3ヵ月ほど前、東洋経済ONLINEに掲載されたホリエモンこと堀江貴文氏のインタビュー記事「電話してくる人とは仕事するな」が話題となり、ネット住民のあいだでも賛否両論を交えて大きな反響を呼んだのは記憶に新しい。
いかにもこのヒトらしく、キャッチコピーこそ極論めいていてセンセーショナルだったりしたんだが、内容はいたってまともで、
「電話をかける=他人の時間を奪う行為」
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というロジックには思わず「なるほど〜!」と感銘を受け、仕事上のメールで単調な「YES・NO」のやりとりが続いたとき、まさに今すぐ相手の判断を仰ぎたいとき、詫びを入れたいとき……などは、ついつい電話をチョイスしまいがちな私もちょっぴり反省の念に駆られてしまったものである。
しかし、反省の念に駆られたわりには私の電話グセはさして治ってもおらず(1割ほどは電話の回数が減った気もする…?)、相も変わらずなにか粗相をしでかしてしまった際は、電話……どころか、先方さんまで直接会いに行き、バッタのように頭をペコペコ下げながら「もう大丈夫!」と一種の自己満足に浸っているのが悲しいかな、実状だ。ホリエモンが言うところの「他人の目を気にしすぎて、自分の時間を生きていない人」の典型で、おそらく氏からすれば、私なんかは「一緒に仕事をしたくない人」の大勢に属するのだろう。なんとなく複雑な気分ではないか。一度、本人からツイッターだかなんだかで「山田ゴメスごときに」と名指しされたこともあるし……(笑)。
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ところが! やめたいんだけどやめられない……そんな禁煙・禁酒クラスの電話禁断症状に苛まれる私の心をまたちょっぴり和ませてくれる、ホリエモンに真っ向から対抗した意見、すなわち「だから私はメールが嫌い」と、公に向けておっしゃってくださっているステキな人物を発見した。
『日本テレビ・アップル・MTV・マクドナルド・ミクシィ・世界の医療団で学んだ「超」仕事術』(方丈社)という単行本をこの9月に刊行したばかりの片岡英彦というヒトで、肩書きは「戦略PRプロデューサー」「東北芸術工科大学広報部長/企画構想学科准教授」……と、なかなかにお忙しそうな様子である。
ただ、よくよく読んでみると、ホリエモンの持論に対して正反対の異を唱えているわけでは決してなく、
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「メールを送ることは、本来は細心の注意を払わねばならない行為」
なので、あえて「メールは嫌い」と自己申告し、無駄なメールの送受信を防ぐ……といった理屈であるみたいだ。
では、実際、メールを送る際にはどんな細心の注意を払わねばならないのか?
たとえば、「ccに誰を入れ、誰を入れないかは、些細なようで非常に重要な問題」だと片岡氏は著書内で語っている。
物事がこじれるまでccに上司を入れておかないと、後になって「何をしてたんだ!」となることもある。(一方で)軽い作業レベルの案件に、あまりに多くの人にccを入れてしまうと、(返信)メールの数だけが増えすぎて、チェックしきれない状況になる。
たしかに、便利な機能だと安易にccへとのべつ幕なしに送信先を加えると、「了解しました」だけの返信があっという間に増殖し、コレはどれに関する「了解しました」なんだ……と、頭がこんがらがってしまう。しかも、その下に重要な案件が追記されていたりするケースもしばしあったりして、それを見逃す大きなミスを犯してしまうことだって、幾度かあった。
だから、私は基本ccを使わない。複数の相手に同じ文面を送るときは、少々手間はかかるがtoに一人だけの送信先を記し、文面をコピペして人数分だけのメールを作成する。そのほうが「送る相手を厳選するから」にほかならず、基本パソコン(モバイルも)音痴な私なりの苦肉の策だったりする。
本当に面倒臭い……。面倒臭いからこそ、私はかならず、はじめて仕事をするクライアント様には「ボク、けっこうすぐ電話しちゃうタイプなんですけど、許されます?」と、あらかじめお断りを入れるのだ。