移住希望者が地域に売り込み!? 「移住ドラフト会議」に賛否

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2017年10月06日 01:00  citrus

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「あなたと一緒に“気になる”を解決する」ことを旨とするニュースサイト『withnews』に、

 

「移住ドラフト会議」、鹿児島発で全国注目 移住支援にエンタメ性、「『誰か来て』では誰も来ない」が原点というタイトルの、ちょっと気になる記事が掲載されていた。要約してみると以下のような内容である。

 

「移住ドラフト会議」とは、移住希望者と受け入れ地域をつなぐ鹿児島発祥のマッチングイベントのこと。「指名されても移住しなくてよい」とハードルを下げながらも、過去2回(2016年よりスタート)の開催で約1割の移住が実現。他府県の移住支援の団体からも注目を集め、今年11月には東京で“全国版”が開催されることにも。

 

移住ドラフト会議における「球団」は、まちづくりに取り組む各地の民間団体。「選手」は、SNSや口コミなどで募った移住希望者。前日のプレゼンで自分自身を売り込んだ選手たちを、球団が順に指名していく流れで会議は進行していく。

 

司会者が封筒から選手の名前が書かれた紙を取り出し、球団ごとに読み上げ、指名が重なると「お〜」とどよめきが。くじ引きで意中の選手を引いた球団の代表は思わずガッツポーズ。指名が決まると、1年間の「独占交渉権」を獲得できる仕組みになっている。

 

「移住する側の将来がかかっている就活を、こういう遊び感覚で扱わないでほしい」

 

「かつての奴隷市場みたいで、なんか嫌」

 

「指名されなかったヒトが可哀相…」

 

……など、一部では批判の声も聞こえているようだが、おおよそは好評を博している……みたいだ。

 

私も、これは素晴らしい試みだと絶賛したい。タイトルにもあったとおり、地方都市の人材不足がそこまで深刻な状態ならば、「誰か来て」と受け身な姿勢のままでいても、突破口は見いだせない。エンタメ性だろうが遊び感覚だろうが、とにかく「なにか新しいことをやってみる」チャレンジ精神こそが重要なのではなかろうか。

 

桜島のNPOから4位で指名を受けた某男性は、

 

「ドラフト会議で自分が何をやりたいのかより鮮明になった。桜島が面白い所だと言えるような場所にしていきたい」

 

と、当システムのメリットを挙げる。プレゼン、またはその準備段階において「自分の能力をここでどうやって活かせるのか」が頭のなかで整理されていくのだろう。

 

あと、ドラフトという舞台上で「自分が必要とされていること」を“公表”されるのも大きい……と私は思う。これ以上に「承認欲求の充足」「存在価値、レゾンデートルの確認」がかなうイベントもそうはなかろう。そりゃあ、指名されたら嬉しいですよ! Iターンにまだ及び腰な人でも「いっちょう鹿児島で頑張ってみるか!」って気持ちにだってなるに違いない。

 

私は50歳をとうに越えた今でも、プロ野球のドラフトにかかって、その球団のユニフォームを着て写真撮影に満面の笑みで応じている夢を見る。そんな途方もない荒唐無稽な夢をホンの少しでも実現できるなら……今度、東京で開催される“全国大会”に、いっちょう参加してみよっかな……なんてこともわりと本気で考えたりする。そして、万一指名されたなら、条件次第では宮崎県民にでも山口県民にでも奈良県民にでもなったってかまわない。もはや私が生業とする文筆の仕事は、日本のどこに在住していても、メール一つで入稿はできるのだから……?

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