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iPhone XとCoreML、そして最強のAIを創るためには : 情熱のミーム 清水亮

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2017年09月14日 19:03  Engadget

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写真    iPhone XとCoreML、そして最強のAIを創るためには : 情熱のミーム 清水亮
iPhone XとCoreML、そして最強のAIを創るためには : 情熱のミーム 清水亮



昨日は寝ぼけ眼で記事を投稿し、まだサンフランシスコでiPhone X発売の余韻に浸っている飛鳥(編集部注:弊誌編集長)に「約束通り記事アップしたよ」とメッセしたあと、ANAの機内で僕は眠りこけていた。



朝起きると、LINEが大量に来ていて、「あれ私じゃん」と言われた。何事かと思って昨日の記事をみてみると、確かに起き抜けで自分の身に置きたこと、ふと思ったことをそのまま書いてしまっていた。普段ならプライベートな部分は推敲して消してしまうところだったが、編集長からは「個人ブログと同じノリで書いて欲しい」と言われているのであまり気にしないことにする。少なくとも彼のチェックは通過してたわけだし。


博多にくるのはたぶん一年ぶりだ。

用事がなければこないのだが、用事を作ってでも来たい街。それが博多である。


今回はマイクロソフトとNVIDIAとPFNと我々UEIとで「Deep Learning Lab」というイベントの地方公演に来た。結局、飛び入りもあわせて70人強の盛況なイベントとなった。


このイベントは、東京を皮切りに、今週は福岡、25日は大阪、10/2は名古屋、10/10は札幌、とどんどん北上していく。


このイベントの幹事はMicrosoftとPFNなのだが、どうも二社とも担当者は告知が上手くないらしく、地方公演はとった開場の大きさの割にはあまり人が来ないのが残念だが、たぶんこのメンツで全国を回ることは二度とない。



ちなみに昨日の僕のセッションの様子はかなり適当だがニコ生で公開している。iPhone XについてAI研究者およびAI実業家である僕の考えも延べているので、昨日の記事に興味を持っていただいた人はぜひご覧いただきたい。タイムシフトで視聴可能だ。
iOS 11では「Core ML」と「ARKit」で面白いことができる
僕の主張は3つ、iOS11デバイスにおいて重要なのは、人工知能の高速なインファレンス(推論)を可能にするCoreMLと、現実世界とのマッチングを促すARKit、この2つを組み合わせるだけでかなり面白いことができる。





これはCoreMLで画像を認識し、ARKitでタグ付けするデモだ。

既にこういうものが出始めている。


iPhone XにはA11 Bionicというニューラルネットワーク対応チップが搭載されているが、これはあくまでも推論(インファレンス)用であり、学習用に使用されるNVIDIAのGPUとは区別しなければならないだろう。とはいえ、現状のiPhone7 PlusでもこれくらいはキビキビとARとディープラーニングが動くことは注目に値する。


この先にあるのは確実にメガネだと思うが、メガネでなくてもいいのかもしれない。

仮にメガネだったとして、どういう変化が起きるか。



僕のセッションでは主にそういう話をした。



残念ながら、他の企業のセッションは「マル秘」情報が多くてニコ生NGになってしまったが、逆に言えばそれだけ貴重な情報を得るチャンスでもある。PFNさんもSGSKさんも東京のイベントでは語られない激レア情報を喋っていて、それを聞くだけでも価値があった。正直、これを見ないというのは(僕のセッションはともかく)勿体無いと思う。


