ホーム > mixiニュース > IT・テクノロジー > インターネット > わが子の写真をSNSに 危険性も

海外では警察が注意喚起した事例も 「わが子の写真をSNSにアップするのが危険な理由」を弁護士に聞いてみた

747

2017年08月19日 11:23  ねとらぼ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ねとらぼ

写真わが子の写真をSNSにアップ……どこまでOK?
わが子の写真をSNSにアップ……どこまでOK?

 子どもの写真をSNS上にアップロードしている親は、珍しくありません。一昔前では考えられないことでしたが、ネットを通じて「もうこんなに大きくなったんだ」と知り合いの子どもの成長ぶりに驚くのは、今やよくある体験なのではないでしょうか。


【拡大画像や他の画像】


 しかし、海外には、「ネット上で子どもの写真を公開しないように」と警察が注意喚起を行った国が。親子間での法トラブルにまで発展してしまったケースも存在します。一体なぜ、こんなことが起こっているのでしょうか。そして、日本でも同様の問題が発生するおそれはないのでしょうか。


●SNS上でわが子の写真を投稿 どこに問題が?


 自分の子どもの写真を、SNS上に投稿するのは危険だ――日本でそんな主張を目にすることは、それほど多くありません。まずは海外メディアの記事から、その問題点を探ってみましょう。


 Mashableは「幼少期の写真をFacebookで公開されたオーストリアの女性(18歳)が、親に対して訴訟を起こした」というニュースを掲載。その女性は「トイレに座っていようと、ベッドに裸で横たわっていようと写真を撮られ、公開された」としています。親は、ほほえましい成長過程を周囲に見せようとしていただけなのかもしれませんが、子どもにとってはそれが許せなかったようです。


 また、BBCなどは、子どもの写真をFacebookにアップしないよう、フランスやドイツの警察が注意喚起したことを伝えています。その理由として挙げられているのは、子どものプライバシーの保護や、子どもが性的対象として見られ性犯罪に巻き込まれるリスク。特にフランスでは「同国のプライバシーに関する法律は厳しく、同意なしに子どもの写真を投稿した親は懲役1年、4万5000ユーロの罰金を課せられる可能性がある」と指摘する専門家まで現れているといいます。


 どうして、このような厳しい主張が現れているのでしょうか。ヒントになりそうなのは、この手の記事に「多くの人が、子どもの写真を投稿している」といった内容の一文がよく見られること。きっと日本同様、海外にもわが子の写真をSNS上に公開しているパパ、ママがたくさんいるのでしょう。


 しかし、それによって子どもの人権や安全が侵害されるおそれがあるなら、待ったをかける動きが現れるのも当然の成り行き。当たり前のように行われている身近な行為であるがゆえに、啓蒙活動の必要性が生じているようです。


●実際にFacebookで子どもの写真を探してみた


 海外の記事で、写真の投稿先として言及されているのは、必ずと言っていいほどFacebook。InstagramやTwitterなど人気SNSは他にも存在するはずですが、「そのような使い方をされやすいのはココ」と認識されてしまっているのかもしれません。日本のユーザーも、なんとなく納得できるところなのでは?


 運営側も問題認識を持っているのか、Facebookでは、子どものヌードが含まれる写真を削除する取り組みが行われています。ヘルプセンターによれば、目的は「他の人に不適切な用途で再利用されるのを防ぐ」こと。明言はされていませんが、児童ポルノや性犯罪を懸念しているのでしょう。


 また、同サービスでは、ユーザー側で画像などの公開範囲を細かく設定し、閲覧権限をコントロールできるようになっています。ここまで対策されているなら、トラブルが起きる心配はなさそうなものですが……実際のところはどうなのでしょうか。


 調査のために、良からぬことをたくらむ人物になったつもりで、悪用されそうな写真を探してみました。


 すると、10分もかからずに裸になっている子どもの写真を発見。


 見つかった写真のほとんどは、一般的な家庭で撮影されたと思われるもの。お風呂やプールに入っている姿などが写っており、ヌードといえばヌードなのですが、よくある家族写真であることから不適切な画像として扱われなかったのかもしれません。しかし、世の中にはいろいろな趣味嗜好……の人がいるもので、決して油断はできないはずです。


 短時間で画像が探せたのは、2013年に導入されたハッシュタグ機能を利用したため。当初はどういうワードで検索すればいいものか悩んだのですが、適当なフレーズで調べてみたところ、ハッシュタグを大量に載せた記事がヒット。1つの記事に複数のハッシュタグを使用しているケースは意外に多く、芋づる式に“使える”ハッシュタグを見つけることができました。


 また、Facebookで見つけたハッシュタグが、異なるSNSで同じように使われているケースがあることも分かりました。推測ですが、SNS同士を連携させ、まとめて投稿をしている人がいることから、ハッシュタグがサービスを横断したのではないでしょうか。


 良からぬことをたくらむ人物目線で考えると、これは好都合かもしれません。というのも、Facebookの検索機能は記事ごとに表示する仕様になっており、画像探しに向いていないため。そこで、画像のみを検索画面に一覧表示してくれる別のSNS(例えばInstagramなど)を使えば、より効率的に目当てのものが探せるはずです。ハッシュタグが同じなら、出てくる写真の内容は大して変わらないでしょう。


●SNS上の写真から個人情報が漏れる可能性は?


