Machicoの挑戦はこれからも続くーー表現の多面性を示した「DAY‘S melody:」東京公演レポート

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2017年08月19日 10:42  リアルサウンド

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 Machicoが7月16日、渋谷クラブクアトロにて『Machico Live Tour 2017「DAY‘S melody:」』の東京公演を行った。最新アルバム『SOL』リリース時に当サイトで行ったインタビューにて、彼女が「いろんなものが好きだからこそ、多面性を見てほしいですし、ひとつのジャンルに捉われずに歌い手として成長していきたいと思っています」と語っていたように、本公演はMachicoの新しい挑戦が詰まった、エンターテイメントに富んだステージであった。


 会場には場違いな目覚まし時計のSEが鳴り響き、Machicoの「わぁー! また寝過ごしたー!」というセリフを合図にライブはスタート。1日の流れを意識して曲順が決められたという『SOL』と同様に、今回のステージは朝の目覚めから始まり、徐々に1日の終わりへと向かっていくようなセットリストが用意された。


 家から急いで駆けつけたようにステージへ登場したMachicoが、「ワイルドカード」と「fantastic dreamer」で爽やかな1日の始まりを表現すると、客席からも元気いっぱいの声援が飛ぶ。軽快なドラムから始まる「ラブ★スト」では、さらにテンションを上げて赤いタオルを観客と一緒に振り回し、序盤から会場の一体感を高めていった。


 「太陽神」という意味を持つ『SOL』は、ステージ上のMachicoを表す言葉にぴったりだ。躍動感のあるステップでステージ上を自由に動き回り、会場の誰よりもライブを楽しんでいることが伝わってくるパフォーマンスは、見ているだけで自然と笑顔になってしまう。音楽と遊ぶように、観客を挑発するように、歌唱中には軽快なダンスやアドリブの振付が入り、まるで体全体を使って楽曲を表現しているような歌い方は、ついつい目で追ってしまう不思議な魅力があった。MCで「ライブは生ものですから」と語るように、歌や演出をはじめ、観客と分け隔てないコミュニケーションをとるコミカルなMCにも、「その場でしか体験できないような時間を作りたい」というMachicoのライブに向ける意思が伝わってきた。


 新しいジャンルにも挑戦したという『SOL』をきっかけに、Machicoがシンガーとして新たな一歩を踏み出したのは間違いない。アップテンポな曲を披露した序盤から一転、「勇気のつばさ」からはじっくり聴かせる楽曲へとシフト。アコースティックギターをフィーチャーした「カーテン」では優しい歌声が会場を包み込み、ファンク風のビートに乗せて大人の恋を歌う「摩天楼グッバイ」では、従来の明るいイメージとは対照的な艶やかな一面を垣間見せ、観客を驚かせた。


 「摩天楼グッバイ」歌唱後には緩やかなSEが流れ、Machicoは祈るような仕草を見せながらステージから姿を消す。そして再び観客の前へと姿を現した彼女は、和柄をあしらった青色の衣装に身を包み「紅花火」を披露。真っ赤な番傘や扇子を使った振り付けで和の世界を表現、華やかに舞い踊る姿は観客の視線を一気に集める。一方、Machicoが作詞を務めたバラード「ココロメロディー」では、カリンバを用いて彼女が思う“ココロの音”を奏で、ハンドサインをモチーフにした振付も印象的だった。


 歌声はもちろん、身に纏う空気まで曲によってコロコロと変わるMachicoのパフォーマンス。まるで楽曲に登場する役を演じているような印象も受ける。声優と歌手、その両方から得たものがステージ上で交わりあう様は、彼女が目指しているライブの形を示しているようだった。


 ライブも終盤に差し掛かり、このツアーで初めて歌唱する新曲「Million Smile」をきっかけに、「星屑プリンス」「マケズギライなThank you」と再びアップテンポな楽曲を披露。「青春オーバードライブ」で激しいシャウトが飛び出すと、観客もそれに大きな歓声と手拍子で応える。そして、『この素晴らしい世界に祝福を!2』のOPテーマ「TOMORROW」では、ラストを締めくくるのにふさわしい熱気が会場を満たし、本編は幕を閉じた。


 アンコールのMCでMachicoは、活動を重ねる中で自分は表現する側の人間だということを思い知り、歌手や声優として上手くできないことに歯がゆさを感じていた時期もあったことを明かし、そんな当時の葛藤や変化を込めた「花音」を最後に披露した。


 今年で歌手デビュー5周年を迎え、これまでの成長や変化、アーティストとしての未来が明確に示されていた同公演。MCで「この5年でちょっとずつやりたいことを言えるようになってきた」と心境の変化を語っていたが、今回のステージにはMachicoの新しい魅力がたくさん詰まっていた。<ゆっくりと歩いていこう 私だけの道を>と綴られた「花音」の一節のように、彼女は未来に向けて自分だけの道を一歩ずつ進んでいくだろう。これから彼女はどんな成長を遂げ、みんなを驚かしていくのだろうか……そんな期待に胸が膨らむようなステージだった。(泉夏音)


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