各社「地方だからこそ言える」ネタというのがあるらしい


各社「地方だからこそ言える」ネタというのがあるらしくて、それが実によかった。



夜は懇親会もそこそこにして、博多といえば・・・の、長浜屋台村へ。

現地で博多女子と落ち合い、ノンアルコールで健全な飲みを満喫した。



「焼きラーメンてなんですか?」


「え、君ここ出身じゃないの?」


「出身ですけど見たことない」


「屋台来るの初めて?」


「いや、たまに来ますけど・・・東京から友達来たときとか」



意外だ。


僕にしてみれば博多の屋台といえば〆は焼きラーメンであるというのは半ば常識だったが、博多で生まれ育つと知らないらしい。


まあ確かに、高校卒業と同時に上京したら、飲み屋のことなんか知らないよなあ。


実際、自分自身も新潟の飲み屋のことなどほとんどわからない。酒の肴や、シメのことなど、わからないことだらけだ。


たまたま最近、同窓会があったから、地元の飲み屋や食文化に多少明るくなったに過ぎない。

ひょっとすると、そもそもそんなもんかもしれない。


AI開発において、重要と思われる要素は3つある。
福岡での講演で質問が多く飛び交ったのは、僕が今月から地元長岡市でスタートさせようとしている、新会社、AIUEOについてだった。


AIUEOは、AI向けデータ作成とAI技術者育成を目的として設立する新会社だ。

実は、AIの開発と構築、そしてAIそのものの性能を決定づけるのはなんといってもデータである。データよりもデータの「前処理」が重要という、やや頓珍漢な認識が広まっているようだが、それは少し古い機械学習の時代の話であり、今は基本的に「データ」さえあれば特徴抽出に必要な前処理の部分は自動的にAIが肩代わりしてくれる。


AI開発において、重要と思われる要素は3つある。

ひとつは、データ、もうひとつはそれを学習するAIのアルゴリズム、そして最後のひとつは計算資源だ。


このうち、それまで最も重要だと思われていたアルゴリズムは、今やどのアルゴリズムを選択しても50歩百歩のところまで来ている。


特に今年Googleが発表したTensor2Tensorは衝撃的で、基本的にはどのようなデータであっても、相互に変換する学習が可能であることと、そのためのアルゴリズムは複数選択可能であることが示された。アルゴリズムの良し悪しを追求するのは主に大学などの専門研究機関の役割であり、実用的に使う時に、アルゴリズムの差は実際の性能にほとんど影響しない。発展途上の深層強化学習や一般知識理解のようなものだけであり、データの認識、変換、分類、検出といった領域ではほぼ汎用的な学習と利用が可能である。


かつては計算資源は大資本が独占していたが、今は
次に重要なのは計算資源だ。すなわち、計算機の計算能力である。

かつては計算資源は大資本が独占し、極めて大規模なシステムを独自に構築しなければならなかったし、その構築費用は数千万から数億という膨大なものだった。


ところが今はAmazon AWSを始めとして、Microsoft Azureなどのクラウド計算資源が以前に増してディープラーニング向けに使いやすくなっている。特にやや出遅れた感のあるMicrosoft Azureの最近の深層学習への取り組みは活発で、深層学習フレームワークのChainerで知られるプリファードネットワークス社(PFN)と共同で複数の計算機にまたがるマルチノード学習で目覚ましい成果をあげるだけでなく、そうした環境を誰でもすぐに使えるような環境整備を急速に進めている。もちろんChainerだけでなくTensorFlowなど他のフレームワークを使ったマルチノード学習も可能だ。


これまで大資本にしか許されなかった大規模な計算資源の運用が、必要に応じて適正な価格で可能になったことで、様々な人々にチャンスが回ってきた。


要は初期投資に数億、運用に年何千万が必要だった大規模計算資源による学習が、Azureなどのクラウドを活用することで、初期投資がほぼゼロ、必要なときに数千円から数百万円の費用で可能になったということだ。これは非常に大きい変化であると言える。


例えば、100ノードの計算資源を確保しようと思えば初期費用1億円は軽く見積もらなければならないが、用途によっては100ノードを常にフル稼働させるのではなく、100ノードを24時間フル稼働させれば十分、ということは十分あり得る。その場合、Microsoft Azureなら、高めに見積もっても1ノード1時間500円✕100ノード✕24時間で120万円で使用できることになる。最新のGPUでなくていいならば、1ノード1時間100円で見積もると、その1/5の24万円で良いことになる。


月に1度くらいの100ノードフルパワー運用を1年間行うと仮定すると、初期費用ゼロで年間わずか288万円で1億円相当の計算機を使えることになる。


100ノードの計算機というのは、専門の研究所でもなければフルパワーで使い続けることは滅多にないので、計算資源の問題はクラウドによってかなり解決する方向にあると言って良い。
AIの性能を根本的に左右するのはデータ
計算資源が沢山あるほうがそのぶん学習が進むので、やはりアルゴリズムの存在感はどんどん薄れていく。


