トヨタ屈指のミディアムサルーンであるマーク�兇蓮�基本コンポーネントを共用するチェイサー／クレスタとともに1984年にフルモデルチェンジを実施。高級感をいっそう強調したX70型系に移行する――。今回はハイソカー・ブームの波に乗り、販売台数を大いに伸ばすこととなった“美しき正統”こと5代目マーク�供�1984〜1988年）で一席。
【Vol.23 5代目トヨタ・マーク�供�
トヨタ自動車の定番ミディアムサルーンとして、ユーザーから高い支持を獲得していた1980年デビューの4代目コロナ・マーク�供�2代目チェイサー／初代クレスタの3兄弟。開発陣は来るべきフルモデルチェンジに向けて、3兄弟の新たな車両コンセプトを練り上げていく。最終的に達した結論は「既存モデル以上に各車のキャラクターを鮮明に打ち出す」ことで、マーク�兇呂茲蟲鐔酸�を重視したハイオーナーカーに、チェイサーはスポーティ志向の上質サルーンに、そしてクレスタは高級パーソナルセダンに仕立てる旨を決定した。
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■3兄弟の長兄として“美しき伝統”を継承
コロナが取れて単独ネームとなった5代目のマーク�兇蓮�3代目チェイサー／2代目クレスタとともにX70型系として1984年8月に市場デビューを果たす。目指したのは“時代をリードする高級・高性能サルーン”の創出。ボディタイプはマーク�兇�4ドアハードトップと4ドアセダン（後にワゴンとバンを設定）、チェイサーが4ドアハードトップ、クレスタが4ドアセダンを設定した。広告展開も3兄弟で明確に分けられ、キャッチフレーズはマーク�兇�“美しき伝統”、チェイサーが“野望マキシマム”、クレスタが“トヨタの最高級パーソナルセダン”を謳う。イメージキャラクターには、マーク�兇鵬良餞賁鮗圓力斬緻椹埓鄒�五郎（九代目松本幸四郎）さん、チェイサーに米国の俳優で映画『ビッグ・ウェンズデー』に主演したジャン＝マイケル・ヴィンセントさん、クレスタに従来型に引き続いて日本の名俳優の山崎努さんを起用した。
ステアリングからの動線を考えた、メーターナセル両脇のサテライトスイッチが目を引く。インテリアは豪華なリビング風
3兄弟のなかの最量販車種で中心モデルに位置する5代目マーク�兇蓮▲后璽僉璽曠錺ぅ鉢兇離椒妊�色をイメージカラーに、ハードトップは大型フォグランプを一体化した個性的なフロントマスクやリアクオーターに配したクリスタルピラーなどによりダイナミックかつエレガントなプレステージサルーンに、セダンは面一化したキャビン部と6ライトウィンドウの開放的なグリーンハウスにより格調高いハイオーナーカーに仕立てる。内包するインテリアについては、フロア部およびダッシュボードまわりに新開発のサンドイッチ制振パネルを採用して静粛性を引き上げると同時に、使用頻度の高い機構をステアリング付近に配置したサテライトスイッチ、メモリー付きのチルトステアリング、コラム左右のエアダクトから即時に温風が吹き出て手元を暖めるクイック・ハンド・ウォーマー、日時／燃料消費量／平均速度といった情報を表示するスーパー・モニタリング・ディスプレーなどを装着して快適性と利便性を高めた。また、ホイールベースの延長（従来比＋15mmの2660mm）やフロアの低床化などによって居住スペース自体も従来モデルより拡大させる。座席には新たにボリューム感のあるルーズクッションを持つスーパーラグジュアリーシートを設定した。
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オーセンティックな“ハイオーナーカー”のイメージに仕上げたセダン
