豊田議員の暴言「このハゲー!」をマネする子どもの心理と、やめさせる方法

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2017年08月09日 19:00  citrus

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■「このハゲー!」を子どもたちがマネする事態に…

 

政治家の問題発言や不適切な物言いがメディアで頻繁に取り上げられている昨今、豊田真由子衆議院議員による秘書への暴言を、ネットニュースの見出しで見かけたときも、「またか」と思い、それをクリックすることなく、スルーしていました。

 

しかしその後、YouTubeで公開された音源が、テレビで繰り返し何度も引用されたことで、「この、ハゲーーー!」という叫び声は、自ずと耳に飛び込んでくることに……。エリートコースを歩み続けた女性議員の裏の顔ということで、彼女の罵声をメディアはこぞって放送したわけですが、いまや子どもたちまでもが、「このハゲー!」とマネするようになってしまったのだそうです。

 

子どもたちは、このようなタイプの言葉に飛びつきがちです。しかし、親にとっては、子どもに悪い言葉を繰り返されるのは、頭痛の種。たいして意味も分かっていないのに、「なぜ連呼するのか」「どうしたら止めさせられるか」と悩んでしまいます。

 

 

■子どもたちが、悪い言葉を連呼したくなる理由

 

なぜ子どもたちは、「このハゲー!」と連呼するようになったのか……。その理由は簡単で、「強化」が起こってしまったからです。強化とは、心理学でいう「行動が増えるからくり」のことで、ある行動をした直後に、何かしらの「いい結果」が得られると、その行動は増え、ある行動をしても、その後に「いい結果」が得られなければ、その行動は減っていきます。

 

つまり、子どもたちがその行動をやるかやらないかは、その結果得られるものに大きく左右されているということ。これらの仕組みを心理学では「オペラント条件づけ」と言います。そのときに得た条件によって、行動の頻度が変わる現象です。

 

では、子どもたちは、「ハゲー!」と叫ぶことで、何を得ているのでしょうか?それは、周囲のリアクションです。友だちが笑ってくれたり、自分に続けて一緒に叫んでくれたりしたら、その子にとって、それは「大収穫」。それが「強化因子」となって、「またやろう!」というモチベーションにつながるのです。その横で、ママが「そんなこと言わないの!」とガミガミ怒ったとしても、得られる収穫の方が大きければ、その行動は繰り返されることとなります。クラスの子5人が笑ってくれるのなら、ママからのお小言は、あっさり多数決で負けてしまうのです。

 

 

■子どもの行動を改善したいときは、その強化因子を削除すべし

 

これで分かるのは、「ハゲーー!」と言った直後の状態をコントロールすることが、このような「嬉しくないマネごと」を減らしていく何よりのポイントだということです。ママ1人がガミガミ言っても、その横で兄弟がクスクスと笑ってしまえば、効果は出にくくなります。筆者が取ったようなリアクション、つまり、「スルー」することが、その子にとっては、もっとも「つまらない収穫」なのですから。

 

このケースに限らず、子どもの気になる行動は、「何が強化因子か?」を探ると、解決の糸口が見えてくることがよくあります。「行動→結果」の流れは一瞬なので、じっくりと観察することが大切です。また、はたから見ると、たいして「いい結果」を得ていないように映ることもよくあります。でも、意外なことが強化因子になっていたり、本当にささいな収穫が、子どもを喜ばせていたりします。その代表例が、「ママの怒る顔」。それさえも、強化因子になることがあるのです。

 

よく親の注意を引きたくて、子どもが、わざといたずらをしたり、問題を起こしたりことがあります。「こんなに怒られてばかりで、イヤにならないのかしら?」とママは思います。ママにとっては、「ママの怒鳴る声」は不快なものでしかないからです。でも、それはママの主観です。その子の中に、「いたずらを起こすと、ママが飛んできてくれる」という図式があれば、叱られようが怒鳴られようが、それは「収穫」とカウントされ、いたずらをどんどんやるようになってしまうのです。大人の主観で、「こんなことが強化因子になるはずない」と判断せずに、純粋に行動の直後に得ているものを見ていき、それを削除することが、子どもの困った行動を減らす早道になります。

 

と、強化が起こってしまった後の話を述べてきましたが、そもそも、こんな悪態をメディアがこぞって放送しなければいい話なのですが……。

 

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