トランプに代わってクリントンが大統領になる道はまだある

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2017年10月17日 15:42  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<クリントンがこれから大統領になる可能性はわずかだが、民主党支持者たちは再び希望を持ち始めている>


ドナルド・トランプが米大統領選でヒラリー・クリントンを破ってからほぼ1年が経った。それでも、可能性としてはごくごくわずかとはいえ、これからクリントン大統領が誕生するという前代未聞の事態への道筋は、まだ残されている。


そしてその可能性は、クリントンを諦めきれない民主党支持者たちに、再び希望を与えている。


ハーバード大学の法学者ローレンス・レッシグはオンラインメディア「ミディアム」に寄稿し、クリントンが大統領になる道筋としての「もしも」シナリオを提案している。その通りに事が運べば、下院議長のポール・ライアン(共和党)からクリントンに、ホワイトハウスのカギが渡ることになるだろう(下院議長の大統領継承順位は、副大統領に次ぐ第2位)。


憲法学の著名な専門家であるレッシグが描いた「もしも」シナリオは次の通りだ。


その1:もし昨年の米大統領選でトランプがロシアと共謀していたことが決定的となれば、トランプは辞任を余儀なくされるか弾劾される。


その2:もしトランプが辞めれば、マイク・ペンス副大統領が大統領に就任する。


その3:もしロシアの便宜を受けた点ではペンスもトランプと同罪、ということになれば、ペンスも大統領を辞任する。


その4:もしペンスが、副大統領を指名する前に大統領を辞任すれば、大統領継承順位第2位のライアン下院議長が大統領になる。


誰かが正しいことをするべき


その5:もしライアン大統領が正しいことをしようと思えば、選挙結果を正しい形に戻すため、クリントンを副大統領に指名して自分は辞任する。


これで、クリントンが大統領に繰り上がる。


「この最後の答えは不可避に思える。ライアンはクリントンを大統領に就任させるべきだ」と、レッシグは道義的責任を強調する。「ライアンが正しく行動すれば、南北戦争の端緒となったサムター要塞の戦い以来、史上もっとも異例の事態となる。だが今回は国を分断するのではなく、団結させる出来事となるだろう」


2015年に短期間ながら民主党の大統領選候補者指名争いに出馬した経験を持つレッシグはさらに、クリントンがもし大統領に就任したら、政治的な善意から、ライアンを副大統領に指名するだろうと述べている。


官僚が作る長いブリーフィング資料も問題なく読みこなせるクリントンが大統領になれば、アメリカが核攻撃にさらされずに済む方法も考え出してくれるだろう。


クリントンのことを考えているのはレッシグだけではない。米CBSの報道番組に出演したクリントンは、大統領選に再出馬する気持ちはあるかと聞かれて、「立候補するのはもうたくさん」と述べている。


だがトランプがロシア疑惑で大統領の座を追われることになるなら、改めて選挙に出なくてもクリントンにはチャンスがある。その時がくるのを待とう。


(翻訳:ガリレオ)



ジュリア・グラム


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