子どもの喫煙は、子どもからのSOS! 吸わせないためにすべきこと

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2017年08月15日 22:00  citrus

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痛みで苦しまない人生を医学で導く痛み改善ドクター、富永喜代です。

 

あなたの大切なお子さんが、こっそりタバコを吸っていると気づいたらどうしますか? 「体に悪い。やめなさい!」と訴えるだけでは、子どもの禁煙はなかなか成功しません。なぜなら子どもがタバコを吸うと、大人より禁煙しにくい理由があるからです。

 

子どもの喫煙に気づいた時に、知っておきたい心構えと親が実行すべきポイントについて、禁煙外来で多くの子ども達を禁煙に導いた臨床実績を基に禁煙指導医がお伝えします。

 

そもそも、なぜ子どもは、タバコを吸ってはいけないのでしょうか?

 

子どもがタバコを吸う禁煙学的問題として、

 

(1)タバコを吸い始める年齢が低いほど、短期間でニコチン依存症が形成される

 

(2)子どもの喫煙は、若い年代で癌や心筋梗塞による死亡率を上昇させる

 

(3)子どものタバコは、アルコール、ドラッグ、覚せい剤などの入門薬物(ゲートドラッグ)だから

 

(4)子どもが禁煙することで、ドラッグなどによる社会問題の発生を抑制することにつながる

 

などが指摘されています。

 

ですが、「タバコが健康に悪い」「子どもはタバコを吸っちゃいけない」という事実は、禁煙教室など健康教育の発達により現代の子ども達の多くは認識しています。

 

なのに、なぜタバコに手を出してしまったのでしょうか? 悪いことだと知りつつ、なぜタバコを吸ってしまったのか? その背景を理解しないと、子どもの禁煙は成功しないのです。

 

 

当院のこども禁煙外来では、4つの手順で禁煙指導を行います。

 

1.問診

2.タバコの害の説明

3.ニコチン代替療法の説明

4.卒煙後のフォロー

 

です。 

 

■1.問診

まずは、タバコをなぜ吸い始めたかのきっかけに迫る問診を行います。

 

(1)タバコを吸い始めた年齢

(2)タバコを吸う場所

(3)一日の本数

(4)一緒にタバコを吸う仲間

(5)どうやってタバコを手に入れているのか

(6)一日の生活の流れを確認

(7)友人、仲間の喫煙人数

(8)タバコを吸わない友達の有無

(9)親の喫煙状況

(10)どんな気持ちでタバコを吸っているのか?

(11)タバコに対する親の態度

(12)ニコチン依存症の重症度評価

 

などの情報を問診して確かめます。

 

子どもがタバコを吸う場合、その環境によって成功率に大きな開きが出るからです。

 

仲間から仲間外れにされないためイヤイヤすっている子、親の気を引きたくてタバコに手を出した子ども、学校でいじめられて新しい仲間を求めてあえて吸った子ども、先生への反抗から吸った子ども、背景はそれぞれですが、タバコが子どものSOSであることは確かです。 

 

そのSOSに気づくためにも、タバコの背景に最も注意を払わなければなりません。 

 

 

■2.タバコの害の説明

なんとなく健康に悪いからタバコをやめなくっちゃ、ではなく、何のためにタバコをやめるのかを子どもの条件に応じ理解してもらうことも大切です。 

 

大人には響く“癌”や“脳梗塞”のリスクなどの言葉は、子どもには遠すぎる将来の姿でしかありません。それより、もっと身近な「タバコによる集中力の低下によって成績がさがる」、「運動会でもっと早く走れるようになるため禁煙する」など、子どもが具体的にイメージしやすい動機を提示することが大切です。

 

■3.ニコチン代替療法の説明

タバコを吸うのは、ニコチン依存症という病気です。タバコをやめると、ニコチン切れ症状のためイライラしたり、集中力が低下したり、切れやすくなります。子どもはすぐにニコチン依存を形成してしまうので、ニコチン切れ症状も現れやすく、タバコを切るために子ども達はとてもつらい戦いを強いられます。

 

ですから、こども禁煙外来ではニコチンパッチ療法を体重別で開始したり、イライラを抑える方法を伝授したりします。この治療は専門的になるので、ぜひお近くの禁煙外来を受診して禁煙指導専門医の指導に従ってください。

 

■4.卒煙後のフォロー

こども禁煙外来受診中に、絶対お勧めすることは、家族ぐるみの禁煙です。子どもの1本目のタバコのきっかけに親の喫煙状況はとても大きく影響しています。タバコをやめた卒煙(そつえん)が続くよう、子どもがすぐに手を出せない状況を家庭で作りましょう。

 

親が禁煙宣言することは、“君を見守っているよ”“あなたを大切に思っているよ”というお子さんへの大切なメッセージとなります。

 

お子さんのタバコ問題をきっかけに、家族の絆を取り戻したご家庭もありました。子どものタバコをきっかけに禁煙に積極的に取り組んだご家族のお子さんは、禁煙成功率がとても上がります。ぜひ、家族みんなで力を合わせて、子どもの卒煙をフォローしましょう。

 

 

■【灰皿R20+】運動

居酒屋さん、イタリアン、うどん屋さん、どんな飲食店に入ったときでも、テーブルの上に灰皿が置いてあると、一声掛けてテーブルの上から灰皿を外すようにしています。

 

梅干を見たら唾液が出るように、禁煙指導を毎日している私の場合、灰皿を見ただけでタバコの嫌な臭いや副流煙の有害性などが反射的に頭に浮かび、美味しい食事ができません。

 

同様に、一度でもタバコを吸ったことがあるお子さんの脳には、タバコの記憶が刻まれています。あれほど「もうタバコは吸わない!」と誓ったはずなのに、灰皿やライターなどタバコに関したものを目にすると、タバコに含まれるニコチンの興奮作用を思い出してしまい、また吸いたくなるのです。

 

ですからこども禁煙外来では、子どもにタバコを吸わせない、そして、たとえ吸ってしまっても一刻も早く卒煙できるよう、【灰皿R20+】運動を推進しています。

 

【灰皿R20+】運動は、タバコ、灰皿、ライターといった有害なタバコに関するグッズを子どもの目に入れさせない活動です。

 

健康増進法により学校や公共の場は禁煙となり、灰皿などを目にする機会も減ってきました。ですが、タバコのない社会の実現はまだまだこれからです。

 

お子さんがタバコを吸っていると分かったら、まずは灰皿を家から撤収しましょう。そして、家族の愛で子どもをタバコの害から守りましょう。

このニュースに関するつぶやき

  • うちの親は「吸いたければ、自分でバイトして稼いだ金で吸え!親から貰ったこづかいとかでやったらシバく」と言ってたな 俺は吸わなかったが、弟はシバかれた
    • イイネ!5
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