 次は、見つけた写真から個人情報を特定する方法について。Web上に画像をアップする際に注意すべき点としてよく知られているのは、Exif情報の管理です。これはスマホ、デジカメで撮影された写真に付加されているメタデータで、撮影日時、場所などが記録されています。残ったままだと、いわゆる「身バレ」のリスクがあります。


 しかし、Facebook、Instagram、Twitterなどの主要SNSでは、自動的にExif情報を削除してくれるため、それほど心配はいりません。


 これらのSNSを使う際に気を付けるべきなのは、それよりもスマホ端末の機能を利用した位置情報サービスでしょう。これは投稿時に付加されるもので、アプリや端末の設定画面からオン/オフ設定することが可能です。イベントに参加したことなどを周囲に伝える際などに便利そうな機能ですが、その後、オフにするのを忘れてしまう人も多いのでは?


 システムまわりの話はややこしくなりがちですが、セキュリティに直結する部分なので、しっかり調べておきましょう……とまとめてしまいたいところですが、最後にもっともローテクな話を。Facebookには、プロフィールに実名、在住地域、職場などを記載し、全体公開にしている人が多々見られます。そもそもユーザーが、自発的に個人情報を発信しているのです。


 人脈を広げたい、友人を増やしたいなど、そうしなければならない理由を持っている人もいるでしょう。しかし、親が個人情報を公開したまま子どもの画像を投稿すると、その子の個人情報まで間接的に漏れてしまいます。例えば、画像とともに「○○ちゃん」と下の名前が掲載されていたら、親のプロフィールと組み合わせてフルネームを特定するのは簡単です。


●日本では、わが子の写真投稿から法トラブルに発展する可能性はある?


 自分の子どもをSNSに投稿している親が多いこと、場合によっては個人情報が特定されるおそれがあることについて見てきましたが、ここから法トラブルにつながる可能性はあるのでしょうか。インターネット、IT関連紛争を専門とする弁護士法人戸田総合法律事務所・船越さんに話を伺ってみました。


――SNSへのわが子の写真投稿は、日本の法律ではどのように扱われていますか?


 子どもとはいえ、他人が写った写真をアップロードしているわけですから、まず考えられるのはプライバシーの侵害です。これだけで刑事罰に問われることはありませんが、民事裁判は可能です。子どもが未成年の場合でも特別代理人を立てて、親権者を訴えることができます。


※ 特別代理人:基本的に未成年者は単独で訴訟を起こすことができないため、親権者などが代わりに行うことになる。しかし、今回のように親権者と子どものあいだで利益が相反している場合は、別の人物(特別代理人)を立てて訴訟できる。


――では、オーストリアの事例のように、親子間での法トラブルに発展する可能性はありますか?


 可能性はかなり低いと思います。日本が訴訟社会でないこともあり、家庭内暴力などを除き、親権者を訴える事例が少ないためです。実際、「子どもがこんな写真をアップロードしてしまって……」という相談はよくあるのですが、「うちの親が、私の写真をアップロードして……」という話は、ほとんど聞いたことがありません。おそらく、子どもが消してほしいと言ったら、対応する親が多いのでしょう。家庭内で問題が収まり、大事にならないのだと思います。


 それよりも怖いのは、子どもが誘拐などの被害者になってしまうリスクですね。


――誘拐ですか。


 仮に、顔と制服が写った写真がアップされたとしますよね。


――子どもの入学式などの報告でありそうですね。


 マニア的に制服に詳しい人物がそれを見たら、通っている学校が特定できてしまうかもしれません。その後、校門などで待ち伏せして、顔を手掛かりに本人を見つけて、尾行して……と続くと、住んでいる家、通学路までバレてしまいます。


――画像1枚からそこまで……。


 写真の情報量は、意外に多いですよ。商品を持った手しか写っていない自撮り写真でも、背景に写り込んだPCなどから個人情報が漏れてしまうことは十分考えられます。


 写真を見ている第三者が悪意を持っている可能性を否定できない以上、「常識的に考えて、これくらいは大丈夫だろう」と線引きは困難です。危機管理は慎重に行う必要があります。


――SNS以外の場合でも、同様のリスクはありますか? 例えば、年賀状の家族写真や、YouTubeにアップした運動会の動画はどうでしょう?


 年賀状の場合は、受け取った知人がネット上にアップしてしまうと、不特定多数が見られる状態になりますが……。さすがにその可能性は低いでしょうし、「まあ、大丈夫ではないだろうか」くらいのところです。


 反対に、運動会の動画をYouTubeに公開するのは、かなりリスクが高いですね。自分の子どもを撮っているつもりでも、大勢の人が写り込んでしまいますから。世の中には、何かしらの事情で誰かから隠れている人もいらっしゃるので、仲間内だけで見るようにすべきでしょう。


――海外の記事を調べたところ、「SNSにアップされた子どもの写真は、児童ポルノに悪用されるおそれがある」という論調が見られました。このあたりの問題は日本だとどうなんでしょうか?


