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映画NEWシネマ歌舞伎『四谷怪談』は昼ドラ真っ青の人間愛憎ドラマ 江戸時代の「ゲス不倫」も生々しく描く

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2017年09月14日 15:31  キャリコネ

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キャリコネ

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「歌舞伎は小難しそう」という声をよく耳にする。しかし歌舞伎の古典演目を現代的な感覚で表現する"コクーン歌舞伎"なら、いい意味で「歌舞伎ってこんなに俗っぽいものなの?」と驚いてしまう人もいるだろう。

そんな『コクーン歌舞伎 四谷怪談』(2016年6月上演)が、映画NEWシネマ歌舞伎『四谷怪談』としてスクリーンに登場する。

"コクーン歌舞伎"は1994年、十八世中村勘三郎さんらによって誕生した、従来の歌舞伎の概念を破る演出の歌舞伎だ。第2弾からは演出家・串田和美さんが参加し、「今を生きる現代劇としての歌舞伎」の在り方を模索する舞台となっている。同作品で15弾目となる。

妻がいるのに他の女と婚儀を挙げるというクズっぷり

『四谷怪談』というと「夫に裏切られたお岩さんの怨念」、「片目が腫れ上がり恨めしそうな顔で立っている姿」というイメージを持っている人も多いだろう。もちろんその通りでもあるのだが、この作品の中で描かれているのはそれだけではない。

"怪談"と付くだけあり、やはり怨霊は出るし、人は殺される。しかしこの作品には、昼ドラ真っ青の濃厚な人間関係、恋愛模様がこれでもかというほど詰め込まれているのだ。

「お岩さん」こと岩の夫・伊右衛門(演:中村獅童)は、江戸時代の"サラリーマン社会"こと武家社会で折り合いをつけられず、うまく生きられない。さらには岩(演:中村扇雀)がいるにも関わらず別の女と婚儀を挙げることになる。

この裏切りから岩の怨念に追われることになるのだが、それも周囲に流されてしまったのが原因、と受け止めることもできる。

また岩の妹・袖(演:中村七之助)も中々ハードな恋愛をしている。生活苦のために働こうとした売春宿で、娼婦と客という形で夫と再会したり、夫が殺害されたあとに関係を持ってしまった相手も実は禁断の相手だったり……。

四谷怪談は"昼ドラ"あるあるのオンパレードだ。江戸時代の人間関係・恋愛模様も現代とさして変わらない、ということだろう。

演出家「街を歩くサラリーマンが亡霊に見えた」

今回の演出で特徴的なのは、たびたび登場する大勢のスーツ姿のサラリーマンだ。演出を務める串田さんは今回の『四谷怪談』について考えているうちに、「街を歩いているサラリーマンが亡霊のように見えた」とパンフレットで語っている。

"怪談"というとおどろおどろしいが、怨霊だってもとは人。もがき苦しみ、時代に抗いながら生きていく姿を描いた同作品は、現代と重なる点が多くある。串田さんは、

「『四谷怪談』はお岩一人の恨みを描いた物語ではない。世の中全部が怪談だよと(四谷怪談の作者、鶴屋)南北がささやいている。現代も気付けば、亡霊ばかりが街を行きかう」

とも語っている。劇中で淡々と無表情で歩く"サラリーマン"たちは、生きているとしても心ここにあらずの抜け殻に見える。その姿は"現代社会の象徴"というより、江戸時代、またその前からもいたのだろう。自分もこうなっているのでは、と思うとゾッとする。

映画NEWシネマ歌舞伎『四谷怪談』は、舞台の演出に引き続き串田さんが監督を務めた。「舞台を観た人にも見ていない人にも常識をくつがえす体験をしてほしい」と、舞台上での撮影などの追加撮影を行いながらも、当初3時間上演だった作品を2時間に編集した。

生の舞台とはまた異なる『四谷怪談』。9月30日(土)より東劇ほか全国公開。予告編はこちら。

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