オリラジあっちゃんも説く「ネット情報頼みの育児」の危うさ

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2017年06月23日 18:00  citrus

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■ウェブライターですが「ネットは見ません(すみません)」

 

子育てや教育分野を始点とし、ウェブメディアで15年書き続けてきた私であるが、勇気を出して言ってしまおう。私は自分の子育てや自分の子どもの教育に関しては、公式の事実以外のネットの情報をほぼ全く見ず、たとえ専門家のHPであっても参考にしない。口コミサイトなどは、まずアクセスしたことがない。

 

ネットでは、例えばクリニックの住所電話番号や診察時間、医師の経歴などの事実情報以外は調べない。ところが検索バーに「◯◯クリニック」と入れるとサジェスト機能にほぼ必ず「評判」「口コミ」と続いて出てくるのを見て、世間は他のユーザの評価を気にするものなのだなと感じる。本当に存在するかどうかもわからぬ、性別も年齢も何一つ正しくは表記していないネットの向こうの見知らぬ他人が書き散らすことであっても、だ。

 

「◯◯駅 塾 口コミ」や「◯◯アレルギー 対策 市販薬」、「◯◯中学 事件 2ch」などの検索サジェスチョンを見ても、そうかネットユーザはこういう検索をしているのかと感心する。自分が実際に行って、見て、生身の相手に話を聞いて、体験して、試行錯誤して自分の感想を持つ前に、存在しているかどうかもわからない他人の意見で目が曇ってしまったら、ちょっと勿体なくないかな〜。

 

私は実はネットでの子育てや教育関連の記事も見ない。時おりキュレーションメディアでヘッドラインだけ確認するけれど、深掘りすることも少ない。

 

いや、私だってグルメや酒の情報やら、手遅れだけどコスメやら音楽やら、あるいは人の意見の分かれ具合こそがコンテンツの魅力になる政治やらの分野なら、「いま、何が一番ホットなのかしら〜」「何か炎上してるかしら〜」とランキングも口コミもオピニオンも下世話なまとめも、散々よく読む。下世話、大好きよ。でも子育てや教育の分野では、せいぜい手堅い大手新聞や出版社の発行物に載った情報までにとどめ(それもすごく限定的)、直接見聞きすることにこだわって絶対に”ネットに聞かない”のは、私にとってそれだけ子育てと教育が、人のふわっとした感想や不確実なわりにまことしやかな情報に左右されたくない大切なこと、自分の五感を頼りに自分で考えたい”エゴの領域”だからなのかもしれない。

 

 

■あっちゃん、子育てする親の情報リテラシーについて語る

 

コンビ曰く”3度目のブレイク”を謳歌し、社会的発言も注目を浴びるオリラジ中田敦彦さん(あっちゃん)の子育てオピニオン連載が好調だ。トークライブや「しくじり先生」の人気からもわかる通り、父になって以来、彼の語りにはさらなる磨きがかかって、どんどん別の地平へと向かっている気がする。もともと強固な持論を持っている人だけに、自らの子どもを育てるという、人としてのエゴ(自我)の延長にある(あっていいと思う)子育ての分野での発言に向いている人だ。

 

・中田敦彦 「疑心と信念」が情報過多社会では必要

 

 

ここで語られるのは、親たるもの、玉石混淆のネット情報に振り回されず、その真偽に疑心を持ち、自分の子育てはこうありたいとの信念を持って自律的に利用せよ、という、まさに親の自我について。自我って言うと、集団からの逸脱を嫌う日本ではやたらと利己主義とかわがままみたいな受け取り方をされるけれど、そうじゃない。大人になればなるほど問われるのは自我のありよう、自分の中に判断の基準を持っているかどうか、哲学があるかどうかだ。

 

 

■ネットで「正解」を探しちゃダメ

 

でも、特に最近、世間の子育てパパママの情報リテラシーが高いのか低いのか、よくわからなくなる時がある。「なんでそんないかにもブラフな情報を真に受けちゃうワケ?」とか、「エッ、そんなにその是非って大事? 流せないもの?」みたいな場面がある。”子育て層”って、ざっくり言うけれど実はものすごく幅広い。要は、子育て期って”長子の誕生から末子が成人するまで”と、えらく長いのだ。私なんかは上の子と下の子が9歳も離れているから、上の子の誕生から下の子の成人までゆうに……え〜っと、人生のうち約30年も”子育て層”だ(マジか)。でもね、明らかに子育てビギナーだった20代と今では、世間の育児の常識が全く違う姿をしている。世間の家族のあり方にもだいぶ違いがある。日経DUALであっちゃんが語っている通り、「育児にも流行がある」わけなのです。

 

しかも、早婚の親もいれば晩婚の親もいる。最も様々な悩みやトピックが持ち上がる、妊婦〜中高生の親くらいまでが全部その中に包括されるからだ。するといわゆる”子育て層”とは20代前半からアラカンくらいまで、ゆうに約35年(!)の開きがあるということになる。

 

で、年齢も育った時代も社会的所属も、背景を全く異とする親たちが、ネットの黎明期から現在までの約20年の間に、様々な(主観的な)情報や感情をネット上に刻んでいったものが「子育て情報」として蓄積されているわけだ。古いのもあれば、不正確なものもあれば、露骨だったりほのかだったりの悪意もあるけれど、サイトの運営方針次第でただそのままに放置されている。だから、ネットの検索で真実を知ることができるだなんて思っちゃダメよ、そんなにネットを信じちゃいかんよと言いたい。ネットで「正解」を探す、そんな世代がどんどん増えているけど、危ないよ。育児に「正解」があると思っているのも危ないゾ。育児に限らず、「正解」っていうのはお勉強の世界の用語であって、現実の世間にそんなもん、ないから。自分の正解は自分で作るものだから。

 

私たちの子どもたちは、ネットネイティブ世代として、リアル世間で知識を体得する前にネットで情報を身につけていく。総務省情報通信政策研究所の「平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、メディアが流す情報を信用する10代の割合は他のどの年代よりも高い。流されている情報を「全部信頼できる」「大部分信頼できる」と答える10代は、「インターネット」で38.1%、「テレビ」で73.4%もいる。ねぇねぇ、メディアで制作する側の皆さん、胸に手を当てて黙考しましょうよ。本当にホントのところ、「えっヤダ、若い子にそんなに信じられちゃうと困る」って思いませんか(思わない皆さんはきっと心がとっても綺麗なのですね)。だからこそ、大人はネットを頭から信じないスタンスを教えてあげないといけない。親がネット情報に依存して子育てしている場合じゃないのだ。ネットは胡散くさいものと心得て、話半分、5割は眉唾か「そいつの主観」として見ておこう。そういう私も、胡散臭いからあんまり信用しないでね。

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