前マクファーソンストラット／後セミトレーリングアームで構成する新設計のシャシーには、最新のエレクトロニクス技術をふんだんに盛り込む。PEGASUSと呼ぶサスペンションには電子制御可変ショックアブソーバーのTEMSを採用。挙動安定性を高める4輪ESC（エレクトロニック・スキッド・コントロール）やアシスト量を変化させる2モードプログレッシブ・パワーステアリングといった先進機構も設定する。搭載エンジンには1気筒当たり4バルブの1G-GEU型1988cc直列6気筒DOHC24V（160ps）を筆頭に、M-TEU型1988cc直列6気筒OHCターボ（145ps）や1G-EU型1988cc直列6気筒OHC（130ps）、1S-U型1832cc直列4気筒OHC（100ps）、2L-T型2446cc直列4気筒OHCディーゼルターボ（96ps）、2L型2446cc直列4気筒OHCディーゼル（83ps）という計6機種をラインアップした。
水平基調で伸びやかなフォルムが特徴的のハードトップ。当時のハイソカーブームのシンボル的存在として大ヒットモデルとなった
■走り好きから熱い支持を受けたGTツインターボ
より高級で華やかに、しかも高性能に発展した第5世代のマーク�兇蓮▲�レスタやチェイサーとともに販売台数を大いに伸ばし、やがてハイソカー（和製英語のHigh society carが語源）ブームを牽引していく。そして、この勢いは1985年10月に追加された“GTツインターボ”グレードによって最高潮に達した。
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GTツインターボには、1G-GTEU型と称する1988cc直列6気筒DOHC24Vツインターボエンジンが搭載される。日産自動車のRB20DET型（1998cc直列6気筒DOHC24Vターボ）に対抗することを目的に開発された1G-GTEU型は、既存の1G-GEU型をベースに排気通路を2分割化（1〜3気筒／4〜6気筒）して小型ターボチャージャーを2基設置した新ユニットで、冷却機構には水冷式インタークーラーと水冷式オイルクーラーを採用。さらに、電子制御燃料噴射装置のマッピングの見直しや各構成部位の補強も実施した。パワー＆トルクはクラストップレベルの185ps／24.0kg・mを発生する。高級サルーンの内外装を纏いながらスポーツカーに匹敵する刺激的な加速が楽しめたGTツインターボは、走り好きから高い人気を獲得した。
ハイソカーのシンボル的なモデルとして最高の売れ行きを示した5代目マーク�供覆�3代目チェイサー／2代目クレスタ）は、当時の日本車のルーティン通りに4年間の時を経て全面改良を行い、1988年8月に第6世代となるX80型系に移行する（ワゴンおよびバンは従来型を継続）。キープコンセプトながらボディ幅とホイールベースをさらに拡大し、スタイリングもやや丸みを帯びて洗練されたものとなった6代目。直線と水平ラインを多用したシャープなルックスを有する5代目がネオクラシック車として再評価されるのは、ずっと後のことであった。
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【中年名車図鑑】
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Vol.2 初代ダイハツ・シャレード・デ・トマソ
Vol.3 4代目トヨタ・セリカ
Vol.4 初代トヨタ・ソアラ
Vol.5 2代目ホンダ・プレリュード
Vol.6 5代目マツダ・ファミリア
Vol.7 初代スバル・レガシィ
Vol.8 2代目いすゞ・ジェミニ
Vol.9 初代・三菱パジェロ
Vol.10 5代目・日産シルビア
Vol.11 初代／2代目スズキ・アルト・ワークス
Vol.12 2代目マツダ・サバンナRX-7
Vol.13 2代目トヨタ・セリカXX
Vol.14 初代ホンダ・シティ
Vol.15 6代目・日産スカイライン2000RS
Vol.16 スバル・アルシオーネ
Vol.17 初代いすゞ・ピアッツァ
Vol.18 三菱スタリオン
Vol.19 ホンダ・バラードスポーツCR-X
Vol.20 4代目トヨタ・カローラ・レビン／スプリンター・トレノ
Vol.21 初代 日産マーチ
Vol.22 4代目 日産フェアレディZ
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