日本にいると、日本人であることに恩恵を感じる機会はほぼありません。しかし海外に行ってみると、日本の良いところや改善すべきところなどが次々と見えてきます。実際、筆者はこれまで欧州・中東を中心に数十カ国と旅をしてきましたが、その中で「日本人でよかった」と思うことが度々ありました。
こんな出だしで始まるコラムを、昨日ここcitrusで見つけた。こういうのを「灯台もと暗し」とでも言うのだろうか、なかなかに心和む感銘深い原稿であった。
筆者であるカスプシュイック綾香という人(「カスプシュイック」がファミリーネームか、なにかの集団名かはよくわからない)は、当コラムで“豊富な海外在住経験”をもとに「海外から見た日本人の魅力」として、以下の5つを挙げている。
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- どこの国へ行っても話題が豊富
- 日本食が恋しくなっても安心(海外にはいたる場所にSUSHIがあるから……らしい)
- 日本のパスポートを持っているだけで多くの特典がある(パスポート自由度ランキングは世界5位…らしい)
- 宗教に対して柔軟な考え方や見方ができる
- 外国人が抱く日本人の印象はポジティブ
さらには、日本国籍であるだけで提出書類が少なくなったり、ビザが免除されたり、移住期間が短くてもローンをすぐに組むことができたりすることもあるのだという。どれも、海外滞在期間が最長でもたかだか1カ月程度の私なんかには到底イメージできないリアルな肌感覚だが、頭で一応理解するだけでも、「日本人すげー」と、なんとなく誇らしくなってくる「読んで得した気分になれるコラム」ではないか。
よく、海外に在住して長い日本人が現地から発信する、やれ「ニューヨーカーはどうだ」とか「ロンドンではこうだ」とか「パリでは、スイスでは、ウィーンでは云々かんぬん」……みたいな比較論的事象を書き並べ(なぜかアジア地域からの発信は少なかったりする)、暗に(ときには露骨に)「日本のここがおかしい!」と批判めいた論調を匂わせるコラムやエッセイを見かける。私はこの手の文章がとても嫌いだ。基本、日本を活動の拠点とする、「日本からロクに出たこともない」私なんかのような人間からすれば、“大きなお世話”以外の何物でもないからである。アンタらはアンタらで勝手にそっちの素晴らしさを堪能しといてください、私らはこっちで勝手にやってますから……と。
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いつまでもドメスティックで視野の狭い島国根性を引きずっていたら、これからのグローバル化社会から取り残されますよ……って忠告されても、「視野が狭くてなにが悪い」と思わず言い返したくなってくる。毎日、原稿を書いて、それを売って慎ましやかに暮らしている私にとって、「視野の広さ」はさして必要もない。いや、中途半端な「視野の広さ」は、むしろ文体や主張の勢いを削いでしまう危険性すらある。
「おかしい日本」で生きていく以上は、その「おかしさ」に気がつかないままでいるのが一番幸福だと私は思う。そして、たまーに「日本人も捨てたもんじゃないですよ」と褒めてもらって、「いや〜、それほどでもないですから……」と軽くうぬぼれているくらいでちょうどいい。「ドイツでは子どもが風邪をひいたとき、コーラを薬代わりに飲ませる」とか、単純な“各地の面白い風習”を伝えてくれるようなほのぼのネタは、わりと好きなんですけどね……。
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