 児童ポルノとなると、プライバシーの侵害とは別の問題になってきます。この場合は、日本でも親が刑事罰を受ける可能性が考えられます。ただ、それではどんな写真がアウトなのかというと、法運用が関係してくるので難しいところですね。


――というのは……?


 児童ポルノ禁止法では、児童ポルノに該当する画像などについて、例えばこのように定められています(一部抜粋)。


=====


衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの


=====


※ 児童は、18歳未満を指す


 冒頭の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって」という部分は、ざっくり言うと「児童が裸やそれに近い姿になっていて〜」くらいの内容です。しかし、「殊更に」から「かつ」までの一文と、「かつ」以降にある「性欲を興奮させ又は刺激するもの」が難しいんです。例えば、おむつのCMには、おむつしか着用していない子どもが出てきたりしますよね。


 条文の前半部分には該当してしまうはずですが、さらに「殊更に児童の性的な部位」が露出等されて、かつ「性欲を興奮させ又は刺激するもの」と認められなければ児童ポルノにはなりません。この線引きは、どこまで規制をかけるべきかという議論にも関わってくるので、白黒はっきりさせにくいところです。


――SNSにアップした画像が転載されてしまったら、どう対処すればいいのでしょうか。


 まず、Googleに「検索結果に表示しないでほしい」と依頼することが可能です。特に児童ポルノの問題が絡んでいる場合は、ほぼ間違いなく協力してもらえます。


 転載先のブログなどから削除したいときは、サーバ管理会社などに連絡して対応してもらうことになります。ただ、こちらの要求がサイト管理者の心情を害してしまって、意地を張って消さないと言い出すケースもあります。例えば、交渉に入った弁護士がいきなり法律の話を持ち出して厳しく迫ったりするとですね……。


――法律というか、なんだか人間臭い話になってきましたね。


 そうですね。こういう案件は弁護士にとっても手間がかかるので、「海外サーバは対応しない」と言い切ってしまう人もいます。


――SNSに子どもの写真をアップする際に、注意すべきことは何でしょうか。


 子どもも1人の人間でプライバシーを持っていること、プライベートな写真のアップにはリスクが伴うことを知っておくべきです。自分では大丈夫だと思って投稿しても、見る人は本当に細かいところまで見ていますから。特に深く考えずにSNSを使っている人が多いと思うのですが、一呼吸おいてちゃんと考えてから投稿すべきです。


 もし投稿するなら、信頼できる仲間のあいだで限定公開にしておくことですね。不特定多数に閲覧できる状況が良くないのはもちろんですが、転載などから法トラブルに発展したとき、「誰でも見られる状態にしていたのは、あなた自身でしょう?」と分が悪くなる可能性もあります。


 また、公開範囲をしっかり管理するには、前もってSNSの機能や性質を理解しておく必要があります。「流行ってるから」「みんな使ってるから」と飛びつくのは避けましょう。


●まとめ


 「インターネットは不特定多数の人が利用しているから、よく注意しなければいけない」という話はよくありますが、本当によく注意しながら使っている人はどれだけいるのでしょうか。


 最後に、総務省による「インターネットトラブル事例集(平成28年度版)」から、SNSで個人情報漏えいを防ぐためのポイントを確認してみましょう。


・自分がどこの誰か分からないのが安全(ネットに個人情報を書くのは、街中で名前や学校名を掲げているのと同じ)


・個人を特定できそうな話はネットでしない(1つだけでは分からなくても、複数あれば個人を特定できてしまうことはいっぱい)


・アプリの特性や設定を確認した上で利用する(位置情報入り写真を公開すると、撮影場所が分かります)


 平易な言葉づかいなどから分かった人もいるかもしれませんが、実はこれ、子ども向けに制作されたもの。お父さん、お母さんのSNSの使い方に関して注意喚起する資料は、特に用意されていないようです。「大人なんだから、わざわざ言わなくても大丈夫ですよね」という性善説に基づいた判断かもしれませんが、実際には、守れていない人も多いような……。


 もし、子どもが個人情報漏えいに気を付けながらSNSを使っていたとしても、周囲の大人がしっかりしていなかったら、そこから大切な情報が漏れてしまう可能性があります。かわいいわが子を守るためにも、親としてお手本を示すためにも、インターネットの危険性はしっかりと理解しておきたいものです。


あなたにおすすめ

このニュースに関するつぶやき

  • モンサンミッシェルのバスで前に座ってた可愛い子を写真撮ってその親にいみせたりしたけど、あれやばかったのか。ネットにアップはするつもりなかったけど、心配かけちゃったかな。
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • 友人限定公開にしてる人はともかく、全体公開の場で我が子の顔を思いっきり公開するとか、今のご時世では考えられない。Facebookで自身の顔写真を全体公開しちゃってる人も何だかな。
    • イイネ!414
    • コメント 13件

つぶやき一覧へ(369件)

ニュース設定