そして最後に決定的な性能の鍵を握るのがデータである。

もはや深層学習AIの性能を根本的に左右するのはデータにあるといい切ってしまって良いと思う。


良質なデータをいかに素早く、安く、大量に確保できるかということが最大の関心事になりつつある。そしてこれからの時代はいかに他社に先んじたデータ獲得戦略を作り、実行できるかということが企業の競争力に直結するようになっていくだろう。


ということは、つまり、AIの性能差を決定づけるのは1にデータ、2にデータ、3も4も5もデータなのである。


なぜ深層強化学習がいち早く人間のゲーム適応能力を超え、人間ですら難しい最難関ゲームである囲碁で華麗な勝利を納めることが出来たのか、それは人間が1対局する間に、コンピュータ同士で擬似対局を繰り返すことで、データそのものを「生成」することができるからだ。データが生成できるのであれば、事実上無限に強くなっていくことになる。人間にはとても不可能な領域であると言える。


この「データ」を生成する、または制作するという仕事は、人間とAIに残された最後の共同作業になるのかもしれない。


現実世界の課題をベースに、AIに「何を学ばせるべきか」を考えるのは目下人間の仕事である。もっと平たく言えば、「なにを学ぶのが」効果的なのか考えるのもまた人間の仕事なのである。
都会には「良いAI」を創るために必要な情報がない
これを考え出すのに、必要な人間の知性とはどのようなものだろうか。

少なくとも、複雑な数式や、高層ビルのような巨大建築を可能にする明晰な頭脳ではない。


それよりもむしろ、現実の生活でどんな課題があるか、製造や農業、漁業の現場で、どんなことに困っているか、どんなことができれば便利になるのかということに日々直面している現場の知見である。


都会からたまにそういうところへ出かけていって、物見遊山で1日2日取材したところでほんとうの意味でのニーズはわかるはずもない。


だからこそ、国内有数の農地があり、酒蔵があり、漁業があり、山があり川があり大自然と食品加工や製紙工場がある、「あらゆる生活必需品の生産地」としての新潟県中越地方に注目したのだ。


福岡の人々が、東京で15年も会社をやっている人間が「敢えて」地域でAI開発事業を立ち上げようということにどれほどの意味があるのか興味を持つのは、むしろ当然だろう。


断言してもいいが、「良いAI」を創るために必要な情報は、都会にはない。そして当然、シリコンバレーにもない。


都会は消費する機能を持っているが、生産する機能は持っていない。非効率的だからだ。東京湾で釣れた魚だけで都内の寿司屋の供給を賄おうと思ったら瞬間的に破綻するだろう。農地も同様だ。つまり東京を含む大都市は、消費の中心地であって、生産の中心地ではない。


そして生産したものを売りさばく、つまり消費してもらうための機能は今後も都会に残り続けるだろうが、そうした場所がAI化の恩恵を受けるのは一番最後になるだろう。それよりも工場、農業、漁業、林業といった、大自然と人間が直接相対するインターフェースとなる場所にこそ、AI化の恩恵を最大化できるチャンスがある。


つまり第一次、第二次産業をAI化しない限り、AIの恩恵を最大限に受けているとは言い難い。従って、まず生産の現場に近いところに研究開発拠点を置くのは理にかなっているのである。


そしてそうしたものは必ず各地域特有の習慣や気候、人々といったものに深く関わっている。真に有用なAIは研究室からだけでは決してうまれない。そこにあるのはアルゴリズムと計算資源だけであって、現実のデータではない。もはや収集可能なデータの優劣がAIの優劣に関して決定的な役割を果たすのは明らかであり、だからこそ生産の現場に近いところで研究開発拠点を持つ必要がある。


地域の文化、風土、それはミームそのものである。

都会には決して存在し得ない、自然と調和し、自然から食べ物や恩恵を「いただく」

そうした境界面にこそ、チャンスが眠っていると思うのだ。

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