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「子どもを産んだら成長できる」ってどうですか?

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2017年08月28日 11:03  MAMApicks

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子どもがいない女性をモヤモヤさせるセリフ。それは、子持ち女性からしばしドヤ顔で語られる、「子どもを産んだことで成長できました!」もしくは、「子どもを産んだことのない人にはわからないのよ」であろう。

いや、少なくとも私自身は、子どもを産むまでずっと、この言葉を聞くたびに「子どもを産んでいないのは、人として何か足りないのではないか」という気持ちでいっぱいになったものだ。

子どもをひとり産んだ今、ようやく以前ほどのダメージは受けなくなったものの、ぼちぼち繁殖能力の限界が見えてきたこともあり、「ひとり産んだだけじゃ、まだ修業が足りないんじゃないか?」という気持ちが時折顔を出すことがある。


■子どもを産んだら新しい世界が見えた
で、実際に子どもを産んだら成長できるのか?
確かに、子どもを産んで初めてわかったことはたくさんある。

たとえば、ファミリーレストランの親子連れ。
学生時代、私はファミリーレストランでアルバイトをしていたが、そこに親子連れがやってくるのが憂鬱だった。なぜなら、席に案内しても満足せず、「あっちの席がいい」とわがままを言ってあえて待つくせに、待ち時間が長くなるとイライラして、こちらに文句を言ってくるんだもの。そのたびに、「わがまま言ってるのはそっちやろ……」と心の中でツッコミを入れたものだった。

でも、子どもを産んだ今、この親の気持ちはよくわかる。
子連れで外食しようと思ったら、ファミリーレストランに行くのが一番ラクだし、ベビーカーが邪魔にならない席や子どもが食事をしやすい席、タバコの煙から遠い席でなければ安心して食事ができない。そして、待ち時間が長いと子どもがイライラするので、周囲に非常に気を遣う。

ああ、あの頃に戻って、あの子連れのお客さんたちに謝りたい!


役所との関係も変わった。子どものいないときは、役所に行くのは住民票の写しを取りに行くときくらいなものだったが、出産したら子どもの健診や予防接種、保育園の申請などで役所が一気に近い存在になる。そして、会社員時代に給料から漫然と差っ引かれていた税金の恩恵を受けるようになる。

「今まで全然使ってなかったけど、自治体のサービスって結構いいじゃん!」
そう思うと、自治体の広報紙をちゃんと読むようになったし、税金の使い道について、すなわち政治についても興味を持つようになった。

そして、抱っこしている子どもがおもちゃを落としてしまったときなどの、母親の小さな「困った!」もわかるようになった。

カフェでお茶したり、ゆったりとお風呂につかったりすることがどれだけ贅沢なのかも、時短勤務で早々に会社を去る女性が、会社を出た後から寝るまで、電話に出る暇がないほど忙しい日々を送っていることも、よ〜くわかった。

子どもがいないときには、新生児の写真を見せられても、「産まれたてのヒヨコと同じで、新生児ってかわいくないんだよね……」と思ったものだのだが、あの小ささと体温、たどたどしい動き、そしてピヨ声(なのに、おなら音だけは大人顔負け……)を知ってしまうと、新生児の写真を見ただけで、胸がぎゅっと締めつけられるようない愛おしさがわいてくるようになった(ついでに、産まれたてのヒヨコもかわいいと思えるようになった)。

テレビドラマや映画では、手をつないで一緒に歩いたり、子どもの寝顔を見てほほえんだりする場面が、親子団らんの象徴的なシーンとして描かれる。あれも、子どものいないときはまったくピンとこなかったのだが、今ではよくわかる。

保育園からの帰り道、小さくてすべすべとした手をつないで、のんびりと歩く心地よさ。そして、寝ている子どもの、びっしりと生えた繊細なまつ毛と、あごの下から見上げた一点の曇りもない頬の隆起の神々しさといったら! どれも些細なことだけれど、子どもを産んで幸せを感じる瞬間って、こういうことだったのだ。

本当に、本当に、今まで見ていた世界はなんて狭かったんだろう。子どもを産んだことで、たくさんのことを知ることができたと思う。

……でも、それって成長したってことなのか?

