小児C型肝炎、母子感染が99%以上

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2017年06月20日 12:02  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

過去30年間の傾向を調査

 小児のC型肝炎ウイルス(HCV)感染に関して、久留米大学が最近30年の疫学的特徴を調査した結果、診断時年齢の低年齢化や、母子感染が99%以上になっている傾向が明らかになりました。

 HCVは、C型肝炎を引き起こすウイルスで、感染すると約70%以上がキャリア(持続感染者)になるといわれています。自覚症状がないまま病気が進むこともあり、慢性肝炎や肝硬変、肝がんへと進行するケースもあります。国内では、慢性肝炎、肝硬変、肝がん患者の約60%がHCV感染者で、このうち、年間3万人が肝がんで亡くなっています。感染が疑われる場合は、自覚症状がなくても早めに精密検査をすることが重要です。

 小児HCV感染について、国内はもとより世界的にもほとんど大規模な疫学研究例がないことから、久留米大学医学部小児科学講座の水落建輝助教を中心とする研究グループでは、過去最大規模となる調査・研究を実施。1986年から2015年に生まれ、研究条件を満たした348例を、出生年ごとに3つのグループに分け、診断時年齢、最終受診時診断、治療、感染経路、ゲノタイプ(遺伝子型)などを比較しました。


画像はリリースより

診断時年齢は低年齢化の傾向

 研究条件は、HCV-RNA陽性が確認され、かつ17歳未満で診断された子ども。対象となったのは、男児154例、女児194例で、出生年別に、1986〜1995年(49例)、1996〜2005年(175例)、2006〜2015年(124例)と10年ずつ3つのグループに分けて、各項目を比べました。

 その結果、診断時年齢は、約6.4歳、約3.6歳、約1.1歳と低年齢化の傾向がみられました。全体の半数以上が治療を受けており、最終診断時の病状は、自然消滅9%、キャリア34%、慢性肝炎4%、SVR(ウイルスが体内から排除されて、血液検査の結果が陰性になること)40%、治療中5%、不明8%、肝硬変/肝がん0%となりました。欧米で1〜2%に認められる肝硬変は、国内ではみられませんでした。大部分の症例は肝組織で繊維化がない、もしくは軽度という研究成果となり、今後の小児HCV感染症の管理や治療の指標になると考えられます。

 また、感染経路について、母子感染の実数は増加していないものの、経路全体に占める割合は増加しており、2006〜2015年は99%に達していました。このような現状から、研究グループでは「妊娠前の女性HCV感染者への根治的な治療が、小児HCV感染撲滅のために重要である」ともしています。(菊地 香織)

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