眠らないと「メタボ」になる! 最適な睡眠時間は…?

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2017年06月14日 18:00  citrus

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昔から「寝る子は育つ」といわれてきましたが、今では「眠らないとメタボリック症候群」が新常識です。

 

海外での研究によると、肥満の程度は7〜8時間眠る人が最も軽く、それより睡眠時間が短くても長くても肥満度が高くなります。5時間睡眠の人は肥満率が50%アップし、4時間以下の睡眠ではなんと73%も上昇してしまいます。日本人でも同じような結果が出ています。約2万人の日本人男性で平均睡眠時間と肥満のなりやすさを調べたところ、睡眠時間が5時間以上の人に比べて、5時間未満の人は肥満になりやすいことが分かりました。

 

どうして睡眠時間が短いと肥満になりやすいのでしょうか? それは、「レプチン」と「グレリン」というホルモンのバランスが崩れてしまうからです。レプチンは脂肪細胞から出る、食欲を抑えてくれるホルモンです。一方、グレリンは胃で作られるホルモンで、食欲を増す働きがあります。睡眠時間が短いと、満腹ホルモンのレプチンが減り、空腹ホルモンのグレリンが増えてしまいます。睡眠時間が5時間の人は8時間の人に比べて、レプチンが16%少なく、グレリンは15%も増えます。つまり、睡眠時間が短い人は、食欲が増して太りやすい身体になってしまっている、ということです。さらにグレリンが多いと、高脂肪食や高カロリー食を好むようになります。睡眠不足のときに、甘いケーキや脂ぎったラーメンが欲しくなるのはこのためです。

 

逆に、十分に眠れば体重のコントロールもうまくいきます。睡眠時間を削る実験が終わった後に、2日間続けて10時間睡眠をとると、食欲に関するホルモンが正常値に戻りました。空腹感と食欲の強さを表す数値も、約25%減っています。このように、睡眠不足だと食欲が増し、食事の量や食事を取る機会が増えることで、身体に余分な脂肪をため込んでしまうのです。

 

睡眠不足の人は、摂取カロリーが増えるだけでなく、消費するカロリーが減ります。睡眠不足のときは、頭がボ〜ッとして体がだるく感じます。そんな状態では、活発に動き回ろうとはしません。そのため、運動によって消費されるカロリーが減ってしまうのです。つまり、しっかり眠らないとカロリーを体にためやすく消費しにくいので、脂肪が蓄積されて肥満になってしまうのです。

 

 

■睡眠時間と糖尿病リスクにも深い関係が

 

睡眠時間が短かったり睡眠の質が悪かったりすると、単なる肥満だけでなく、糖尿病など生活習慣病のリスクも高まります。欧米での調査によると、糖尿病になるリスクは、不眠がない人に比べて不眠がある人で、1.5倍も高くなります。日本で行われた調査でも、寝つきが悪い人はそうでない人に比べて糖尿病になるリスクが3.0倍になり、夜中に目が覚めてしまう人はそうでない人に比べて2.3倍に上昇しています。

 

睡眠時間と糖尿病のなりやすさにも、関連があります。睡眠時間が7〜8時間の人に比べて、睡眠時間が6時間以下の人は1.7倍、5時間以下では2.5倍も糖尿病の人が多くいました。一方、睡眠時間が長くても糖尿病の人が多くなり、9時間以上眠っている人では1.8倍になりました。うれしいことに、不眠症の治療をきちんと行えば糖尿病は良くなります。不眠症を合併している糖尿病の患者さんで、睡眠薬を飲んでグッスリ眠れるようになったグループと、不眠症の治療を受けなかったグループを比べると、後者では半年間で糖尿病が悪化したのに対して、前者では糖尿病が改善しました。眠っているうちに糖尿病が良くなったということです。

 

「たかが睡眠不足」などと甘く見ていると、メタボリック症候群、そして生活習慣病へまっしぐらに進んでしまいます。これを機会に生活習慣を見直して、今夜からグッスリ眠りましょう。

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