■学校では昼寝が大流行!?
2016年６月に兵庫県加古川市の加古川中学校で、全校生徒が一斉に昼寝をする「加古川シエスタ」が行われました。昼寝することで眠気を減らして集中力を高め、午後からの授業や部活動を活発にしようと、同校の生徒会が企画しました。同校はエネルギー教育モデル校でもあり、照明を消すことで省エネルギーに貢献しようという思いもあります。シエスタの時間になると生徒たちは、机に突っ伏したり腕も組んだりして、思い思いの姿で眠りました。わずか10分間の昼寝でしたが、生徒たちは疲労が取れたり頭がスッキリしたり、効果を実感したようです。
福岡県久留米市の明善高校では、2005年から午睡タイムが設けられています。同校の卒業生である内村直尚・久留米大教授（精神神経科）の提唱により始まりました。15分間の昼寝ですが効果は絶大です。午後の授業への集中力が増し、センター試験の平均点も伸びました。保健室の利用回数や部活でのケガが減るなど、健康面でもよい結果が出ています。
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■午後に眠くなるのは自然なこと
昔はよく「食事のあとにすぐ眠ると、牛になるよ！」と言われました。たしかに、昼ご飯のあとは少し眠くなります。これは主に、お腹がふくれると脂肪細胞から分泌される満腹ホルモン「レプチン」の仕業です。また、午後に眠くなることには、体内時計も関係しています。体内時計が作り出す眠気のピークは、1日に2回あります。一番大きなピークは午前2〜4時ごろにあり、もう一つの小さなピークが午後2〜4時ごろにあるのです。午後に眠くなるのは気合が足りないのではなく、体の自然な働きによるものです。
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午後の眠気への対処の仕方には、2つあります。眠気に対抗して頑張って起きているか、眠気に身をゆだねて眠るかです。今、ビジネス界では、昼寝のことを「パワー・ナップ」と呼んでいて、先進的な会社では導入が進んでいます。ある企業では、会議室に仮眠用のリクライニングチェアをたくさん用意して、いつでも仮眠できるようにしました。また、パーティションで仕切られた仮眠部屋を作った会社もあります。マイクロソフトの本社には、１千万円もする仮眠専用ポッドがあると言われています。
■昼寝は午後３時までに20分間
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夜の睡眠不足を補うために最も効果的なのは、仮眠をとることです。そして、仮眠の基本は、正午から午後３時までのあいだにとる20分の昼寝です。
昼寝はなぜ、「午後３時まで」にとらないといけないのでしょうか？ 午後の仮眠は、その日の夜の睡眠を先取りします。遅い時間に仮眠をとると、夜の睡眠に悪影響がでてしまうので、昼寝は夕方より前に終わっておく必要があります。「20分」という長さにも理由があります。深い睡眠のときに目覚めようとしても、なかなか起きられません。さらに、目覚めたあとに頭がスッキリするまでに、時間がかかってしまいます。ですから、仮眠では睡眠が浅いうちに目覚めたいのです。若い人は20分、高齢者でも30分も超えると眠りが深くなりすぎるので、それより前に起きることが大切です。
社会人は昼休みが終われば、昼寝どころではなくなります。そのため、昼休みの前半で昼食をとり、後半に20分の昼寝をするのが現実的です。昼寝の後には、集中力が増し思考力や判断力が高まって、仕事や勉強の効率が高まります。また、ミスや事故が減るので、残業も少なくなってきます。さらに、病気になりにくい健康な体になって、長生きできることが知られています。
■アラームやカフェインも使って深く眠りすぎない工夫を
昼寝のときに、ソファや長椅子に寝そべって眠るのはいけません。横になるとすぐに深い眠りに入ってしまうので、20分では起きられなくなってしまいます。椅子にもたれかかるか、机に突っ伏して眠りましょう。椅子にもたれかかって眠るときは、首を痛めないように、コの字型の枕などを使ってください。机に突っ伏して眠るときも、顔にあとがつかないように昼寝用の枕を使ったり、よだれが垂れても大丈夫なように、ハンカチを口に当てたりしましょう。
睡眠不足がたまっていれば、間違いなく20分以上眠ってしまいます。眠る前には必ず、アラームをセットしておきましょう。20分の昼寝の前にカフェインをとることもお忘れなく。目覚めるころにカフェインの覚醒効果があらわれて、スッキリ目が覚め、クリアな頭で午後の作業を始められます。
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