るだけのために投資できるな…。インスタがおしゃれってやたら煽るメディアの責任」
……ほか、昨今のSNS社会に疑問を呈する“真っ当な意見”が続々と寄せられていた。
じつは今回のこのテーマ、citrus編集部サン側からいただいたもので、原稿依頼のメールには、
このままだと「このヒト嫌いなんだけど、(イケメンで)インスタ映えするからデートしてしてみた」とか「話はつまらないんだけど、(美人だから)インスタでウケそうなんでお茶してみた」みたいな“インスタ専用の彼氏・彼女”とかが出てくるのではないでしょうか?
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という、悲観的な予測までが追記されてあった。いや、予測ではない。現に、私の周囲からは「インスタ映え」だけを目的に、外見のみが優れた異性とデートを繰り返す20?30代男女の体験談が、けっこうな頻度で漏れ伝わってくる。
なんとも嘆かわしい話だ、自分が本当に欲しいもの・好きなものじゃなくて、「いいね!」やフォロワーの数を基準に購買の是非を決めるとは、これぞ本末転倒ってやつではないか……と、私はまったく思わない。
なぜなら、私ら初老世代も若かりしころは、モテたいがためだけに「聴きたくもないレコード」や「邪魔にしかならないゴテゴテのアクセ」や「維持費ばかりがかかるクルマ」や「着けたくもないコンドーム」……などを片っ端から買いまくっていたではないか。無駄な散財をことごとくし尽くしてきたではないか。モチベーションが「モテ」から「インスタ映え」に変わっただけ。そして、時代の流れによって“大事なこと”の優先順位が異なってくるのは当然で、そのジェネレーションギャップに抗い、「最近の若いモンは…」と嘆いたところでどうにもならないのだ。
ただ、“古い人間”として一言だけ言わせていただくなら……やはり、食べ物を粗末にするのはよくないでしょ! まだ世界には、飢餓に苦しむ人たちがたくさんいるわけだし。