部下から話しかけられた上司。部下は何か報告や相談があって声をかけたのにも拘らず、上司は「後にしてくれ！」とか「そのくらい、自分で考えろ！」とか言い飛ばしてしまう。そして、部下は意気消沈で自席に戻っていく…。こんな場面に遭遇したことはありませんか？ 今回は、イライラ上司と凹む部下とのすれ違いについて考えてみましょう。
■上司は、ダメと分かっていても、忙殺されると部下に攻撃的な態度になってしまう
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このときの上司は、忙しくて、自分のことで手いっぱいな状態です。焦っている時や急かされている時、誰かに話しかけられるだけで、ついイラッとしてしまうのが人間の特性。自分のこと以外を考える心の余裕がないタイミングで部下から報告や相談を受けると、反射的に強い拒否反応が起こってしまう。つい強い口調で「そんなの後にしてくれないか！」「そのくらい、自分で考えろ！」と部下が傷つくような言葉をぶつけてしまうようです。
ただ、イライラを部下にぶつけてはダメなことは、上司も重々心得ています。しかし、イライラをぶつけてしまう行為は、無意識の作用。本人も、意図して声を荒げているわけでない。それがあまりにもキツい口調であったとしても、実際のところ、部下に対する悪気は全くないこともあるのです。
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■「自分は上司に嫌われているんじゃないか」と思ってしまう部下
一方の部下にとっては、「そんなの後にしてくれないか！」上司からのこのキツい言葉は、部下の心にグサッと突き刺さる。その一撃を受けた部下は、とても傷付きます。そして、「自分は上司に嫌われているんじゃないか」とあらぬ憶測を立ててしまうことが多いようです。自分のことが嫌いだから、そんなキツい言葉を言い放ってくるのだと。
もちろん、機嫌によって上司の反応がガラリと変わることは、部下も分かっています。しかし、上司に対する仕事の進捗状況の報告や、困ったことの相談は、部下として当然の役目。良かれと思って、上司に声をかけたにもかかわらず、リアクションはまさかの怒鳴り声。上司の機嫌がどうあれ、これには大きなショックを受けます。褒めてもらえると思って家のお手伝いをしたのに、「余計なことするな！」と親に怒鳴られた子どもの心境と一緒。嫌われているから怒鳴られたんだと思い込んでしまう傾向が強いようです。
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部下の問いかけに上司がキツく言い返す。職場ではありふれたこの場面でも、両者の間では大きなすれ違いが生じています。このすれ違いを解消するには、お互いどんなことを心がけたら良いでしょうか。
■上司はプライドを捨て、「さっきはゴメンね」と素直に謝る
某医療機器メーカーのＹ課長（男性／40代）は、この事例に関して心がけていることがあります。それは、すぐに冷静になり、素直に一言「さっきはゴメンね」と謝ること。実にシンプルです。Ｙ課長も、忙しいときに部下に話しかけられると、ついついキツい言葉を返してしまうことが少なくないそうです。ただ、違いはこの先。素直に自分の態度に非があることを認め、すぐに「さっきはゴメンね」と一声かけます。
上司のプライドが邪魔して、なかなか部下に謝ることが難しいという人が多い中、Ｙ課長は敢えてプライドを捨て、一歩踏み出しているのです。その一言で、部下は「自分は嫌われている」という思い込みを払拭することができる。それ以降も、安心して、上司に報告や相談ができるのです。
■部下はへこたれず、「お忙しそうですね」と寄り添いの声をかける
一方の部下は、まずは上司の言葉にへこたれないことが大事。上司も悪気があって言っているわけではないと理解すること。そして、最大のポイントは、「お忙しそうですね」と寄り添いの声をかけることです。「うちの上司、忙しい状況をみんなに分かってもらいたいみたいです。だから、イライラした言葉をぶつけられても、『お忙しそうですね』と寄り添いの言葉をかけてあげると、『あ、あぁ。少しだけね』と少し嬉しそうな顔をします。」（某銀行女性社員／２０代）。
キツいリアクションをされても、自分が嫌われているなんて極端な想像をすることなく、「上司も人間なんだし」と広い心で接してあげる余裕を持ちましょう。上司は部下の態度に感動し、お互いより良い関係性を築くことができますよ。
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