「ちょっとくらい」の油断が禁物! 妊娠中のNG行為とその理由

0

2017年06月20日 12:00  citrus

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

citrus

写真

妊娠中はタバコやお酒はダメとか、自転車には乗らない方がいいとか、妊娠すると何かと生活が制限されてしまいがちですが、「妊娠中のNG」にはちゃんと理由があるのです。

 

 

■妊娠中の海外旅行やセックスはなぜダメなのか

 

例えば、妊娠中の海外旅行……最近は「マタタビ」などと称して妊娠中に海外旅行を楽しもうといった内容の特集も組まれたりしているようですが、医師の立場からするととても頭の痛い問題です。以前総合病院に勤めていた時に、医師の忠告を無視して妊娠16週を過ぎてすぐにハワイ旅行に行ってしまった妊婦さんがいらっしゃいました。幸い旅行中は何事もなかったようですが、帰国後から子宮の収縮が止まらなくなり、切迫流産の診断で長期安静入院が必要になってしまいました。その方は、帰国後に結婚式まで予定されていたのですが、出産後の挙式に予定を変更していただきました。

 

妊娠中に海外旅行に行ったからといって、そのせいで赤ちゃんに何か異常が出たりはしません。でも、妊娠中はいきなり出血するなど、急に体調が変わったりする場合があります。いつどんな急変が起きるかわからない状態で長時間途中下車ができない飛行機に乗ったり、言葉の通じない国に滞在することは、とてもリスキーなことなのです。万が一受診が必要になったりしたら、保険はききませんから、診療内容によっては多額の請求が来ることになります。

 

医師によっても意見が分かれるのが妊娠中のセックスですが、基本的にはNGです。特に、妊娠初期の方や切迫症状がある方、胎盤の位置が低い方は「絶対にダメ」と考えた方がいいでしょう。妊娠23週で破水した妊婦さんがいらっしゃいましたが、前日からお腹が張っていたにもかかわらず普通にセックスをしていたのです。それが破水の直接的な原因であると断定はできませんが、破水の原因である炎症の原因を作る一因にはなっていたと思われます。また、妊娠中はコンドームが必要ないと勘違いなさっている方も多いようですが、妊娠中ほどコンドームは必須です。

 

 

■妊娠中のたばこがもたらすマイナートラブル

 

妊娠中のたばこがよくないことは、皆さん「頭ではわかっている」ようですが、妊娠が分かっても禁煙できない方はいらっしゃいます。でも、妊娠中の喫煙は、母体にとっても胎児にとっても様々なリスクを作ることになるのです。人気漫画「コウノドリ」でも喫煙妊婦の常位胎盤早期剥離について取り上げられていましたが、母体側への影響としては喫煙による血栓症や常位胎盤早期剥離のリスクが上がります。また、胎児の体重増加が不十分になったり、口蓋裂などの先天的な異常のリスクが上がったりします。最近の発表では、喫煙が発育中の胎児のDNAに科学的な変化を生じさせ、子どもを危険にさらす恐れがあることも指摘されています。妊娠中にお腹の中でたばこの影響を受けるだけでなく、生まれた後もDNAの変化が残ってしまうということです。

 

どれも「ちょっとくらいなら」と思ってしまいがちなNG項目かもしれませんが、妊娠中の体はとてもデリケートなのです。その「ちょっと」が大きなトラブルにつながってしまう可能性もあるのだということをしっかり認識しておきましょう。

    前日のランキングへ

    ニュース設定