去年の秋辺りから女性の間では一気に受け入れられるようになった、股上がやや深くて腹部に襞=俗に言う「タック」が入ったパンツ。男性の間でもそろそろ増えてきそうだ。ついこの間まで散々けなされ放題のディテールだったタックだが、小馬鹿にしていた輩に限ってまたホイホイと受け入れてしまうのであろう。要は上辺のトレンドだけ気にしていて、自分の身体の特徴に合わせた服選びが出来てない軽薄さの証明。情けないよなぁ……。
流行り廃りはともかくとして、タックはメンズの領域では「太った方の出っ張った下腹を隠す意匠」として暫し捉えられがちだ。服の構造上、確かにこれは間違いではない。でもタックの使い道はこれだけ、とは限らないのを、リバイバル前に知っておいて損は無かろう。実は細身・痩せ型の男性であってもタック付きのパンツの方が向いている、ノータックのものより快適にはける場合がある。3つほど例を挙げてみよう。
1.ウェストよりヒップの寸法が相当大きな方
|
|
日頃の運動の影響で、ウェストは細い割にヒップから大腿部にかけて筋肉が発達している方などが典型。タックが付くと、腹部の逆側であるヒップの周囲にも結果的に余裕が生ずるので、ノータックのものに比べ変なシワが出難い。
2.骨盤が開き気味の方
骨格の構造上男性に比べ女性の方が多いのだが、つまり腰回りが凝縮的に締まっているのではなく、腰骨が横に広く張っている影響で左右に平べったい状態の方。こんな体型の持ち主も、タック付きのパンツの方がツッパリ感なくはける。
|
|
3.骨盤が後傾した結果、大腿部が前方に傾斜している方
いわゆる「平尻送り腰」と呼ばれる体型。腰から大腿部が設計より斜めにかつ長く入らざるを得なくなるため、この種の体型の持ち主は、ノータックのパンツではどこかしらが不自然にあたってしまいがちだ。
とまあ例示したが、ここで当然
「その種の体型だと自ら気付けるマーカーは、具体的に何か無いのか?」
|
|
とお嘆きの読者の顔が見えて来る! ええ、勿論ちゃんとありまして、それは脇のポケット。正しいウェストサイズのノータックのパンツをはいていても、ここの口がカパッと常に不自然に開いてしまう方は、この3つのどれかに当てはまるケースが高い。すなわちタック付きのパンツの方が、太っている・痩せているにかかわらずノータックのものよりスリムに見える可能性が大だ。因みにこれらの体型の持ち主はO脚を併発している場合も多い。「ブームだから」ではなく、このように自らの体型の特徴を踏まえた上で服選びができるよう心掛けることこそ、真の洒落者への一見遠回りに見える最短ルートなのだ!