心房細動の発症リスクを予測するスコアを開発

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2017年06月22日 12:02  QLife(キューライフ)

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心房細動は脳梗塞の危険因子


画像はリリースより

 国立循環器病研究センターのチームが、地域住民を対象に行ってきた研究データから、心房細動の発症リスクを予測するリスクスコアを国内で初めて開発し、10年後の心房細動発症確率を予測するスコアファイルも同時に作成しました。

 心房細動は、心臓が小刻みにけいれんすることで血栓ができやすくなる不整脈の一種。血栓が脳に飛んで血管を詰まらせると、脳梗塞を発症するリスクが高まり、高齢者の脳梗塞の危険因子となっています。脳卒中と認知症を総合した脳血管疾患は要介護原因の4割を超えており、高齢化社会において健康寿命を延ばすには、循環器病を予防することが重要といえます。

 しかし、2008年から始まった特定健康診査(メタボ健診)の項目から心電図が外れたことで、心房細動の早期発見が難しくなり、潜在的な心房細動患者の増加が懸念されていました。一方、国内には心房細動のリスクスコアはなく、国際的にも極めて少ないのが現状。そのため、日本人の実態に合った心房細動のリスクスコアの作成が急務となっていました。

10年後の心房細動発症確率を予測するスコアファイルも作成

 同センター予防健診部の小久保喜弘医長らのチームでは、同センターが大阪府吹田市の住民を対象に長年実施してきたコホート研究(地域住民の健康状態を長期間追跡し、病気になる要因等を解析する研究手法)のデータを用いて、心房細動のリスクスコアを開発。年齢や、血圧・体重などの循環器リスク、飲酒・喫煙などの生活習慣などの項目からなるもので、リスクが高いほど各項目のスコアが高くなります。

 さらに、健診の結果など簡単な項目を入力するだけで、10年後の心房細動発症確率を予測するスコアファイルも作成。例えば、リスクスコアが13点の男性の場合、心房細動の予測確率は16%ですが、過体重を改善するとスコアが2点下がり、確率は9%にまで減らせることがわかるなど、具体的な改善項目がわかるようになっています。

 リスクスコアを使うことで、健診時にスコアが高い場合は追加で心電図を実施したり、一般外来でも高スコアの患者さんに心電図検査をしたりすることで、早い段階で心房細動の予防に取り組んでもらうことができます。研究チームでは今後、「他の地域集団での妥当性や他のリスク要因の検討も行い、心房細動になる予測能を高め、健診や疾患ガイドラインの策定などに寄与できることを目標とします」としています。(菊地 香織)

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