■「知る」ことと「成長する」ことは違う
そういう疑問が強くなったのは、最近の仕事で、育児系ムックの「ママ友トラブル」という記事を担当したことがきっかけだ。その記事を作るために、たくさんの母親たちの悩み相談にのってきたという方にお話を伺った。困ったママ友はなぜ、困った行動をするのか。どう対処すればうまくやっていけるのか。それを丁寧に教えていただいた。

そして、その方はこうも語った。「今のママさんはね、精神年齢が女子高生なんですよ。会話のノリが女子高生と変わらないの」

だから、自分の美醜や出自、夫の職業などからママカーストというものが発生し、マウンティングが行われる。口を開けば家族自慢ばっかりする母親。追従しないと、とんでもない仕返しをするボスママ。自分の子どもがほかの子どもよりも優遇されないと黙っちゃいない母親……。

母親になっても「周囲からすごいと思われたい」「自分をもっとほめてほしい」という気持ちが強いから、そういうトラブルメーカーが生まれるというのだ。

これを聞いて、自分自身もギクッとした。
私は、1日中在宅で仕事をするときには、正直言ってボロボロのダッサい服を着ていても、誰からも文句は言われない。ただ、保育園の送迎のときのためには、それなりに気を遣った格好をする。

でもそれは、せめてもの悪あがきなのである。自分の容姿は年々ジャイアンの母化しているのだが、かといって見た目がジャイアンの母そのものになってしまうのはなんとしても避けたい……という思いがあるのだ。

そこには、「みっともないと思われたくない」という気持ちがあるからだが、その気持ちをずっと掘り下げていくと、奥底には「周囲からすごいと思われたい」という気持ちが存在していることに気づく。

でも、でも!
精神年齢が女子高生なのは、何も私たちだけじゃないですよね! 私たちの親世代だって、そうなんじゃ? その証拠に、少し前から、成人した娘が、口々に「母が重い」「私は毒親育ちだ」と自分の親を告発するようになったではないか。

その母親というのは、子どもを所有物化し、子どもの手柄は自分の手柄だと思い込み、でも子どもが自分を置いて幸せになろうとすると足を引っ張る。もしくは、娘を愚痴のごみ箱扱いする。

そうなるに至るまで、さまざまな事情があったのだろうが、客観的に見て成熟した大人のふるまいとは思えない。

そして、昨今の保育園建設反対問題もそうだろう。
あれ、反対してるのは必ずしも子育てなんて1回もしたことのない人だけじゃなくて、昔子育てをした人もいるはずだ。でも、「卒母」どころか「卒祖母」して、身近に小さな子どもがいないから、高齢で自分の体がつらくて余裕がないから、ああいう反対運動をする。

つまりこうだ。
子どもを産めば、確かに見える世界は広がる。だけど、それと自分自身の人格が高潔になることや、我慢強くなることとは別物なのだ。

つくづく思う。経験値は、多ければ偉いってものでもないんだなってことを。
何か試練があったときに、「私はこんなつらいことを経験した。だから次の世代にはこんなことを経験させないようにしよう」と考えるのか、それとも、「次の世代も同じ苦しみを味わわないと気が済まない」と感じるのか? その差はいったいどこからくるのか。それは突き詰めて思考しているかどうかなのではないか。

何らかの試練を受けて、しかもそれに対して十分なケアがなされなかったとき、「周囲がすべて悪い。私はかわいそう」と思ってしまうと、自分の成長にはつながらない。だからといって、「あれは自分にとってよかったことなんだ」と無理やり納得するのも実はよくない。こういうセリフを口にすると、周囲からは一見「試練を乗り越えた人」のように見えるのだが、実はそんな雑な自己正当化では自分の受けた試練は消化しきれないのだ。

消化しきれなかった恨みはずっとくすぶっていて、あるとき自分の受けた試練を経験していない人がなんだかうまくやっていそうなのを見ると、つい「あんたも私と同じ苦労をしろ」という呪いをかけたくなる。その相手が、自分の知らないところで別の苦労をしているかもしれないのに、自分に余裕がないからそこまで想像力を働かせることができないのだ。

では、本当に試練を糧にできる人とは、どんな人なのか。
それは、

・この経験は自分にとっては必要なかった
 →だから、若い人には経験させてはいけない

・この経験は結果として自分にとって必要だった。それは自分や周囲がこうだったから
 →今目の前にいる人は果たして私と同じ状況なのか?

としっかりと分析することができる人だと思う。

願わくば、後者の人になりたいもの。
しかし、私自身もその境地に達するには、自分の中に消化不良のものがたまりすぎている。せめてそれを自覚して、むやみに経験値の多さでマウンティングしないようにだけは気をつけたいと思っている。

今井 明子
編集者&ライター、気象予報士。京都大学農学部卒。得意分野は、気象(地球科学)、生物、医療、教育、母親を取り巻く社会問題。気象予報士の資格を生かし、母親向けお天気教室の講師や地域向け防災講師も務める。

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  • 【親の心子知らず】の言葉通り、確かに育児を通してしかわからない苦労はある。で、それをわかりやすくまとめた本が楠木ポトスさん作の【産んではいけない】育児をしようかどうか考えている人なら一度は読んで欲しい
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  • 親になろうが、なるまいが、ダメな人間はダメなままだと思います(´・ω・`)
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