窃盗症(クレプトマニア)とは、万引きなどの窃盗がやめたくても止められない病気です。この病気が引き起こす万引きは、いわゆる通常の万引きとは全く違うものになります。その境目は、どこにあるのでしょうか。
■「窃盗症」という病気
いわゆる万引きであれば、盗むことで“商品を無料で手に入れよう”という目的がしっかりとありますが、窃盗症の場合は目的というより“盗みたいという衝動”。この衝動は耐え難く、我慢するととても苦しい気持ちになり、結果として盗んでしまうのです。それによる“スリルから開放される”ことで得られる快感に依存している病気なのです。
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■裕福な家庭で育った人に多いのは本当?
窃盗症にかかりやすいのは女性、しかも裕福な家庭で育った人に多いと言われていますが、実のところ、その真偽は明らかになっていません。
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また窃盗症が生じる原因については、かつてはフェティシズム、つまり幼いころに満たされなかった欲求を満たすために、万引きや窃盗をすると考えられてきました。しかし最近では、必ずしも心理的な問題によって起こるわけではなく、ギャンブル依存や買い物依存、アルコール依存症、薬物依存、摂食障害などを合併症として持っている方が多いことが分かってきました。
これらの精神疾患には、“衝動コントロールが難しい”という共通点があります。窃盗症になると、その行為による快感に依存するため、その快感が得られない場合は不快感が強くなる“精神依存”と呼ばれる現象が起きます。純粋に快感を求めるために行っていた行為が、罪悪感はあるものの止めようとすると不快感が出て窃盗を繰り返してしまうのです。
そのため高価なものには興味がなく、純粋にスリルのみを大切にします。ですから窃盗を行うために計画を立てたり、誰かと協力することは少なく、スーパーマーケットのような人目につきやすい店で窃盗に及ぶのが特徴的です。
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■身近な人に、気になる症状を見つけたら…
もし、身近な人が窃盗症だとわかった場合、その本人と話をすることから始めましょう。まずは窃盗が常習化している事実を知っていると伝え、本人の言い分を聞くのです。多くの場合、窃盗症に苦しんでいること、本当はやめたいと思っていることが語られます。それに共感し、「一緒に解決していこう」と声をかけると良いでしょう。
依存症という病気は、罰を与えれば治るものではありませんし、当の本人も止められないことに苦しむ病気です。責めたり叱ったりという対応をとってしまうと、本人との人間関係が崩れてしまうだけであり、改善にはつながりません。
また、窃盗の理由が窃盗症という病気が原因だとしても、行為自体は許されるものではなく、当然ながら法律上は刑事責任を問われることになります。まずは本人としっかりと話をした上で、精神科医療機関への受診を勧めることが大切です。どこに行けばいいか分からない場合は、最寄りの精神保健福祉センターに問い合わせると良いでしょう。
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