セレーナ・ゴメスに腎臓をあげた親友に考えられる健康リスク

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2017年09月19日 20:02  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<2つある腎臓のうち1つを親友に提供した女優の話が美談になっているが、生体ドナーの健康に影響はないのか......>


女優セレーナ・ゴメスが施術を受けたことを公表し話題となった腎臓移植。昨年、ピープル誌のインタビューで難病の全身エリテマトーデス(SLE)と闘病していることを明かしていたゴメスは今年5月、恋人で歌手のザ・ウィークエンドのシカゴ公演のため訪れたシカゴで腎臓の機能低下により病院に緊急搬送された。


急を要する容態のゴメスに腎臓を提供したのは、女優のフランシア・ライサ。これまでも仲の良い様子が報じられたことのある親友だ。メディアはこぞって、自らの体を呈してゴメスを救った「美しい友情物語」ばかり報じている。


しかし、一般的にリスクが低いとされる腎臓の移植手術にも少なからず懸念事項があるのも事実だ。今後のライサの健康にリスクを指摘する声が上がっている。


I'm very aware some of my fans had noticed I was laying low for part of the summer and questioning why I wasn't promoting my new music, which I was extremely proud of. So I found out I needed to get a kidney transplant due to my Lupus and was recovering. It was what I needed to do for my overall health. I honestly look forward to sharing with you, soon my journey through these past several months as I have always wanted to do with you. Until then I want to publicly thank my family and incredible team of doctors for everything they have done for me prior to and post-surgery. And finally, there aren't words to describe how I can possibly thank my beautiful friend Francia Raisa. She gave me the ultimate gift and sacrifice by donating her kidney to me. I am incredibly blessed. I love you so much sis. Lupus continues to be very misunderstood but progress is being made. For more information regarding Lupus please go to the Lupus Research Alliance website: www.lupusresearch.org/ -by grace through faith Selena Gomezさん(@selenagomez)がシェアした投稿 - 2017 9月 14 3:07午前 PDT


(左からフランシア・ライサとセレーナ・ゴメス)


12万人が「腎臓待ち」


どんな手術にもリスクは付き物だが、健康な腎臓の需要は高まっている。全米腎臓財団によると、腎臓移植を待つウェイティングリストに名を連ねる患者は10万人を超える。現在実施されている移植の多くは、死亡したドナーから提供を受けたもので、同組織によれば、2014年のドナーのうち死亡者が7761人、生体(生存している人)は5538人だった。


今回のゴメスのケースは生体ドナーからの移植に当たるが、ジョンズ・ホプキンズ大学医学部の専門家は、生体ドナーのその後の健康に影響が出る可能性を指摘している。


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例えば、ドナーは腎臓を提供した後に血圧が上昇し、高血圧のリスクが高まることを示唆する研究結果がある。さらに1%未満だが、ドナーが将来的に透析を必要とするようになる可能性もあるという。


このほかにも、Newsweekのジェシカ・ファーガ―記者(ヘルス担当)は、腎臓の機能低下による尿中のタンパク質の増加、ヘルニアのリスクについても警鐘を鳴らす。


透析や腎臓移植の専門誌「Nephrology Dialysis Transplantation」に掲載されたある研究は、161の腎臓移植の症例を調査。41人のドナーに何らかの合併症が確認され、このうち35人は軽度の健康被害だった一方、6人は重症で、脾臓の摘出、肝臓出血による再手術、ヘルニア、すい臓の感染症、腎不全など、重大な症状を抱えていたという。


ただし、高リスクなドナーであっても長期的な合併症は観察されず、論文執筆者は、腎臓切除は「安全である」と結論付けている。


今のところライサの体は大丈夫だろう。珍しい病気に感染したり大病を患ったりしない限り、ライサは健康な腎機能をキープし、これまで通り華々しい活躍を続けられるはずだ。


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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


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