■大リーグの球場にはネットが「ない」
日本人が大リーグの球場を訪れたとき、「あれッ?」と思うことがあります。それは、圧倒的にネットが少ないこと。バックネットはあります。バックネットはバックストップと呼ばれ、球場ができた当初からあるのですが、バックネットの両サイドから内野、外野と続くネットがないのです。
ネットがないと危ないでしょう。とくに内野など、強烈なライナーが飛んできたら危ないことこの上ありません。だから日本の球場にはあるのですが、この点に日米の野球を見る(観戦する)姿勢の違いが如実に表れます。
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「危ない」というのが、ある意味、キーワードです。危なければボールから目を離すことはありません。1球1球、集中力を高め、真剣に見るでしょう。だから、球種にも詳しくなり、作戦にも精通していきます。
ところが、日本の場合はどうでしょうか。ネットで守られているため、下を向いて(ボールから目を切って)お弁当を食べることもできます。ビールを飲みながら、横に座っている友人とおしゃべりすることだってできます。とにかく、安全だからです。
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■大リーグは“グラブ持参”で観戦が当たり前
ネットに守られていない部分でも“差”が出ます。大リーグの球場に足を運ぶファンの多くはグラブを持参します。もちろん、ファウルボール(ホームランボールを含む)を取るためです。一方、日本のファンはそれほどグラブを持ってきません。
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ここでの大きな違いは、大リーグファンの場合、グラブを手にしているため、ファウルボールが来たら当然、取りにいきます。しかし、日本のファンの場合はグラブがないため取りにいかず、逃げます。不思議と打球は逃げる方、逃げる方へと吸い寄せられていきます。そして、当たってしまうのです。
■野球は「見る」もの? 「参加」するもの?
どうしてこのような“差”が出るのでしょうか。それは、野球に「参加」しているかどうかの違いのような気がします。大リーグのファンは、「テイク・ア・リスク」(あえて危険を冒す)しても「参加」します。「参加」しなければ楽しめないじゃないか、という思いがその裏にあるのです。日本のファンの場合は、野球をただ見る(観戦する)だけで、「参加」するという意識はありません。
「参加」しなくても十分楽しんでいるといえばそれまでですが、1球1球を真剣に見て、野球の知識を深め、作戦までも精通する大リーグファンに触れるにつけ、「国技」である野球への思いの深さを感じざるを得ません。
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