脳の活性化、ボケ防止、集中力アップに効く「漢字力」

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2017年07月13日 20:00  citrus

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パソコンやスマホの普及につれて、私たち日本人は漢字を手書きで書く機会からすっかり遠ざかっています。一方で、難読漢字に関する書籍は多数出版されていて、読めそうで読めない、書けそうで書けないといった謳い文句を付けて、いわゆる漢字力不足を指摘する、あるいは漢字力の低下に警鐘を鳴らすような風潮もいまだに残っています。

 

 

■漢字は「脳を活性化」させるって本当?

 

漢字は脳の活性化やボケ防止によいとも言われており、老若男女問わず幅広い世代の生涯学習の対象にもなっています。小学校の低学年、あるいは幼稚園のころから難しい漢字を覚える教育指導をしたり、80代になってから初めて漢字検定の受検にチャレンジするというケースもあります。実際に、漢字検定の最高峰である一級の試験に最年少で合格した小学生もいます。漢検一級に出題される漢字は6000字が対象ですから、合格した小学生は学校教育以外にも相当な勉強をしたことでしょう。

 

当たり前の事ですが、漢字は読みと書きの2種類の使い方があります。私たちが日常的使っているのは読みのほうで、書く作業は読みと比べて格段にその機会が少なくなります。

 

 

■読み方は?でも意味は想像できる

 

漢字を(目で)読むことと(手で)書くことでは、頭の使い方がだいぶ違います。漢字の読みでは文章の文脈から類推したり、偏や旁(つくり)から想像してある程度は見当をつけることが出来ます。新聞や本を読んでいるときに一部の漢字が読めなかったとしても、そこに書いてある内容は概ね把握出来るので、日常生活で困ることはさほどありません。つまり、難しくて読めない漢字を飛ばして読んだとしても、大して支障が無いわけです。

 

パソコンやケータイで文章を作る際も、ひらがな・カタカナを入力して変換すれば漢字が出てきますし、漢字の字体を詳細に知らなくてもおおよそのイメージで候補の中から該当しそうな漢字を選ぶだけなので、至って簡単な作業です。

 

 

■「書く」ことで高まる脳の集中力

 

一方、漢字を手で書く行為は、書き順はともかくとして、漢字の一画一画を決められた配置どおりに記す必要があります。覚えている漢字は難なくスラスラと書くことができますが、画数の多い漢字や複雑な字形の漢字は、点の数とか棒が一本か二本とか、突き抜けるかどうかなど、間違えないよう意識して書かなければなりません。この漢字を書くときの注意こそ、脳の集中力を高めていると言えます。

 

“漢字という図形”がパっと頭に浮かばず、記憶からうまく引き出せないとなると、ひらがなやカタカナから想像し、あるいは似たような漢字から推測して、頭をフル回転させて漢字のイメージを作り上げようとします。

 

たとえば、「搭載」という熟語があります。電車内の広告や家電製品の売り場、あるいはCMなどで、「ケータイに新機能搭載」みたいなフレーズを目にすることがあります。大概の方はあまり悩まず「とうさい」と読むことが出来ますが、逆にひらがなの「とうさい」を見て漢字に置き換えてと言われるとどうでしょう。「搭」の部首は「てへん(手)」でよかったか……。「くさかんむり」の下に「てへん」だったか……などと迷ったりしませんか? また「載」では、左下の「車」の部分が思い出せず、「戴」という漢字と混同したりしないでしょうか。似たような漢字があるとどちらが正しいか混乱し、いわゆる「ど忘れ」で正確に書けないことは往々にしてあります。

 

 

■漢字を「書くこと」はスポーツみたいなもの

 

漢字の形は、見慣れてはいても書き慣れていないとスラスラと書くのはなかなか難しいものです。漢字を書くことはスポーツみたいなもので、普段から手で書いて脳の感覚を維持しておかないと、自然と漢字力は弱まっていきます。出来ることなら、毎日少しずつでも鉛筆やボールペンを使っていろいろな漢字を“丁寧に”書くことオススメします。

 

しかしそうはいっても、忙しくて時間もなかなか取れない時には、頭の中で漢字をイメージして、“エアー”で書いてみるのもよいでしょう。電車の中や街中で、ネット上でふと目にしたひらがな・カタカナを漢字に置き換えてみる、あるいは見た漢字を頭の中で書いてみる、紙と鉛筆がなくてもエアーで書くことで脳は活性化され、少しずつ漢字力が身に付いていきます。

 

最後に、「ひまつぶし」という言葉は漢字で何と書くでしょうか。「ひま」は「日へん」に○○、「つぶ(し)」はさんずいに△△……。今あなたの脳は、漢字をイメージすることにフル回転していませんか?ひまつぶしに、そこかしこにあるちょっと難しい漢字をエアーで書いてみては如何でしょう。お店のメニューに“天ぷら”があったら、漢字でどう書くか思い浮かべてみたりして……。

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