瑛太、“死者からの手紙”をどう解決? 『ハロー張りネズミ』悲哀溢れる第6話

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2017年08月19日 11:22  リアルサウンド

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 七瀬五郎(瑛太)宛に届いた一通の手紙。「私はすでに死んでいるはずです」と綴られた、“死者からの手紙”によって始まった、18日放送の金曜ドラマ『ハロー張りネズミ』第6話。先週、先々週とテレビドラマらしからぬオカルトエピソードが続いていただけに、またしてもそのテイストを予感してしまったが、決してそんなことはない感動的なエピソードであった。


参考:蒼井優、掴みどころのない役が似合う理由 『ハロー張りネズミ』霊媒師役で見せた“たくさましさ”


 手紙の贈り主である玲奈(玄里)の家を訪ねて行った五郎は、例によって彼女の死体を発見する。死後2〜3週間が経過した彼女の死体は、自殺として処理されるのだが、手紙に書かれていた通り、額縁の裏には犯人の名前が書かれたメモが貼られていた。それは県議会議員選挙を控える、人望の厚い男の名前だったのである。


 そこからはオカルティックな雰囲気から一転し、玲奈の死の真相を追う探偵の活躍を描く、実にオーソドックスな“探偵ドラマ”のスタイルとなるわけだ。推理を重ねて真相に辿り着くという、いわゆるテレビ的な探偵のイメージに限りなく近付いたエピソード。そういえば、このドラマの第1話冒頭で、「今どきそんな探偵はいない」と否定されていたが、あえてそれに近いものをやってしまうのだから、一種のフラグだったのだろうか。


 被害者は自殺なのか他殺なのか。犯人と名指しされた男が本当に犯人なのか。そして、死後しばらく経ってから手紙が届いたトリックと、その目的は何か。なぜ彼女は五郎に直接手紙を送ってきたのか。この複数の謎を解決するために、「あかつか探偵事務所」の面々が全員でチームプレイを見せる。前エピソードでは五郎と、霊能力者・河合節子(蒼井優)の活躍だっただけに、ようやく事務所全体の活躍が描かれるのだ。


 蘭子(深田恭子)が事務所のメンバーに加わり、初めての探偵らしい仕事で、いきなり彼女はホステスだった前職の経験を活かしてファインプレーを見せる。銀座の高級クラブで働いていた被害者女性の、以前の職場を調べるために、池袋の街で風俗店のスカウトマンをしている男から聞き込みをするのだ。


 前述したようにドラマらしい探偵劇をやりながらも、きちんと細部には本来の探偵の仕事らしい「人探し」のノウハウが描かれているというのは興味深い。また、犯人と思しき議員候補の男・伊佐川(ムロツヨシ)に関する聞き込みを重ねる五郎が、様々な職業の肩書きが書かれた名刺を持っているというのも、期待通りの探偵像だ。(しかし五郎はスマホの裏に探偵の名刺を入れているのだが……)


 政治家になる野望を抱いた伊佐川を信じて支え続けた玲奈の、愛憎が混じり合った復讐の真実が解き明かされるクライマックス。伊佐川は五郎の推理を『古畑任三郎』のようだと揶揄するが、死を選びながらも最後まで伊佐川の人間性を信じた被害者の姿からは、『新参者』としてドラマ化された東野圭吾の“加賀恭一郎”シリーズのような悲哀が溢れているようにも見えた。このドラマは毎話毎話で違う顔を見せるのに、“人情”を描くというブレない軸だけはしっかりと存在しているのだ。(久保田和馬)


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