今年、台北に行く前に香港に寄った理由は中国 深圳に行きたかったから。世界の電脳工場としてあらゆる電子機器や部品がある街。様々な偽物がある街。iPhoneを作っていた(今も?)街。とにかくIT関係の仕事をしている者としては、一度は訪れる必要がある場所。以前からそう考えていた筆者はこの機会で深圳初訪問となったわけだ。
○電脳ビルの目抜き通り 华强(華強)北路
深圳の心臓部は国境を越え、地下鉄を乗り継いだ华强(華強)北駅の近辺だ。駅から出ると都会! 中国の泥臭さではなく、香港のようなビルが並ぶ場所だ。数年前、北京に行ったことがあるが、またそれとは違う雰囲気がある。
そして電脳関係のビルが集まっているのは华强(華強)北路という通り。広い遊歩道の左右に並ぶビルは皆、IT関係のお店が並んでいて、そこを忙しく人が動いている。
最初に目に付くのはXiaomiやHUWAEI、Oppoなどの路面店だ。これらの路面店は専門店らしく、ちゃんと同じユニフォームを着た店員がいて説明してくれる。华强(華強)北路から少し離れたイオンに入っているXiaomiの直営店「小米之家」に行ってみると、外観、内装ともにまさにApple Store。売ってるスマホ「Mi 5s」がほとんどiPhoneだったり、新製品のノートブック「Mi Notebook Air」もMacBookみたいだったり。
そしてよーく見ると华强(華強)北路の路面店にもご存知のあの林檎のマークがいっぱい。シルバーの外観で内部もそんなイメージで……あ、でもSamsungとHUWAEIのマークも並んでませんか??
○スマホ関連の部品が揃う怪しい空間を歩く
华强(華強)北路を突き当たった向かい側のビルの中はスマホのパーツ類を扱うお店がずらりと並んでいる。ここにはiPhone関係のパーツもたくさん並んでいて外装にバッテリー、液晶は当たり前のようにあり、さらにロジックボードやCPUまで並んでいる。多くのパーツは中古のものや壊れたiPhoneから取り出したもののようだ。以前深圳でiPhoneをパーツを集めて作ってみたという記事があったが、確かにここなら全てのパーツが揃うだろう。
ほとんどのお店でその場で修理や交換を行ってくれるようなので、液晶が割れたまま使ってる人や外装の色を変えたいという人はここでサクッと交換してしまえるんじゃないだろうか。筆者もサブ機を持ってってやってもらえばよかったかもしれない。ただし英語も通じなさそうなので言葉の壁が一番の問題か。
○深圳のおばちゃんパワーを思い知る
さて今回、一緒に行った友人が目的にしていたのはThinkpadの修理パーツを探すこと。ちょっと古いThinkpadの液晶が割れたそうで、深圳の業者とアポを取って必要なパーツを買うことになっていた。weChatで連絡を取ってやってきた人は一応英語ができるらしいのだが、途中からスマホの翻訳アプリを使って中国語-日本語で会話し始め、電脳ビルの一つに連れて行かれた。あちこちのブースを回っては、必要な部品を探して買って行く。
圧巻はこのThinkpadのパーツ専門店。壁一面、Thinkpadの外盤などのパーツが所狭しと置いてあるのだが、機種を言って「このパーツ」という型番を出すと、おばちゃんが数千はあるであろうパーツの中からサクッと物を出してくる。それだけでなく「その部品が壊れてるならこれもいるでしょ?」と、ケースにつけるロゴマークや液晶側に貼る小さなインジケーターのシールまで、購入する本人も気が付かなかった関連パーツをどんどん出して見せてくれるのだ。結局必要なパーツはここでほぼ揃ってしまった。液晶も含めて日本で買う値段の1/3程度で揃ったのにはびっくり。
これらのパーツ専門店の多くは女性だけで切り盛りしているところも少なくない。深圳の電脳を支えてるのはこんな強ーいおばちゃんたちなんだなぁと感じた面白い時間だった。
こうして5時間程度の短い滞在だったが、深圳のほんの触り部分だけは体験できたかなぁと。行ってみて思ったのは、まず何も考えずに行っても右も左もわからないだろうなということ。結構下調べをして行ったつもりだったが、まだまだ見ていないところがある気がする。誰か詳しい人がいればもっと色々なものが見れたかもしれないと思うと悔いが残った。
もう一つは目的を持って、例えばiPhoneを改造しようとかイチから作ってみようとか、そんな感じで行くともっと面白いものが見られるかもしれないなと。今回はThinkpadだったが、小さなブースの中にはMacBookを直して売ってる人もたくさんいた。壊れてしまったMacBookを持って行って直してみるとどんなことになるのか試してみたい。
いずれにしろもう一度行ってみなければ! と思う場所だった。今回は香港から移動しての訪問だったが次回は宿泊先も深圳に取って、もっと時間をかけて回ってみたい。数カ月で展示品もお店も変わってしまうという噂もある深圳。次回はどのような顔を見せてくれるか楽しみだ。(矢橋司)